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【揺花草子。】(日刊版:2016年)  作者: 篠木雪平
2016年5月
137/366

【揺花草子。】<その1571:狙いすます。>

 【揺花草子。】<その1571:狙いすます。>


 Bさん「ちょっとした技術革新の話をするよ。」

 Aさん「技術革新・・・ですか?」

 Bさん「あのね、しょっちゅう言ってるけど、ぼくってバスメイトじゃないですか。」

 Aさん「バスメイトってなんだよ。

     移動に専らバスを使うって話だろ。」

 Bさん「あはは、そうそう。

     朝ここに現場入りするときとか、帰りにバスを使う系ギャルです。」

 Aさん「使う系ギャル・・・。」

 Cさん「私も使う系ギャルよ。」

 Aさん「(ギャルの定義とは・・・)」

 Bさん「そんな市バスに、驚くべき革新がもたらされていた。」

 Aさん「市バスに革新って・・・昨年末の交通系ICカード全面採用のこと?」

 Bさん「トピックとしてはあれはすごく大きかったけど、あの話じゃない。」

 Aさん「うーん、じゃあ車両先頭の電光掲示板がきれいな液晶ディスプレイになったこと?」

 Cさん「それもマイルストーンではあるけど特大な変化とは言いにくいわね。」

 Aさん「じゃあ・・・あっ、車内アナウンスが合成音声になった?」

 Bさん「ぼくら界隈ではそのパッケージングの精度の低さに

     疑問符を投げかけざるを得ないからその点はあまり高く評価していないよ。」

 Aさん「手厳しいな・・・。

     料金収受システムでも情報提示システムでもアナウンスシステムでも

     ないとなると・・・。

     なんだろう・・・? もしかしたらバス自体がガソリンや天然ガスじゃなく

     ハイブリッドエンジンを積んでるとか?」

 Bさん「そう言うことは分からない。その辺はちょっと専門外だよ。」

 Aさん「お・おぉ・・・。」

 Bさん「あのね、バスって、降りたいとき、どうする?」

 Aさん「どうするって、そりゃあ、お金を払うなりカードで払うなりして降りるじゃん。

     ぼくらの街のバスは真ん中乗り・前降りタイプだよね。」

 Bさん「そう言う乗降の手続きの話じゃなくて、もう少し手前。

     降りるための意思表示。」

 Aさん「そりゃもちろん・・・座席そばにある押しボタンをピンポーンって押して・・・。」

 Bさん「そう、それ。」

 Aさん「え?」

 Bさん「ボタンを押すじゃない?」

 Aさん「ボタンを押しますね。」

 Bさん「押し込むじゃない?」

 Aさん「押し込む・・・よね。」

 Cさん「グッと。」

 Aさん「ええ、グッと押します。」

 Bさん「あのね、ある日の帰りのバスの中でなんだけど。

     ぼくが降りるバス停が近づいて来たから、降りますボタンにすっと手を伸ばしたんです。」

 Aさん「ふむ。」

 Bさん「で、ボタンを押す直前のタイミング、そう、具体的には

     ボタンに指先がちょっと触れたぐらいのタイミングで、

     車内にやおら『ピンポーン』と言うチャイムが鳴り響いた。」

 Aさん「えっ・・・それって・・・。」


 Bさん「市バスの降りますボタンは

     いつの間にかタッチパネル式に変わってたんだよ!!」

 Aさん「絶対違うよね!!?

     偶然ちょっと早く誰か他の人が

     ボタンを押しただけだよね!!?」


 タッチパネルにするほどのメリットはたぶんない。


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「Meister's Brief」から自動転送

http://www.studiohs.com/28if/brief/2016/05/16.html


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