4.相応しい花嫁を見つける当主
凪斗side
彼女によって斬られ、灰のように消えていく妖。
そして彼女の隣にいるのは人型の武神。
それを見て俺は確信した。
ついに見つけた。俺の花嫁を。
――――――
東風谷家の当主となり、様々な仕事に追われていた。
術者の本家の当主との面会、沢山の妖や悪霊のいるいわゆる危険地域と呼ばれる場所への徘徊、そして様々な術者の家系の者たちとの交流会という名の花嫁探しをした。
花嫁になりたいという者たちはほとんどが俺の花嫁になりたい強い権力を手に入れたいという欲望の眼差しを向けてくる者たちばかり。
交流会では花嫁を見つけるのはすぐに辞めて、ことを成したらすぐに帰ろうとしたが思ったよりも交流会から抜け出すかとができず、その結果…
「お兄ちゃんの嘘つき!今日は私に術の使い方教えてくれるって約束したじゃん!だから、私、東風谷家本屋敷からここに来たのに!」
「す、すまない…思ったよりも交流会が長引いてな…」
仕事を終わらせたら術を教えるという妹である七恵との約束を破ってしまった。
当然、約束を破ったから七恵は怒り心頭。
「前も、お兄ちゃん嘘ついたよね!?」
「うぐっ…」
前回も約束を破ったため、何も言えなくて心にダメージを受ける。
「もうお兄ちゃんなんか知らない!」
そう言って、七恵は飛び出してしまった。
「はぁ…」
妹に嫌われてしまっただろうか…と絶望して膝から崩れ落ちてしまう。
「全く、七恵にあんな風に言われてへこむなんて」
そんな俺の姿を見て呆れながらやってきた母上。
「へこむでしょう。妹にあんなこと言われて」
「七恵もきっと分かっているのよ。あなたが忙しいってこと。分かってはいるのだけど、やっぱりあなたと遊びたいし学びたいのよ。」
「…」
「きっと、一度落ち着くために外に出ていったのよ。
あなた、行ってあげなさい。あなたが来てくれたらきっと機嫌直すわよ。」
「…はい。」
そう言って立ち上がって七恵がいそうな場所を点々とまわっていた時だった。
「色々とまわったが、次はもみじ公園か…って、ん?」
そこで俺は見た。
七恵を守りながら、妖に立ち向かおうとする彼女を。
淡い茶色の髪を下ろし、紫色の瞳を持ち和風軍服を身に纏っているおそらくクレナイ学園の者だろう。
彼女の隣にいるもう1人の女。
おそらくは武神。それも最上段階の人型の妖だった。
そして武神と共に傷一つつけずに妖をあっけなく倒していった彼女を見て俺は確信した。
彼女は花嫁に相応しい力を持っていると。
そうと決まれば、彼女に話しかけようとしたが残念なことに彼女はすぐさま去っていった。
(クソっ…間に合わなかった)
「あれ?お兄ちゃんなんでここにいるの?」
「わっ…七恵」
「なんで驚いてるの?」
「いや…別に」
「ふうん。それよりお兄ちゃん聞いて!」
「なんだ?」
「さっきね、お姉ちゃん2人に妖から助けてくれたの!
それでね、淡い茶色の髪に紫色の瞳を持ってる綺麗なお姉さんがあっという間に妖を倒してくれたの!」
「…そうか」
「また会えたらいいな〜」
どうやら、七恵は彼女に助けられたことにより彼女に惚れているようだった。
七恵と仲直りし、七恵と母上が帰った後に
俺は彼女について調べることにした。
「幸大」
「はい。なんでございますか当主様」
「クレナイ学園の淡い茶色の髪に紫色の瞳を持つ女子生徒を調べてくれ。」
「かしこまりました。」
凪斗の武神はちなみに、人型の武神です。
千夜という名前で武将のような容姿の武神です。
刀を持って戦います。