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【揺花草子。】(日刊版:2016年)  作者: 篠木雪平
2016年8月
243/366

【揺花草子。】<その1677:ブヒブヒ言う。>

 【揺花草子。】<その1677:ブヒブヒ言う。>


 Bさん「ほのかに秋の気配が漂いつつありますね。」

 Aさん「うーん・・・そうですか?

     まだまだ暑いよ?」

 Bさん「そう? 涼しい日だってあるじゃん。」

 Aさん「それは天候不順な日だろ。

     曇りとか雨だから気温が上がらないってだけだろ。」

 Cさん「そう言う花鳥風月の変化に疎いところが阿部さんのダメなところよね。」

 Aさん「ダメって言われた!!!」

 Bさん「『秋来ぬとさやかちゃんには見えねども』って言うじゃん。」

 Aさん「だからそれさやかちゃんじゃないから。

     別にひとりぼっちは寂しいわけじゃないから。」

 Bさん「ま、そんなこんなで、去りゆく夏を惜しむぼくとしては

     今日はちょっと夏っぽい話題を提示しようと思うよ。」

 Aさん「はぁ・・・。」

 Bさん「あのね、夏になると蚊の皆さんが出現するじゃないですか。」

 Aさん「まあ・・・出現しますねぇ・・・。」

 Cさん「阿部さんなんかは結構蚊のせいで夜寝られないみたいなことはある?」

 Aさん「まあ、寝られないって程じゃないですけど、鬱陶しいなあって思う時はありますよ。」

 Bさん「うちは割とマンションの高層だからあんまり蚊の皆さんに

     出くわすことはないんだけどね。」

 Aさん「そうなんだ、それは羨ましいなあ・・・。」

 Bさん「でもさ、蚊との戦いは言ってみれば日本の夏の風物詩とも言えるわけでね。」

 Aさん「いやそれは随分と蚊サイドを好意的に見た表現じゃないか?

     出来ればそんな戦いは根絶したいよ。誰もが不幸になるだけの不毛な戦いだよ。」

 Bさん「でも、縁側で蚊取り線香を炊きながら風鈴の音色とともに夕涼み・・・

     なんてステキじゃん?」

 Aさん「それは、まあ、いいと思うけど。」

 Bさん「蚊取り線香と言えば蓋を裏返せば灰を受ける金属の皿として使えますよってのが

     スタンダードだけど、昔ながらの線香を炊く置物的アイテムがあるよね。」

 Aさん「あぁ・・・豚とかの陶器製のやつ?」

 Bさん「そうそう。

     ああ言うのを総称して『蚊やり器』って言うんだって。」

 Aさん「『蚊やり器』。」

 Cさん「阿部さんの言った豚の形をしてるのは『蚊やり豚』って言うんですって。」

 Aさん「なるほど。」

 Bさん「でもよく考えるとこの『蚊やり』の部分の意味がよく分からない。」

 Aさん「えっ・・・うーん・・・言われると確かに・・・。

     『蚊取り豚』とかなら納得だけどね。」

 Bさん「だから、もしかしたらって思って。」

 Aさん「もしかしたら?」


 Bさん「『蚊殺り豚』って意味なのかなって。」

 Aさん「なんでそんな殺伐としてるの!!???」


 『蚊遣り豚』。


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「Meister's Brief」から自動転送

http://www.studiohs.com/28if/brief/2016/08/30.html


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