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【揺花草子。】(日刊版:2016年)  作者: 篠木雪平
2016年9月
285/366

【揺花草子。】<その1719:ミステリアスガール。>

 【揺花草子。】<その1719:ミステリアスガール。>


 Bさん「秋ですねぇ。」

 Aさん「おう・・・秋ですねぇ。」

 Cさん「なによその不満そうなリアクションは。」

 Aさん「いえ・・・まだ続くのかと思って・・・。」

 Bさん「世の中の全ての秋を語り尽くすまで続くっての。

     世界の全てを秋色に染めてやるつもりだよ。」

 Aさん「いや世界のどこかには今が秋じゃない場所もあるよ。

     無理に秋色に染めたりしちゃいけないよ。」

 Bさん「ま、ともあれ秋でございます。

     秋と言えば。」

 Aさん「えー・・・まただいぶ丸投げされたなぁ・・・。

     ここまでは確か『読書の秋』『実りの秋』『芸術の秋』『食欲の秋』

     『スポーツの秋』『行楽の秋』と来てたよね。

     って言うかもうなんだかんだで6回も続いてるのこれ?」

 Bさん「まだまだ。

     ぼくの秋シリーズは108まであるよ。」

 Aさん「なにヌだよ。

     でもまあ・・・正直一般的に言われる『○○の秋』としては

     あらかた出尽くしたんじゃないの?」

 Bさん「これだから阿部さんは。」

 Cさん「これだから阿部さんはねぇ。」

 Aさん「ちょっ! なんだって言うんですか!!」

 Bさん「ホント阿部さんはなんと言うかすこぺっそすと言うかね。」

 Aさん「すごい懐かしいネタブチ込んできた!!」

 Bさん「秋シリーズの本命『勉強の秋』ですよ。」

 Aさん「あぁー・・・あぁー・・・うん・・・。」

 Cさん「学生時代の思い出なんてもう遠い昔日の彼方に揺らめいて

     その輪郭を失ってしまっているような阿部さんにとっては

     勉強なんてものはもう全く頭になかったって感じね。」

 Aさん「イヤッ!! 随分な言われようですけど!?」

 Bさん「秋の夜長は勉強には最適ですよ。

     学生の皆さんに置かれましてはそろそろ中間テストも近いだろうし、

     中でも受験生の皆さんには勝負の夏休みを乗り越えたものの

     あと数か月後に迫る受験に向けて再びギアを上げていくべき段階。」

 Aさん「まあ・・・そうですねぇ。」

 Bさん「ぶっちゃけ阿部さんの学生時代の学業の方は如何ばかりだったのかな?」

 Aさん「えっ。うーん・・・。

     まあ・・・地元の三流大学を出る分には過不足はなかったって程度・・・ですかね。」

 Cさん「なるほどね。

     学生の本分たる学業は二の次で

     サークル活動とか合コンとかバイトに明け暮れて

     日々ブイブイ言わせてたってわけね。」

 Aさん「ブイブイて!!!!! その学生像なんか古くないですか!!?」

 Bさん「そんな人生のピークだったであろう学生時代の阿部さんのことは正直どうでもいい。」

 Aさん「いや・・・あそこがピークだったとしたらもう未来に希望が持てないなぁ・・・。

     ・・・と言うか、そう言えば。」

 Bさん「ん? なに?」

 Aさん「そう言えばブリジットのそのへんの話ってあんまり聞かないね。」

 Bさん「そのへんの話・・・とは?」

 Aさん「つまりきみが10代半ばから後半に差し掛かるくらいの少女を自称するのであれば、

     それはつまり本来ならきみはバリバリ学生であるはずの年頃ってことじゃない。

     でもきみは学生ではないんだよね?」

 Bさん「うーん。そこに踏み込むか。」

 Aさん「えっなに?」

 Bさん「これまでもごくまれにその辺のことは話して来たとは思うけど。」

 Aさん「いや・・・言っても『学生ではない』と言う話しか知らないよ?

     その理由とか、今よりも小さかった頃の話とか、ほとんど知らないなあって。」

 Bさん「・・・。」

 Cさん「・・・これだから阿部さんは。」

 Aさん「えっなんなんです!?」

 Cさん「ここに至るまでそう言う話をほとんどして来なかったと言うことはつまり、

     そこらへんの話題は出さないでと言うサインに他ならないわよ。」

 Aさん「えっ。あぁー・・・

     いやそう言うなんか訳アリ的なアレってことですかね・・・?」

 Bさん「(だから訊かないでっての・・・)」

 Cさん「今が秋で良かったわ。」

 Aさん「良かったとは?」


 Cさん「阿部さんはそう言う

     人と人との機微的なアレを

     もっとちゃんと勉強した方が良いわね。」

 Aさん「なんですその強引な繋ぎ込み!!?」


 まだ秘密です。


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「Meister's Brief」から自動転送

http://www.studiohs.com/28if/brief/2016/10/11.html


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