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【揺花草子。】(日刊版:2016年)  作者: 篠木雪平
2016年7月
211/366

【揺花草子。】<その1645:一部の層向け。>

 【揺花草子。】<その1645:一部の層向け。>


 Bさん「『見るなのタブー』ってあるじゃないですか。」

 Aさん「あぁ・・・『鶴の恩返し』的な?」

 Cさん「『阿部さん気持ち悪いのでこっち見ないでくれませんか。』ってやつよ。」

 Aさん「酷い拒否のされ方をしている!!!!!」

 Bさん「ま、阿部さんが言った通り、昔話の『鶴の恩返し』に代表されるような

     物語のモチーフだね。

     何かをしているところを『見ないでください』って言われたのに

     興味に抗えず見てしまったがために、悲劇的な結末を迎えてしまう。」

 Aさん「うんうん。

     『鶴の恩返し』では娘の姿で現れた鶴の機織りを覗いてしまって

     別離を余儀なくされた、と言うお話だったね。」

 Bさん「そうそう。

     こう言う『見るなのタブー』に類型化される物語は

     洋の東西を問わず、今昔を問わず、非常に普遍的に見られるモチーフです。」

 Cさん「『創世記』においてソドムとゴモラの滅びを振り返ってしまったロトの妻が

     塩の柱になってしまったのとか・・・」

 Bさん「ギリシア神話では良く知られる『パンドラの箱』を開けてしまったが故に

     世界に災いがまき散らされてしまったとか。」

 Aさん「うん、いろいろあるねぇ。」

 Bさん「亡くなったイザナミを追って黄泉国を訪れたイザナギが

     自分の朽ち果てた姿を見られたくないイザナミの願いに反して

     その姿を見てしまって悲しい結末を迎えたりとか。」

 Aさん「うーん。

     そう言う観点で言うと玉手箱を開けちゃった浦島太郎も

     その類型のひとつと言えそうだね。」

 Bさん「うん、そうだね。

     まあとにかくそう言うのがたくさんあるわけです。

     どの物語も、『禁止された約束を破ってしまった』が故の悲劇ですね。」

 Aさん「うん。」

 Bさん「こう言う、『禁止されるとむしろやりたくなる』ってのは、

     心理学的には『カリギュラ効果』と言うらしいの。」

 Aさん「カリギュラ効果・・・聞いたことはあるけど。」

 Cさん「なんでもね、1980年の映画『カリギュラ』がとっても過激な内容で、

     アメリカのボストンなど一部地域で上映禁止になったんだけど、

     それがかえって世間の評判を高めたからってことみたいなの。」

 Aさん「なるほど。そう言う謂われがあったんですね。」

 Bさん「ボストンって言うのは昔からそう言う土地柄だったんだって。

     危ないのとか反社会的な文化は弾圧と言うか遠ざけられて来たと言います。

     そんな様を、アメリカ人たちは皮肉を込めて『ボストンでは禁止』と言う

     慣用句で呼んだそうだよ。」

 Aさん「『ボストンでは禁止』か。

     アメリカ人らしいアイロニーだね。」


 Bさん「『この業界ではご褒美です。』に

     通じるものがあるよね。」

 Aさん「いやありませんよ。

     これっぽっちも通じてませんよ。」


 語感重視。


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「Meister's Brief」から自動転送

http://www.studiohs.com/28if/brief/2016/07/29.html


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