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【揺花草子。】(日刊版:2016年)  作者: 篠木雪平
2016年1月
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【揺花草子。】<その1453:陽気なギャング。>

 【揺花草子。】<その1453:陽気なギャング。>


 Bさん「人質をとっての立て籠もり事件って起こるじゃん。」

 Aさん「いやそんなにありふれた感じには起こりませんよ?

     かなり稀な類いですよ?」

 Cさん「かなりまれいたそ?」

 Aさん「言ってない!! どんな作為的な聞き間違いですか!!」

 Bさん「別に良く起こるとは言ってないじゃない。

     そう言う事件がありますよねって話。」

 Aさん「いや、まぁ、それは・・・。」

 Bさん「例えば銀行強盗とかでもいいんだけど、

     犯人はドジを踏んで脱出し損なって、そうこうしている間に

     警察がやって来てしまった。

     やむなく阿部さんは行員とお客さんを人質にとって銀行に立て籠もる。」

 Aさん「ちょっ!! あれなんでぼく犯人になった!!?

     さらっと聞き流すところだったけど!!!」

 Cさん「たとえばの話よ、たとえばの話。

     いちいち目くじら立てないでよ。」

 Aさん「いや・・・だったら別にぼくを犯人に仕立て上げなくても

     いい気がするんですけど・・・。」

 Bさん「ま、とにかく銀行は既に警察に包囲されてしまっている。

     フランスパンを布で覆ってマシンガンに見立てたもので武装した阿部さんは

     いよいよ追い詰められるわけです。」

 Aさん「なんでそんなもので銀行強盗できると思ったのかなぼく!?

     ダミーを用意するにももう少しまともなものがあったと思うけど!?」

 Bさん「昔ジャンプでそう言うシーン観た覚えがあるから。」

 Aさん「あったかも・・・知れないけど!! どの作品だか忘れたけど!!」

 Cさん「とにかく警察に包囲されてしまった阿部さん。

     警察は当然阿部さんに投降を促すわよね。

     『犯人に告ぐ、お前は既に包囲されている、大人しく出て来なさい!』的な。」

 Aさん「まあ、そうですね・・・。」

 Bさん「対して阿部さんはこう叫びます。

     『うるせえバカヤロー!! 人質がどうなってもいいのか!

      さっさとと逃走用のタイレル P34 シックスホイーラーを用意しろ!!』」

 Aさん「なんでそれを逃走車に選ぶかな!!?

     公道走れないタイプの車だし第一絶対用意できない車だしね!!?」

 Bさん「阿部さんの無理難題に警察もほとほと呆れてしまいます。

     膠着状態を打破するため、ここは情に訴える作戦に出る。」

 Aさん「じょ・情に・・・?」

 Bさん「『あー犯人犯人、良く聞くんだ。

      そんなことをしていたら親御さんが泣くぞ!』」

 Aさん「うっ・・・それは・・・まあ良くあるやつだけど・・・。」

 Bさん「さすがに親御さんを出されると辛いところがあるよね。」

 Aさん「うーん、まぁ。」

 Cさん「阿部さんにも人並みの心が残っていてくれて良かったわ。」

 Aさん「どう言うことです!?」

 Bさん「こうして事件は解決しました。

     阿部さんはギリギリの所で人の道に戻ることができたよ。」

 Aさん「うん・・・。うーん・・・まあ・・・。」

 Bさん「それからの阿部さんの人生はこの過ちを償うために

     毎日愛情を込めてフランスパンを作る一生を送ることになるんです。」

 Aさん「えっ償いってそっち? フランスパンに対して償うの?」

 Bさん「でもさ、阿部さんだから『親が泣いてるぞ!』は効いたかも知れないけどさ。」

 Aさん「え? うん。」

 Bさん「例えば、もしぼくが人質立て籠もり犯だったとして、

     警察から『投降しろ! 親が泣いてるぞ!』って言われたらさ。」

 Aさん「えっ・・・」


 Bさん「『いやうちの親は絶対指差して笑うし。』って反論する。」

 Aさん「それ酷すぎない!!???」

 Cさん「まあ実際指差して笑うわね。」

 Aさん「笑うんです!!???」


 でも決してそう言う事はしない子に育てたと言う絶対の自負がある。


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「Meister's Brief」から自動転送

http://www.studiohs.com/28if/brief/2016/01/19.html


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