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未ジュクナデシ子  作者: 夜影 月雨
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ナミダ

 美華「おじゃましまーす!」

私の部屋に入り、くつろぐ彼女。


布団の上にあるパンダのぬいぐるみを気にいったのかそれを自分の膝に乗っけ抱きしめながら布団の上に座っていた。


 パンダのぬいぐるみ...。


彼との動物園が忘れられず、ずっと私も毎日抱きしめて寝ているこのぬいぐるみ。 

 

 美華「このぬいぐるみ、唯愛の香りがめっちゃする」


 唯愛「そんな恥ずかしいから匂っちゃだめだよー!」

そんな事知る由もない彼女は、今日も私にさりげなく元気をくれた。

複雑な気持ちではあったが、おかげで私にも少し笑顔が戻ったのだ。


そして、学校からもらってきた就活アンケートをもらい、買ってきてくれたシュークリームを食べながらくつろぎ、あの日の話をはじめた。


 美華「あの日...唯愛が倒れた時。本当に心配したよ...」


 唯愛「うん...。本当に美華には助けられたよ」


 美華「先生達と何かあったんだよね?」


 唯愛「....」


 美華「私さぁ先生にあんな事言っちゃってさぁ...。でも私...。本気でそう思ってるからね。唯愛に悲しませること次したら、まぢでただじゃおかないんだから」


 唯愛「美華...。本当にありがとう」

美華はあの時、私を本気で守ってくれた。


あの時美華がいなければ私はどうなっていたかわからない。

ずっとそう思っていた。


 しばらく二人は下を向き沈黙していた。すると彼女がゆっくりと口を開き衝撃の言葉を私に伝える。





 「...私が付き合ってあげようか?」





 「えっ?」



一気に頭が真っ白になる私。


そして私が彼女と目が合ったのと同時に、近づいてきて私にキスをした。



 美華...。



 どうして...?



 美華...。


 

 なんで...?



その後、少し私の目を見て何も抵抗していないことを確認した彼女は、私をそっと抱きしめ、再度キスをしてきた。


 キスをされて約10秒。


未だに頭の整理がつかず固まったまま。


そして思わずハッと我に戻り、彼女を押してしまった。


 その行動に驚いた様子もせず、彼女は私を切ない目で見つめ口を開いた。


 「唯愛。私は本気だよ。唯愛の事友達だけど、それ以上だと思ってる。」




 「愛してるよ。唯愛」




私は美華から告白されたのだ。


その後彼女は、微笑みかけながら私に向かって両手を広げ、胸に飛び込んでくるのを待っていた。


私はどうすればいいのかわからなかった。


もちろん美華は友達。


いつも頼りになる友達。


友達...。


いや。それは私が思っていただけ。

彼女はそうじゃなかった。


私が圭に対して必死だったのと同じように、彼女も私に対してそうだったのだ。


彼女は一生懸命私と向き合おうとしてくれていた。なのに私は...。


 唯愛「美華。その言葉ありがとう。でも少し頭が混乱しちゃってて...。その答えもう少し待ってもらえないかな?」

私は彼女に今の気持ちを正直に伝えた。


すると今まで気が張っていたのか、私の返事で力が抜け、彼女は下を向き大量の大粒の涙を流した。


美華の涙...。


彼女が私の前で泣いたのはこれが初めての涙だった。

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