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未ジュクナデシ子  作者: 夜影 月雨
34/39

圭ノ言葉

 圭からの手紙。


私は椅子に座り、その手紙を広げ読んだ。




 「 唯愛。元気にしてますか?


直接会って話をしたかったのですが、生徒自体に会うことも許されなかったですし、君も僕に会いたくないかなと思い、初めて二人で読んだこの本に挟み、手紙で思いを伝えようと思いました。


君がこの手紙を読んでいる頃には、僕は君の前から姿を消しているでしょう。


僕は教師を辞めます。


君を傷つけないようにし、彼女をこの学校から遠ざける方法、ずっと考えていたけど見つからなかった。

彼女が僕に対し未練がある事は知っていたから。

君に嫌われる覚悟であんな事をした。


すごく嫌な思いをさせたと思う。


本当にごめんなさい。


でも、僕がいなくなったことで、恐らく周りのクラスの生徒たちは、君たちに謝り、必ず君たちにとっても今後、いい学校生活が送れるはず。


この手紙を見ている頃は、もうそうなっていることでしょう。


唯愛は人を引き付ける魅力を持っている。


だから僕も君に一目ぼれしたし。

美華さんだってそう。


今のありのままの姿でいい。


自信をもっていい。


今のままでいれば、必ず僕よりも素晴らしい人が現れるはず。


だから僕の事は探さないでください。


忘れてください。


今、君を大事にしてくれる人。その人達としっかり向き合って無事高校を卒業してください。


今までありがとう。



さようなら。  圭   」


私はこの手紙を読みながら涙を流した。

誰もいない図書室で私の悲しい声が響き渡る。


 圭...。


 圭...。


圭はこれを書きながら涙を流していたのだろう。


手紙を広げた時からすでにクシャクシャだった。


それをさらに私の涙でクシャクシャになる。


ずっと彼がいなくなったことを現実として受け止める事ができなかった。


心のどこかで、いつか彼に会えると思っていた私。






圭から私への最期のメッセージだった。

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