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命より重いもの/入魂
23.命より重いもの
村で有名な守銭奴が死んだ。村人たちが彼を弔ってやろうとしたとき、突然彼は息を吹き返した。守銭奴は息を切らせて言った。
「婆が六文銭を払えというから嫌だと言ったら、服をはぎ取ろうとしやがった。取られまいと必死で逃げ、戻ってきちまったよ」
村人たちは呆れた。まさしく、金の亡者だと。
24.入魂
ある山奥に昔気質の陶芸家がいた。都会からやってきた記者は、1つ1つ魂込めて作っているという彼の言葉に感動し、弟子入りを決心した。数年後、記者の友人が職人の下を訪ねて。
「友人がここで修行していると聞いたのですが、どこにいるのですか」
「彼ならばそこですよ。ほら、そこの戸棚の上に…」