【揺花草子。】<その1735:巡り巡って。>
【揺花草子。】<その1735:巡り巡って。>
Bさん「秋深し隣は何をする人ぞって知ってる?」
Aさん「ああ、うん、聞いたことあるねぇ。
芭蕉だっけ?」
Bさん「残念! 違います。」
Aさん「え!? 違うっけ?
じゃあ一茶とか?」
Cさん「そう言う違うではないわ。」
Aさん「えぇ・・・?」
Bさん「実は『秋深し』じゃなくて『秋深き』なんだよ。」
Aさん「えっそうなの? そこが違うんだ?
『秋深き隣は何をする人ぞ』ってこと?」
Bさん「そうそう。そう言うこと。」
Aさん「でも『秋深き隣』ってなんだろう・・・?
隣って隣人とか隣家のことだよね?
例えば隣の家の庭木が自分ちの庭木より
やたらと紅葉が進んでるとかそう言うシチュエーションかな?」
Cさん「なるほど、それは面白い解釈ね。
隣の家の人はどうやってあんなに木を赤くしてるんだろう、
なんでまた隣の家はあんなに木々が赤々と燃えているんだろうと
不思議がってるってこと?」
Aさん「なんかずいぶん情緒がない解釈になっちゃいますね。」
Bさん「でも、もしかしたらこれは『秋深きホニャララ』で、
敢えてそのホニャララを省略しているのではないかと言う説もあるよ。」
Aさん「ほほう・・・なるほど。
そうなるといろいろ世界が広がるね。」
Bさん「でもね、別な記録では
『秋深し』もあったりするんだって。」
Aさん「え、そうなの?
じゃあ秋深きバージョンと秋深しバージョンの2種類があるってこと?」
Cさん「たぶん初回限定版と通常版の違いだと思うわ。」
Aさん「なんでそう言う売り方の話になってるんですかね!?」
Bさん「初回限定版にはイベントチケット優先販売申込券が封入されてるよ。」
Aさん「芭蕉がイベントやるの!!? 歌会!!?」
Bさん「ともあれ、『秋深き』と『秋深し』でどうにも混乱があるこの句。」
Aさん「はあ。」
Bさん「なんならいっそ
『秋不可避』バージョンも
作ればいいと思う。」
Aさん「確かに秋は不可避だけれども!!!!!」
途端に俗っぽくなる。
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