【揺花草子。】<その1579:横並び。>
【揺花草子。】<その1579:横並び。>
Bさん「敷地を隔てる生け垣としてツツジを使ってるところがあるじゃないですか。」
Aさん「あぁ・・・マンションと路地の境目とかの?」
Bさん「そうそう。
ぼくが良く行くショッピングセンターの敷地も歩道との境に
ツツジが植えられてるんだけどさ。」
Aさん「ふむふむ。」
Bさん「ツツジって、一斉にパッと咲いて一斉に花を落とすじゃん。」
Aさん「うーん・・・。そうなの?」
Bさん「そうなの! 花鳥風月に疎い阿部さんは知らないかも知れないけど
ツツジってそう言うものなの!」
Cさん「阿部さんはヒマワリがどの季節に咲くかも知らないものね。」
Aさん「いやそこまでひどくないですよ!? なに言ってくれてるんです!?」
Bさん「とにかく、ツツジがもう示し合わせたように同じタイミングで咲いて
同じタイミングで散ると言う現象ですよ。」
Aさん「はぁ。」
Bさん「それがさ、例えば元を辿れば同じ木の枝だって言うなら解るの。
でもツツジは道路挟んで向こう側とかさ、数100メートル離れたような場所でも
ホント何らかの力が働いてるんじゃないかってぐらい揃って咲くんだよね。」
Aさん「なるほど・・・。」
Bさん「もう、ツツジ咲かせ業者のエリアマネージャーの優秀さね。」
Aさん「エリアマネージャー的な人が咲くタイミングをコントロールしてるの!?」
Cさん「そんなのが想起されるくらい揃ってるってことよ。」
Aさん「はぁ・・・。」
Bさん「翻って、桜とか梅とかですよ。」
Aさん「う、うん。」
Bさん「桜の樹がたくさんあるようなところで良く見ると分かるけど、
桜って決していっぺんに同時に咲くわけじゃないよね。
こっちの樹は満開なのに隣の期はまだ五分咲きとか、
場合によっては同じ樹でも枝によって咲きぶりが違ったりもする。」
Aさん「まあ、そうですね。」
Bさん「多くの日本人が心の拠り所とする桜の樹が
その精神性を端的に表す『和を以て尊しとなす』を
全く体現できてないのは実に滑稽だ。」
Aさん「随分なこと言ってくれるじゃないか!!!」
だが美しい。
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