【揺花草子。】<その1713:青春ドラマ感。>
【揺花草子。】<その1713:青春ドラマ感。>
Bさん「秋ですねぇ。」
Aさん「秋ですねぇ。」
Bさん「秋と言えばなんですか。」
Aさん「えっ・・・ものっすごい漠然とした質問ですけど・・・。」
Cさん「阿部さんと言う存在があやふやで曖昧だから仕方ないわ。」
Aさん「なんですそのあやふやで曖昧な罵り方。
ちょっとふわっとしすぎじゃないです?」
Bさん「まあそれはそれ、秋と言えば『読書の秋』じゃないですか。」
Aさん「ああ、うん、そうですねぇ。」
Bさん「阿部さんは読書はする方かな?」
Aさん「読書ですか。うーん・・・。」
Cさん「コミック誌以外で。」
Aさん「うううーーーん・・・。」
Bさん「まあぶっちゃけ阿部さんの読書傾向とかはどうでもよろしい。」
Aさん「どうでもよろしいのかよ。」
Bさん「ぼくってどっちかと言うと文学少女じゃん?」
Aさん「どっちかと言うと文学少女ってなに? 誰のことを言ってるの?」
Bさん「もう! だからぼくが文学少女だって話だよう!」
Aさん「いや・・・え? そうなの?
きみと文学ってあんまり結びつかないけど?」
Bさん「おやおやおやおやこのニートは一体何を言ってくれてるんだろうね。
発する言葉の凡そ全てが純文学の一節かと感じさせると評判のぼくを捕まえて
文学と縁がないとか言っちゃうのかこのニートは。」
Aさん「純文学でニートとか言わないだろ。」
Bさん「あのね、阿部さん想像してみて。
今よりももう少し季節が進んで秋が深まる頃合い。
紅葉で覆われた街路樹が立ち並ぶ公園の片隅のベンチに腰掛ける少女。」
Aさん「お・おぉ・・・。」
Bさん「秋は深まって風も冷たくなって来てるけれども、
陽射しは暖かくてなんだかぽかぽか。
暖色系でまとめたファッションのその少女は傍らのバッグから
文庫を取り出し、きれいな押し花の栞を挟んだページを開いて文字を追う・・・。」
Aさん「うむむ・・・。」
Cさん「そんな中、季節に相応しいちょっと冬の香りを含んだ風が吹き抜ける。
慌てて髪と手元の文庫本を抑える少女。
しかし風に煽られ、押し花の栞が飛んでしまいました。」
Aさん「あら・・・」
Bさん「そこを通りかかった阿部さん。
足元に落ちた栞を拾い上げると、通りの向こうから
少女が慌てた様子で駆け寄って来る。
陽射しが暖かいとは言えやっぱり風は少し冷たくて、
少女の頬や鼻のアタマはほんのりと紅潮しています。
『ごめんなさい、栞拾ってくれてありがとうございます』
そう言って阿部さんに穏和に微笑む少女・・・。」
Aさん「お・おぉ・・・////」
Bさん「どう? なんか良くない?」
Aさん「う・うん・・・いいねぇ・・・////」
Bさん「そう言う文学少女感溢れる感じになりたいわけですよ。」
Aさん「なるほどね・・・。」
Bさん「でもぼくは電子書籍派だから
押し花の栞は使わないんだよね・・・。」
Aさん「じゃあもういっそ
タブレットとか飛ばしちゃえばいいよ。」
タブレットが飛ばされるほどの風とは。
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