諦メナイ夕陽
圭とあの日以来の再会だ。
私は彼と目を合わせるのが怖く、下を向いたまま。
その中隣で、ずっと手を握ってくれている美華。
そして先生の朝礼が始まった。
「みっみなさんおはようございます...。今日の朝礼をはじめたいと思います...」
いつもの彼の口調からすれば一見自然に言ってるように見えるが私にはわかった。
いつもより動揺している彼が...。
彼も私が学校に来る事は、美華から事前に言ってもらうよう伝えていた。
その伝えたときはいつも通りの暗いテンションで"わかった"と言っていたと彼女から聞いている。
なのに私を前にしてこの動揺。
やはり何かあの日以来から感じるものはあったのかもしれない。
私に卒業後付き合おうと言っていながらも他の女とキスをしているのを見られた事。
まだ彼から答えを聞いていないが、恐らくそれが正解だろうと感じた。
そう思えば、前より気持ちもスッキリしている私。
別の男なんて他にもいっぱいいる。
それに性別でくくらなければ美華だっている。
もっと私が大事にしたいと思う人はこれからでもたくさん...。
そう思いながら顔を上げ彼の顔を見た。
えっ?痩せてる?
他の人にはわからないと思うが私にはわかった。彼のゲッソリとしたその顔に。
なんで...?
私がいなくてスッキリしてたんじゃないの?
あの人が好きなんじゃないの?
ここでふと以前思ったもう一つの希望の光を思い出す。
もしかしたらあの時あの人が強引にキスを...。
いやいや。でもそれを期待すればするほど、違った時私は立ち上がれなくなる。
でもなんで痩せているのか?
私は彼ときちんと話がしたいと思った。
なんとか無事に朝礼も乗り切り、その後も美華がフォローしてくれたおかげで全ての授業を終わることができた。
美華「唯愛~!お疲れ様!よく頑張ったね」
いつも頭を撫でてくれていた彼女だが触れることはせず、せいいっぱいの言葉で励ましてくれた。
美華「よおし!これからいよいよ私の出番か~!ちょっと職員室に言って先生に手紙渡してくるね」
ついに渡すときがきた。
その手紙の内容は...。
「先生と話がしたいです。近くの公園で待ってます 唯愛」
これだけだった。
色々書きたかったし保険もかけておきたかったが、たくさん書いて嘘の準備をされても嫌なため、この文にした。
美華は私に教室で待ってて。といい、笑顔で職員室に向かった。
教室から窓の外を見ると、今日も空一面曇におおわれていたが、そのわずかな隙間から、オレンジ色の夕陽がまだ一生懸命光を出し、出はじめた月と戦っていた。