透ける薬・2
あるところに四六時中桃色妄想ばかりをしている中年の科学者がいました。
「若いころに作った全てが透けて見える薬のせいで、視界を元に戻すのに20年もかかってしまった」
中年の科学者はその間の苦労を思い、涙をにじませながら言いました。
「しかしこんなに効き目がある薬なのだ、逆に私の体を透けさせることができるのなら楽に女湯をのぞけるではないか。我ながら良いことを考える。グフフフ」
感動の苦労話にしようと思っていましたが、この下賤な笑い声で台無しです。最低ですね。
「基本的な理論は間違っていないのだ。待ってろよ。俺の女湯」
この変態ド腐れ科学者はどこからその情熱が湧いてくるのか、またもや昼夜を問わず研究を始めました。
「ようやく完成した。こんどこそ成功するだろう」
科学者は近所の銭湯の前にまで来ると、用意した薬をいっきに飲みほしました。
「ウェルカム俺の桃色人生」
今度は成功でした。自分の手をみても完全に透けていました。
エロエロ科学者はニヤニヤ笑いを見えない顔中に広げながら堂々と女湯に入って行きました。
「キャーッ」
中年変態科学者は簡単に見つかってしまいました。
なぜなら彼は確かに透けているのですが、透けて見えるのは自分だけで他の人には普通に見えていたからです。
哀れなある意味天才(しかし変態)科学者は泣きながらパトカーに乗せられて行きましたとさ。
(おしまい)