誰が為に
満ちて満ちる水気の中で
濁流となった清水は
渡された木橋を押し流さんと渦を巻く
岸の舟は既に跡形もなく
削れた土砂が
清水を汚す
水神の怒りに抗える訳もなく
流れるままに身を任せ
起きた惨状に項垂れる
神官は云う
贄を捧げよ。と
多くを失って
再び失わなければいけないのか
目を隠され 手を縛られた愛し子が
壊れた橋の 真中を逝く
神官は詠う
鎮まりたまえ 鎮まりたまえ
我等が宝 子を贄として
消える我が子に視界がぼやけ
その抜け殻に すがり着く
ああ 我が愛し子よ
済まない 我が村の為に
済まない 我が家族の為に
済まない 我が愛し子よ
携帯からは書きづらい。