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神童

この物語はイジメを助長する目的ではありません。この話はイジメを含む一部作者の体験を織り交ぜたフィクションです。精神的に不安定な方や気分を害す方、感情的になりやすい方などは閲覧を控えてください。


登場人物


早川イサム(勇)

一卵性双生児の兄。弟より小柄で気弱な面もあるが努力家。父のサッカーに憧れる。




早川マサル(勝)

一卵性双生児の弟。明るくて素直な活発な少年。気弱な兄を支える優しい子。いつも兄と勘違いされている。


早川ソウスケ(宗佑)

双子の父親。サッカーJ2リーグのプロ選手。


早川ヨウコ(陽子)

双子の母親。フリーのカメラマン。取材の時に宗佑と出会い結婚。双子を出産している。今は専業主婦になっている


坂口ショウマ(翔駒)

朝比奈学園中等部1年。サッカー部でイサムと仲良くなる。明るく元気だけど少しドジっ子。


山本ナツミ(夏実)

朝比奈学園中等部3年。サッカー部のキャプテン。大柄でぽっちゃりとした優しそうな先輩。口調も性格もおっとりしている。


夜桜イオリ(伊織)

朝比奈学園中等部2年。サッカー部のエースストライカーで長身イケメンだけど言葉遣いが荒いのがちょっとネック。関西弁なので余計にきつく聞こえるが実はすごく後輩思い。


吉岡エミ(恵美)

朝比奈学園中等部2年。サッカー部の女子マネージャー。

「うっ…ってて…」

朝の5時、身体中の痛みでイサムが目を覚ました。筋肉痛でここまで痛むのは久しく無かったが普段のトレーニングより昨日の先輩達とのサッカーでいかに使っていない筋肉を動かしたかがわかった。


日課のランニングを終えて朝食を取るもいつもより腕の動きがにぶいし痛みで顔を顰しかめていた。


「大丈夫?」

イサムを気遣ってマサルが朝食のバナナの皮を代わり剥いて手渡す、


「ありがとう、いやぁここまで痛いの久しぶり、腕痛いの意味わかんないくらい」

「後でも届かない所に湿布貼ってあげるよ」

マサルに礼を告げて何とか朝食のパンとバナナを口に押し込んだ。


イサムが教室に入ると先に学校に着いていたショウマが同じ湿布の匂いをさせながら近づいて来た。互いの匂いに笑いながら話し始めた。

「昨日のあれ、三角サッカー思ってたよりハードだったな、腕ってそんなに使ったけ?ってくらいにビリビリ痺れてる」

「僕も日頃のトレーニングで使わない筋肉を隅々まで使った感じで全身湿布まみれだよ」

「「でもなんか楽しい」」

二人同時に同じ事を言ったので思わず楽しくなり笑顔になった。


マサルは教室でスマホでSNSを見ていた。


『偽りの天才』

『ファルジャーノンJ1で勝てるのか』

『プロから産まれた出涸らし』


「マサル、教室でスマホをいじっていると没収するぞ!」

ビクっと肩を震わせ横を見るとそこにはマモルの姿があった。


「脅かさないでよ、心臓止まるかと思ったよ」

「真剣な顔でスマホ見てるからからかったんだよ。何か面白い記事あった?」

マモルにスマホの画面を向けて記事を見せる。


「あぁファルジャがJ1に昇格したんだよね。僕も応援してるから楽しみなんだ」

「そこじゃなくてその下ね」

マサルがスマホの画面を指差す


「ファルジャーノンJ1は力不足…これってこの記事書いた人の感想だよね、気にする事ないってマサルくんのお父さん中心に勝って昇格したんだもん」


「そうなんだけど家族の事否定されるといい気分じゃないよ」

ため息ついてスマホを閉じた。


「マモルくんもサッカー好きなら父さんにチケット頼んでみるよ一緒に行かない?」

「えっ本当なら見に行きたい野球も好きだけサッカーも好きなんだよね」

何気無い会話で盛り上がり朝礼が始まるまでを過ごしていた。


 昼の休みに放送でイサムが職員室に呼び出された。クラスの注目を一気に浴びて目を丸くして恥ずかしそうに教室を出た。職員室の扉を開けると見覚えない先生が手招きで呼ばれた。


「オレは二年の体育教師の山田だ、それとサッカー部の顧問な。ここまで話しても何の事か分からんと思うが、二年生の夜桜はわかるか?」

「初日に三角サッカーを提案した先輩ですよね?」

「そうだ、まあその夜桜なんだがおまえを…早川をレギュラー推薦して来てな」

「ちょっ…ちょっと待ってください。ぼ…僕はまだ一年だし本入部もまだですよ」


流石に慌てて否定する。過去の記憶が戻った訳では無いが歳上を差し置いてレギュラーになるのがどれだけ大変かは本能で感じ取っていた。


「まあ落ち着け、推薦しているのは夜桜だけじゃない、二年全員だ。それと推薦されたのはもう1人、おまえも分かるだろうが坂口も二年生から推薦されている」

山田先生は一呼吸置いて再び話し出す。


「それとすぐにレギュラーって話じゃない、レギュラーと混ざって同じ練習をしてオレも含めてキャプテンと会議の上でスタメンは決める。どうだやってみる気はあるか?」


「皆さんにそこまで言ってもらえて断るのは男じゃないですよね…僕からもお願いします」

一礼をして職員室を出るとショウマも呼び出されていたらしく職員室の外で待機していた。


「何の話だった?」

「それが…」

「坂口来てるなら早く入れ」

イサムが答える間もなく呼び出された。イサムはショウマの様子を伺いつつ1人で教室にも帰りづらくショウマが出てくるまで待つ事にした。

ショウマは嬉しそうに職員室から出てきた瞬間手を上に挙げてイサムの反応を見る、


「ハイタッチ、ハイタッチ。手を出して」

そう言うとイサムの両手を挙げさせてハイタッチをする。


「やったな相棒、俺達で一年生レギュラー取ろうぜ」

「恨まれないかなぁ」

「先輩達の推薦って言われたろ大丈夫だって」

気楽なショウマに対してネガティブなイサムはどうしても素直になれなかった。



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