プロローグ
光と闇。
表と裏。
これまで何度も見てきた世界の二つの顔。
これまで何度も体験してきた世界のちぐはぐさ。
いつまでも光として輝き続けられないくせに、闇に呑まれるのは一瞬だ。
俺は、どちらの存在なのだろう?光か?闇か?
俺は、どちらで生きればいいのだろう?表か?裏か?
どちらも体験してきた。どちらも演じてきた。どちらも生きてきた。
光と表に生き、幼い子ども達を救った。
闇と裏に生き、儚き命を刈り取った。
俺は、どちらの存在なんだ?
どれだけ考えたって答えは出ない。人生と同じだ。人生が成功だと、失敗だといえるのは、その人の感情によっていくらでも変化してしまう。
道徳に反する生き方をしているから失敗?そんなの、俺らが生まれ育った国が決めたルール。ともすれば、ただの洗脳だ。
それを物差しとして考えるのは違う。少なくとも、俺はそんなものを人生とは認めない。誰かが決めたものを、誰かが強制したものを人生とは俺は認めない。
突き詰めた話、自分が表か裏かなんて関係ない。結局、自分で成功だと思えるか、失敗だと思えるかの違い。まぁ、そこにすら、道徳が関係してくると思うが。
少なくとも、道徳なんて教えられなかった俺にとって、表か裏かなんてどうだっていい。ただ、生きていれば。
本能に近い、生存本能に近い。俺はどちらの存在だって生きていける。例え、この世界でただ一人だったとしても、生きていける。
だから、俺は両方で生きていく。少しでも生きながらえるように。
表で生きることを望む少女がいる。
裏で生きることを望む血族がいる。
なら、両方で生きてやる。たとえ、どれだけの苦難が待ち受けていようとも、終わりをもたらせるなら。
俺はそれだけで生きていく。生きていなければならない。ただ一つの目標のために。
それが正しいかなんてどうでも良い。俺がやりたいからやるんだ。俺の、ただ一つの欲なのだから。