2.我が高貴なる純潔
私が目を覚ましたのは午前11時30分。彼女はまだまだ眠っていた。私の寝起きは最悪であった。私の頭の中の大きな鐘がぐぅわんぐぅわんと鳴り響き私の平衡感覚を蝕んでいた。
なんとかして立ち、水を飲みに我が部屋に帰ろとしたのだが、何かに足を掴まれた。私の足を掴んだのは図らずもとも彼女の手か土偶や埴輪の二択いや三択であり、それ以外にないであろう。そして土偶や埴輪ではないと願いたい。私は心底心霊現象の類が見えるわけどもないが苦手でなのある。何が楽しくてホラー映画やら心霊スポットやらに金を提供し呪われに行かなけばならなかろうか。そんなことをする人の気がしれない。自殺願望でもおありなのだろうか。そんな思案を約0.2秒程で行った後、私は恐る恐る後ろを振り返りそして安堵したのであった。私の足を掴んでいたのは案の定と言おうかやはり彼女であった。
彼女は眠たい目を擦りに擦り目が真っ赤になっていた。いや酒のせいか。また彼女も私と同じ状況でらしいく、水を求めているらしかった。私はやんわりと彼女の手をほどき水を汲み彼女に手渡した。彼女はそれを受け取り一気に飲み干しまた深い眠りに落ちていった。
私は今の状況を回らない頭で必死に整理した。ここは彼女の部屋だ。密室で、彼女は眠りこけている。そして私は男であり、彼女は女であるのだ。言わば私たちは男女である。私はこの驚愕すべき事実に気が付き、意識してしまった。確かに現在の坊主であり完全な酔っ払いであるが、しかしそれを軽く飛び越える程の可愛いさを持ち合わせていた。
私はおもむろにそそり立つそれを引っ張りだし彼女のあれを目掛け突っこ…それやあれといった指示語は勝手に想像して貰うとしよう。しかし私は所詮チェリーボーイ元を言い童貞であるがためにそんな大それたことができるはずもなく、私の固くなったそれはジーンズで抑え付けたまま彼女の部屋で外気に触れることはなかった。そうだ。私は19年間自身の純潔を守り抜いたではないか。それを酒の力を借りて、しかも寝ている相手に対してその私の高貴なる純潔をやすやすと破棄すべきだったのであろうか?否、断じてそのようことはあってはならない!
このようなひ弱かつ童貞丸出しこの上ない持論を展開し私はこの性戦に勝利を収めたのだった。はずであった。しかし現実は無情にも私を軽く突き放したのだった。
突然にして忽然と起きた高瀬川嬢は
「昨日は気持ちがよかったよ。君のはなかなかの大きさで少し痛くもあったが。それがむしろよかった。」
などと頬を朱に染め宣わったのであった。しかし私にはそんなことをした記憶のかけらもない。どうやら私の高貴なる純潔はやすやすと私が寝ている間に彼女の酒乱が故にもぎ取られてしまったのだった。
あぁ無情。これが記憶にないが彼女へのファーストタッチにしてファースト×××であった。