【揺花草子。】<その1681:東征。>
【揺花草子。】<その1681:東征。>
Bさん「その日は朝から夜だったんです。」
Aさん「うわ・・・またそう言う懐かしいネタを・・・。」
Bさん「間違っちゃった、その日は朝から雨だったんです。」
Aさん「うん、だろうさ。」
Bさん「雨だったんだけど、台風が迫っててね。
雨だけじゃなく、風も強くなり始めで。」
Aさん「うんうん。」
Cさん「平たく言えば阿部さんが喜びそうな天気だったってことよ。」
Aさん「なんですかねその平たく仕方!?」
Bさん「回りの皆さんはぼちぼち傘の花を開き始めてて、
雨を避けようとしていました。」
Aさん「まあそれは、自然な行為じゃない?」
Bさん「でもさ、それにぼくは多少の違和感を覚えたんだよね。」
Aさん「違和感・・・とは?」
Bさん「傘を差すほどの雨には感じられなかったの。」
Aさん「そうなんだ?」
Bさん「確かにね、地面を見れば雨粒が落ちてアスファルトに水玉が広がりつつあったし、
道行く車の車窓にも水滴がついてるのが目視確認できた。
けれども、ぼくは雨の影響を感じていなかった。」
Aさん「いや・・・それはあれじゃない?
あんまりヨーロッパの人たちは傘を差す習慣がないって言う・・・」
Cさん「それは日本とヨーロッパの雨の降り方が少し違うって言うのが理由よ。
ヨーロッパの人だって日本でこんな雨に当たればさすがに傘を差すわよ。」
Aさん「うーん、そうですか・・・。
じゃあなんで・・・?」
Bさん「あのね、道行く人々はどうか知らないけど、
ぼく自身は肌感覚として、雨粒に苛まれるような感じは受けなかったわけ。」
Aさん「えっ、なにどう言うこと?」
Bさん「つまり、さながら雨の方がぼくを避けているかのような。」
Aさん「えぇー・・・?」
Bさん「戦場で降りしきる弓矢の雨あられの中
悠然と歩いたアレクサンドロス大王の
生まれ変わりなんじゃないかと思った。」
Aさん「絶対違うだろ。」
風が強かったですから。
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