本能寺で変
1582年6月21日 、本能寺の変により信長の野望は潰えてしまいますが、実際には、この日の数年前には既にコノ信長は亡くなっておりまして…… この事を知っている者は、信長の家臣の中では秀吉ただ一人だったので御座います。
とある夜、秀吉は上様(信長)から至急の用事で呼び出されまして、板張りの廊下を足取り重くも急ぎ気味に移動中で御座います。
ただ、誰かに自身の姿を見られるのも後々面倒そうなので、人目を避けて(今で言うNシステム回避ですな)上様の待つ部屋前に着きますと、
「秀吉に御座います。」
と、額を床につけて返事を待ちますが、物音一つも反応が無く……、
「秀吉に御座います。」
「秀吉に御座います。」
「秀吉に御座います。」
「秀吉に御座います。」
「秀吉に御座います。」
「秀吉に御座います。」
「秀吉に御座いますぅ。」
と連呼しても、ついでに一発の屁、ですらも全く反応がありません。
────おや?
秀吉は覚悟を決め、頭を下げたまま部屋の襖を開け閉めして器用に部屋の中へ入りますと、上様をチラリと見て御機嫌を伺います。
上様は、首を斜めに項垂れさせたままで、寝ている様にも見えます。
────おや?
秀吉は、中腰体勢で気配を消しまして、そおっと……そおっと……足音を忍ばせ上様と1mの距離まで近付き、手を上様の鼻の下に恐る恐る伸ばして呼吸を確認しますと……既に息が無かったので御座います。
外傷は……無し。
────さて……どうしたものか。
と、秀吉は1秒思案し天井を仰ぎ見ると、目で合図を送ります。
すると一瞬、天井がギシっと1回鳴って、暫く静寂が続くのですな。
それから1分ほど過ぎますと、Nシステムを回避してきた家来達2人が、上様に良く似た影武者(予め秀吉が用意させております)を連れてきます。
そして、家来達2人に上様の御召し物を脱がさせて影武者に着せると、遺体を同じルートで城外に運び出し、自身の城へ急がせたので御座います。
上様を影武者と入れ換えた秀吉には、家康を含め全ての家臣が酷い老眼・近視持ちの為、絶対にバレない自信がありますようで。
ただコノ影武者、今まで贅沢に飢えていた事が災いしまして、好き放題をし始めてしまうのですな。
ですので、特にクールな光秀氏との中は最悪で御座いまして、 光秀氏に対しての足蹴・ 罵詈雑言などは日常茶飯事ひどい扱いで御座います。
ヤレヤレ……と秀吉は人目を避けて、頻繁に偽上様のケツに蹴りを入れて釘を刺していましたが、それをウザがった偽上様は、次第に秀吉から距離を取るようになるのですな。
それから月日が過ぎまして、とある夜で御座います。
秀吉は光秀氏から至急の用事で連絡を受けまして、板張りの廊下を足取り軽く移動中で御座います。
ただ、誰かに自身の姿を見られるのも後々面倒そうなので、人目を避けて(もちろんNシステム回避で御座います)光秀氏の待つ部屋に到着しますと、そおっと部屋の中を覗いて様子を見るのですな。
その時の光秀氏は、首を後方に倒したまま寝落ちしてる様に見えまして。
────おや?
秀吉は、部屋の中へ静かに入って行き、光秀氏を起こさないよう、慎重に近づいて行きます。
そおっと……そおっと……足音を忍ばせ近づいて、光秀氏の顔と1cmの距離まで鼻先を近付けますが、全く反応は変わりません。
すると秀吉は、背後にまわり光秀氏の両目と鼻と口を手で塞いで呼吸を確認しますが……息は既に無かったので御座います。
外傷は無し。
────さて……どうしたものか。
と、秀吉は1秒思案し天井を仰ぎ見ると、目で合図を送ります。
すると一瞬、天井がギシっと1回鳴って、暫く静寂が続きます。
それから1分ほど過ぎますと、Nシステムを回避してきた家来達2人が、光秀氏に良く似た影武者(予め秀吉が準備させております)を連れてきます。
そして、家来達2人と一緒に光秀氏の御召し物を脱がせて影武者に着せると、光秀氏の遺体を同じルートで城外に運び出し、自身の城へ急がせたので御座います。
光秀氏を影武者と入れ換えた秀吉には、家康を含めた全ての上様の家臣が老眼・近視持ちの為、絶対にバレない自信がありますようで。
ただコノ影武者、今までの不摂生をコノ機会に大いに反省した事が裏目に出まして、偽上様とは別方向で超堅実的に固く固く真面目放題をし始めてしまいます。
その為、偽上様と偽光秀の相性は酷く、偽上様は偽光秀に対して、領地を取り上げたり893足蹴にしたりと、目に余る酷い扱いをするようになりまして……。
秀吉は、人目を避けて近接した偽上様のケツに、893蹴りを入れたりして釘を刺していましたが、それをウザがった偽上様は、秀吉に毛利攻めを命じて自身から更に遠ざけるのですな。
それを好機と捉え、偽上様は本能寺に遊びに行く予定を立ててしまいまして。
コレにイラっとした秀吉は、Nシステムを回避して足早に自室に戻ると、出発前に偽光秀を呼んで密室内で2人だけになります。
そして秀吉は、懐からエロ同人誌を取り出しますと、口から下ネタを漏らしながら偽光秀に、
────山吹色のオカシで御座います。
と手渡し、更に良いお話が……と偽光秀の隠れ肥満の片乳を利き手で揉みつつ卑猥全快な表情のまま、彼の耳元で囁きます。
「気付いているかも知れぬが……実は、あの上様は"家康"めが用立てた偽物に早漏……是非ともソナタの手陰で……カリ首を持って来て欲しい。」
「……。」
「引換に、偽物を暴いたという武勲と共に、ワシが直々に贅沢な褒美を取らせようぞ……ヒッヒッヒ。」
「……。」
「上様は、本能寺に少数で遊びに行くというから……イカヨウニでも。」
「……。」
その時の偽光秀はギコチナク頷いて、小刻みに震えながら喘いだようですな。
さて、"本能寺の変"の当日に場面を移します。
偽光秀軍の本能寺到着まで少し時間が御座いますので、秀吉力作の"本能寺の変"プランを御紹介いたします。
・偽光秀軍の半分を密かに買収して、戦闘開始と同時に、ドサクサに紛れて離脱させる。
・偽光秀が、違和感に気付いて撤退を考え始めた頃に、偽伝令に偽上様が直々に会いたいと偽光秀に伝えさせ、本能寺の奥へ誘導。
・奥の隠し部屋に偽光秀を入れたら、偽上様に会わせ、ワシに対して忠義を放棄した瞬間に、部屋を囲む廊下全てに火を放つ。
・ワシのSHINOBIにより、偽光秀の本能寺到着と同時に拘束中の偽上様を毒殺、戦闘開始と共に首を落させ、別のSHINOBIに胴体処理を任せて首と共に本能寺を脱出後、ワシと中国大返し中の船上で合流、首実検の後に偽上様の首を海上投棄。
・なお、戦闘開始を待って、信忠"殿"の自害工作も同時進行。
・あらかじめ付近の村々に金をバラ撒き、偽光秀の敗走予定ルートと時刻を吹聴、ソノ首を持って来たヤツには更に金を渡すと煽れ。
・ただし、別ルートで逃走する家康"殿"には手を出さぬよう、手を出した者は家族も含めて厳罰に処す……家康は、後々便利にコキツカッテヤル。
云々。
それでは……偽光秀軍、本能寺に到着で御座います。
(ただ今回は、時間の都合上、偽伝令に案内される偽光秀の場面まで、先に進めさせて頂きます。)
偽光秀、暗い廊下を小さな灯りで案内されながら進みますと、四方を廊下に囲まれた四畳半の部屋を黙視で確認します。
────警戒御無用。
とばかりに、ソノ部屋周囲の廊下を更に一週案内され、唯一の入り口である襖前に立たされますと、案内人は闇の中に消えてしまうのですな。
偽光秀は、辺りを見回し人の気配を探り、続けて部屋内の人の気配と物音に集中するも、罠は感じられません。
「お互い偽物同士、礼儀作法は無しだ。」
────部屋の中からの反応は無い。
念の為、部屋の襖を開ける瞬間に襲われぬよう、納刀状態の刀を両手で体前に持ち、鐺(こじり:鞘の尻)で10cmほど襖を開け、
(何時でも、"ゼロ距離抜刀"が出来るよう、偽光秀は構えた。)
……右足で襖の隙間を更に10cm右に広げ、庭で拾った石を投げ入れて反応を見ます。
────反応無し。
偽光秀は、襖を大きく開け逃道を確保すると、床の状態を慎重に足裏で確かめながら、部屋の中へ入っていきます。
(部屋の天井は、彼の直立状態の頭頂から数cm上の高さに有ります。)
薄暗い部屋の中には、上座側奥に(空間に浮いた)蝋燭の明かりが1つ、ソノ明かりの元に、首から下が照らされた胴体が座していたのですな。
偽光秀がソレに近づくと、服装から一目で偽上様だと理解出来たが……既に首が無かったので御座います。
ただ、首は無くとも無念さだけは伝わって来る握られた拳……同属である偽光秀の先行きも危ういぞ、とも取れる無言の警告が、彼を不安にさせまして、
(家康"殿"は、コノような卑劣な扱いはせぬ……秀吉……血も涙も無い鬼畜め。)
偽光秀は、もう一度辺りを見回します。
(コノ部屋の周りに火が付けば、自分の逃げ道は無くなるが……未だ実行されぬ。)
────試されている。
(ココまでも、この先も、全て秀吉の計略通りなら、もはや……自身に生存の可能性は無い……第二第三の偽物が成り代わるだけぞ。)
(ならば今後……秀吉に忠義は尽くさぬ。)
「本物の明智十兵衛光秀に成り代わって、コノ時代を治めて見せようぞ、秀吉。」
────外の廊下で、彼の全ての逃げ道を塞ぐように、一斉に火柱が上がる。
「最後に、今……物言えぬオヌシの代わりに言うてやろう。」
『是非に及ばず。』
コノ後、結果的に偽光秀を討ち取った秀吉は、晒し首の際、自身が保存していた本物の光秀氏の首とスリカエタ、と言う話に繋がっていくので御座います。
────えっ?……信長の首はどうしたか、ですって?
もともと信長は、濃い味が大変お好きで御座いますから、塩漬け保存されていた自身の首周辺の塩を全部舐め尽くします。
ですから、秀吉が後で確認した時には既に首は腐ってまして……上様本人と判別出来なくなってたのですなぁ。
まあ、コレを知ったら当時の秀吉本人も驚くでしょうが、コノ信長の首も実は7人目の偽物で御座いまして……歴史の闇は益々深くなって行くのであります。
────丁度、お時間で御座います。
偽物の私も、闇色の座布団から下りると致しましょう。