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未ジュクナデシ子  作者: 夜影 月雨
31/39

冷タイ空気

 次の日。


私は学校に行った。

本当は行きたくなかったが、美華が朝から迎えに来てくれていたからである。


私が美華を支えようと思っていた矢先、あんなことがあり、すぐに私の力は尽きてしまっていた。

一日も彼女を支える事ができなかった私。


一緒に彼女と登校するが、さすがに口数は少ないし足取りも重い。


私と同じぐらい彼女にもダメージはくらっているからだ。



 「唯愛を傷つける事になるかもしれない」

彼の言った言葉を思い出し、また涙を流す。


彼はあの人と不倫をすることで、周りからの注目を一気に自分たちに集めようとしていたのかもしれない。

だからといってあそこまでの事をしてなんの意味があるのか。


そう思い、私たちは学校に着き、教室までいった。

相変わらず、クラスの皆は昨日の事で話が盛り上がっている。


 女子生徒A「圭先生ってさ、あんな大胆な人だったんだね」


 女子生徒B「ほんとそれ!ドラマみたいだったよ。いけない恋。イケメンと美女の不純な愛。昨日私もドキドキして夜眠れなかったもん」


皆どこか楽しそう。


それもそうだ。


他人事だから。


世間ってこんなもんだ。


人の事を見てからかい、そして笑う。


美華の事をイジメていたことなんていつの事だったかと思わせるぐらいに、今は彼とあの人の事で話題沸騰だった。


 朝のチャイムが鳴り、皆席に着く。


ガラッ!


いつもと違うドアの開け方。

その予想は的中。


入ってきたのは圭ではなく、教頭先生だったのだ。

クラスの人たちも静かにざわつきその異変を楽しんでいる。


先生は教壇にあがり、皆の顔を見ながら口を開いた。


 「皆おはようございます。私から皆に話があります」

なんとも言えない顔で淡々と話し始めた。


 「ここのクラスの担任だった真田圭先生は、昨日を持ちまして教師を辞める事になりました。また、それと同期でこちらにこられた、坂上ゆみ先生は一身上の都合により、県外の学校へ異動する事になりました。急な対応で本当に皆さんには申し訳ないと思ってます。しばらくここのクラスの担任が決まるまでは、臨時の先生に受け持ってもらう事になりました。また皆さんの保護者の方には改めて、私達教師の方から、お話する予定です」


私はその言葉を聞きながら涙を流していた。


皆に気づかれない程度に。

我慢して、我慢して。


朝学校に着いた時なにか嫌な予感はしていた。


下駄箱での空気。


いつも登る階段。


教室までの廊下。


まだその時にはわからなかったが、空気から何か失ってしまっていることを感じていた。


的中。


圭は私の前から完全に...。


姿を消した。

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