だから処方されているんだこの薬は!
いきなり、自分の言葉についてのエピソードである。もうずっと前の話。
私は医学部を目指した浪人生だった。学費の関係で国立大学、上位3番目位までの私立大学のみ受験可能だったが、正直自信なんて少しもなかった。しかし、小学生からの夢で、ずっと医者を目指し“つつ”勉強してきた。簡単には諦められない。一方で疲労とプレッシャーが私の精神を確実に削いでいく。毎日、毎日多くの薬を飲んでしのいでいた。薬がその場しのぎでしかない事、ストレスの原因を取り除かない限り回復しない事は心療内科に初めて足を運んだ時から分かっていた。
苦しい、動けないから薬を飲もう
薬を飲み過ぎてはいけない
薬が無いと勉強どころか、普通に生活するのもままならない
薬に生かされている
薬が無いと生きていけない人生なんて、、
そうだ終わりにしよう。夏の夜、急な強固な決意が固まってしまった。それからは何も感じなかった。恐怖もない。淡々と準備をしていく。手持ちの薬の種類と数を数え、2Lのお茶をテーブルに置く。これだけの量を飲めば流石に十分だろう。そう思った。しかし、ふと、確実に成功させたいと言う思いがよぎり、致死量を調べてみた。なんと、強い方の薬でも2万錠以上だった。磨り潰し、粉だけを胃に詰め込んだとしても、恐らく収まらないであろう量である。益してやお茶を飲みながらなど到底無理である。
そうかあ、、どうしたって無理なんだ。なるほど、絶対に無理だから患者に処方されているんだ!
なるほどなあ。。じゃあ、止めよう。
妙にすっきりした私は薬をしまい、勉強を再開した。
確実に死にたい気持ちが、結果として私を生かしたのであった。