7.迎えに来ると信じている
私が最初願ったものは愛してほしかったこと。
役に立てれば、きっと認めてくれて愛してくれる
だから、私はあの人達のために努力した。
そんな見返りで愛されようとするなんて私は幼稚だし馬鹿だった。
今ではそう思ってしまう。
――
「…ん?」
目が覚める。
見覚えのない天井。音もなく、ホコリが舞っている
(ここって…どこだっけ?)
そして、頭に誰かの感触があることに気づく。
「目が覚めたか、主。」
「びっくりした…!」
いきなり顔を覗き込んできたのは私の武神である桜子だった。桜子は座った状態で私に膝枕をしていたようだった。
「…どうして桜子がいるの?」
「覚えておらんのかえ?」
「ええっと…」
一度頭の中を整理してみる。
確か…あれは家に戻ってきた時だった。
家に入れば、お父様が怒り心頭の様子で私の方へやってきてから…
「美奈子を泣かせるとはどういうことだ!?」
とか言って私の右頬に平手打ちしてきて…。
「痛っ…」
「あまり触らない方がよいぞ?」
右頬を触ればほら痛い。
それから、お父様は私を引っ張り出して
清原家の地下室に放りだしたんだった。
意識がなかったのはきっと、放り出された衝撃で床に頭を直撃したから。
「…ったくあの野郎」
空気扱いしてはいれど、実の娘に暴力振るった上にこんな場所に閉じ込めるなんてっ…
私なんであの野郎に愛を求めてたんだろう。
「はあ…」
やっぱりこの家にいても嫌な思いしかしないわね。
「早く来てくれないかしら…凪斗。」
とりあえず、今は彼を信じるしかない。
それから、舞花が地下室に閉じ込められて2日経った頃
清原家の食堂にて、清原家当主とその妻、美奈子が食を嗜んでいた。美奈子は一度、食を止めて父である清原家当主に問いを投げる。
「お父様、お姉様を地下室に閉じ込めて2日経っていますよ?そろそろ出した方が…」
「いや、お前を悲しませた罰としてあと2日はいてもらう。」
「そんな!お姉様が何も言わずに外に出たのは何か理由があったんですよ!きっとそうです!」
「だが、お前を悲しませたのだ。それは変わらな…」
そんな会話をしている時だった。
「こ、困ります!突然屋敷に入られては…」
「お引き取り下さい!」
何やら、屋敷内が騒がしくなっていた。
美奈子達は何が起こっているのか、確認しに行く。
「これはどういうことなんだ…」
清原家当主は驚きを隠せなかった。
何せ、三大家紋の一つである術者の本家、東風谷家当主の
東風谷凪斗が屋敷の中にいるからだ。
「舞花が見えないがどこへ行ったんだ?」
「分かりません。ですが、舞花様の武神の気配は感じ取れます。おそらくどこかにいるのでは?」
「そうか。」
それから、凪斗は舞花の家族らしき3人の前に来る。
「突然の、訪問をご容赦願いたい。清原家当主。
改めて、俺は東風谷凪斗、東風谷家現当主。
そちらの清原舞花を花嫁として迎えに来た。」
次は凪斗からの視点から始まります。