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【揺花草子。】(日刊版:2016年)  作者: 篠木雪平
2016年12月
337/366

【揺花草子。】<その1771:穴二つ。>

 【揺花草子。】<その1771:穴二つ。>


 Bさん「藁人形が欲しいです。」

 Aさん「っっっ・・・。

     そ・・・それは、随分と、穏やかじゃないカンジの発言だねぇ・・・。」

 Bさん「そうかな?」

 Aさん「そうだろ!

     だって呪いの藁人形なんだろ?」

 Cさん「でもアレよ、最近はアマゾンさんなんかでも手軽に手に入るのよ。」

 Aさん「マジですか!!!

     アマゾンさん相変わらず尻尾長い仕事してますね!!」

 Cさん「そして商品カテゴリーはまさかの『スポーツ&アウトドア』。」

 Aさん「そりゃ確かにアウトドアでしょうね!!?

     家の中じゃ使わないですもんね!?

     まあスポーツでは明らかにないでしょうけど!!」

 Bさん「そうかなぁ。

     競技性を追求しようと思えば出来るんじゃないかな?」

 Aさん「えっそれはなに、藁人形を五寸釘で木に打ち付ける

     速さとか美しさとかを競うってこと?」

 Bさん「いや、呪う対象に呪いの効果が出るまでの時間を競う。」

 Aさん「決着つくまですごい時間掛かりそうな競技だな!!!

     そして判定が恣意的になりそうだな!!」

 Cさん「体操とかフィギュアだって人が己の判断に基づいてジャッジするじゃない。

     それと変わらないわよ。」

 Aさん「イヤでも一定の基準はあるでしょう・・・。

     と言うか、そんな藁人形なんて手に入れてどうしようって言うのさ?

     誰かに呪いをかけたいの?」

 Bさん「そりゃあもちろん。決まってるじゃん。

     阿部さんを呪ってやろうと思ってさ。」

 Aさん「本人を目の前にそう明け透けに言い放つ胆力は一体なんなんだろうね。」

 Bさん「これは逆に言えば阿部さんを試しているとも言えるんだよ?

     こうしてぼくが阿部さんに対して有言実行で呪いをかけますって宣言したら、

     阿部さんはその呪いに対して事前に対策を練ることが出来るじゃない?

     ぼくの阿部さんに対する恨みの力が勝つか、阿部さんの不屈の精神力が勝つか。

     これはもう、ある種のスポーツだ。」

 Aさん「なんだその無理っくりなライバル関係の演出。

     なんでそこまで恨まれなきゃならないんだぼく。」

 Bさん「そんなわけですから、呪いの藁人形を手に入れること自体は大して難しくない。」

 Aさん「まあネットで買った藁人形にどこまで効果があるかって言う

     疑問は拭えないけどな・・・。」

 Bさん「でもさ、阿部さん藁人形による呪いの作法って知ってる?」

 Aさん「作法? そんなの・・・釘で打ち付けるだけじゃないの?」

 Cさん「その程度のカジュアルな呪法で相手に与えられるダメージなんて

     せいぜい1週間ぐらいやけにささくれが出来やすくなるとかその程度よ。」

 Aさん「それはそれで地味にイヤですけど、と言うかカジュアルな呪法ってなんですかね。」

 Bさん「正式な、と言うか、最も効果があると言われているやり方は、

     いわゆる『丑の刻参り』ってやつだよ。

     藁人形の中に呪いたい相手の髪の毛など関係の深いものを埋め込んで、

     白装束と高下駄姿に身を包み草木も眠る丑三つ時に神社やお寺などの境内の木に

     五寸釘で藁人形を打ち付ける。」

 Cさん「ホントはもっと色んな小道具とか化粧とか色々あるみたいだけれどもね。」

 Aさん「いや・・・でもそれって結構実際にやろうとするとたいへんだよね?

     白装束と高下駄とかって手配できなくない?」

 Bさん「そこらへんだってアマゾンでなんとかなるんじゃない?」

 Aさん「ホント尻尾長いなアマゾン!!」

 Cさん「でも正味な話こうやって神社なんかの境内の木に藁人形を打ち付ける行為は

     現実的にはいくつかの法に抵触しちゃうわけだけれどもね。」

 Aさん「あぁ・・・まあ、そりゃそうでしょうねえ。

     余所様の木に勝手に釘を打ち付けたら怒られるに決まってるよ。

     そこらへん遵法意識の高いブリジットには敷居が高いんじゃないの?」

 Bさん「そうなんだよね。

     だからもうこの際ぼくが自分で神社とかお寺を開くしかないかなと思って。」

 Aさん「人を呪いたいがためにわざわざ神主さんとか和尚さんになるの!!?」

 Cさん「金髪巫女さんとか萌えるじゃない?」

 Aさん「巫女さんは巫女さんでポジション違うでしょ!!」

 Bさん「そこは個人の努力で頑張れる気がするからいいんだけどさ。

     もっと難しい条件が、丑の刻参りには存在する。」

 Aさん「もっと難しい条件・・・?

     それは一体・・・?」


 Bさん「丑の刻なんかに外に出たら

     ママンにこっぴどく怒られる。」

 Aさん「門限的なアレで!!???」


 冬場は収録も早めに終わらせることにしています。


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「Meister's Brief」から自動転送

http://www.studiohs.com/28if/brief/2016/12/02.html


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