第一章 出会い
初めまして。凍記 元(いてつき 元)と申します。
初執筆です。
至らないところが多いかと思いますが、暖かく見守っていただければと思います。「雨女と晴れ男の憂鬱」連載開始いたします。
静かな山間の町、風見町。梅雨の季節が始まり、空は灰色の雲に覆われていた。山奥にある風見神社は人々から忘れ去られ、光を失っていた。
雨女と呼ばれる彩は、この季節が最も嫌いだった。なぜなら、彼女が外に出ると必ず雨が降るからだ。その日も、彩は古びた傘を持って駅へ向かっていた。
彩は高校二年生。彼女の家は代々続く和菓子屋「甘露堂」で、放課後は家業を手伝っている。しかし、外に出るといつも雨が降るため、友人たちは彼女を避けるようになっていた。彩は静かに、そして内向的に暮らしていた。
一方、晴れ男の直人は、風見高校に転校してきたばかりの高校二年生だ。彼は常に晴天を引き寄せると言われるほどの幸運の持ち主で、スポーツ万能で明るい性格から、すぐにクラスの人気者になっていた。彼が外に出ると、たとえ嵐が予報されていても、青空が広がるのだった。
その日、二人は駅のプラットホームで偶然出会った。彩の傘から滴り落ちる雨水が、直人の靴を濡らしてしまった。彩は慌てて謝り、直人は微笑んで「気にしないでください」と答えた。その瞬間、雨が止み、薄日が差し込んだ。
「不思議だな……」直人は呟いた。「君がいると雨が降るのに、僕がいると晴れるみたいだ。」
彩は驚いて直人を見つめた。「あなたもそう思いますか?」
二人はその日から、運命に導かれるようにして交流を深めていった。
読んでくださりありがとうございます。第二章も近々更新致します。