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未ジュクナデシ子  作者: 夜影 月雨
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愛サイベン当

 夕陽が沈みかける頃、私たちはそのオレンジ色に染まるぼんやりとした光に包まれながらまだキスをしていた。


本当に圭はキスが上手。

私は今まで、彼氏なんてできたこともないし、キスなんてしたこともないから基準なんてわからないけど、本当に溶けてしまいそうになる。

恋愛経験ゼロの私でもわかった。


 そしてゆっくりと私の唇から離れ、私を見つめ何も言わずにそっと抱きしめてきた。


あっ何もできない。


こんなドキドキの中。


頭の整理が全くつかない。


真っ白。


恥ずかしい...。


もしかしてこの後...。


抱きしめられた5秒後、恥ずかしさの限界にきた私は彼の肩を押し、立ち上がった。


 唯愛「すっすみませんっ!」

そお言って彼の顔を見ることができなくなり、その場を立ち去った。


 その勢いで学校をでて、必死に走り学校の外にでる。


汗でいっぱいになった私。

それが服に滲んでいることよりも、あの時の彼の唇の方が気になり頭から離れなかった。


本当...柔らかかった。


でも、抱きしめられてさらにビックリして、恥ずかしくなって...

彼を押し、急に立ち去った時に、彼の顔を見てなかったけど...


あの時彼はどんな顔をしていたのだろう。


嫌じゃなかったんだよ。

ただ恥ずかしさが最大になっただけなんだよ...。


でも展開が早すぎて...。


好きという感情になったのも初めてだし...。


ほんと何もかも...。


圭はなんで私にあんな事を...。


ずっと頭の整理がつかないまま私は家に帰った。


 家に帰り玄関の靴をみると、両親は仕事にでていて家には誰もいなかった。

私だけの靴がある玄関を見て我に返る私。


そんなこともう慣れているの。


いつものように、冷蔵庫に買いだめしていた食材を使って晩御飯を作る。

私は小学生の時から自分でしていた。

そう。料理に関してはそこら辺の人たちに負ける自信はない。


今日は私の大好きなトンカツを作る事にした。

大好きな音楽をかけながら今日あった事の気分を紛らわすために。


料理を作る時間が、唯一の私の幸せのひとときだった。


誰に食べてもらうわけでもないが、以前に同じものを作った時よりも美味しくできたら、成長したっ!と幸せな気持ちになれる。


それに家には誰もいないし、誰にも邪魔もされない。

スマホの通知もこの時だけは音を消していたぐらい。


そしてようやくトンカツも出来上がり、いつものように誰もいない食卓に座り、手を合わせ「いただきます」をする。


 「ん~っ!今日も美味しっ!さいこ~!」


普段学校では表情一つ変えない私だが、この時間だけは独り言も多くただの元気で健気な女子高生。

じゃあ学校の昼ごはんの時はどうしてるのかというと、心の中では本当はご飯が美味しい時には笑顔でいっぱいになり、はしゃぎたいが、周りの人たちに見られるのが嫌で、自然と気持ちを抑えてしまう。


だからこそ家では全てが解放されるのだ。


 そして上手にできたトンカツを食べ終えお茶を一口飲み、一息ついた。


.......................。


やっぱり今日のキスは忘れられない。


圭の優しい顔を見て一瞬で一目惚れしてしまった私。

ビックリしたけど、今思えば嬉しかった。


 「先生落ち込んでるかな....」

ボソッとつぶやいてしまう。

別に悪いことをしたわけでもないが、押しのけた事に本当に申し訳なくなってしまっていた。


 「先生トンカツ好きかなぁ」

私は彼に ごめん の意味を込めてふとトンカツをあげようと思ってしまった。

もうそう思ってしまったら、すぐに行動に移してしまう私。

食べ終えたお皿を台所に下げ、洗い、食器棚からお弁当箱を探してトンカツを詰める。

トンカツだけじゃ物足りないと思い、ミニトマト、卵焼き、タコさんウインナー、最後におにぎりを入れ、愛妻弁当のように完成してしまった。


 ちょっとオーバーだけど、まっいっか。ごめんの意味もあるし。


この愛妻弁当を準備した私は次の日、圭に渡すことを決める。

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