2-21地図をかき集める
「あそこはデビルベアの巣穴なんだ、だからきっとジーニャスは今頃デビルベアの餌さ」
「デビルベアの巣穴だって!? どこだ、それはどこにあるんだ!!」
「ええと、右に山があって左に大きな湖がある。そ、それに確か遺跡があるところだ」
「まるほど分かった、それじゃお前は帰ってフォルクに失敗したと言え」
「そんなこと言えるかよ!? 俺はもうこの街を出る!! フォルクに殺されちまう!!」
「お前の勝手にしろ、だがもう一度僕たちをつけてきたら斬る」
最後に男の顔のスレスレに僕は短剣を振るった、ソアンも大剣を僕の後ろで振り回してみせた。それで男は腰を抜かして気絶しその場から動けなくなった、他に仲間もいないようだったからそのまま放置した。それよりもこれからのことが大事でその場で僕はよく考えてみた、エリクサーを手に入れるにはデビルベアを少なくとも一頭、下手をしたらデビルベアの群れを相手にしなければならなかった。
クレーネ草の薬を使ったとしてもデビルベアの群れの相手は難しかった、普通のクレーネ草の薬では中級魔法までしか使えないからだ。デビルベアがどれだけ魔法に耐えれるのかも問題だった、僕とソアンは彼らと戦ったことがない分からなかった。普通の熊となら戦ったことがあったが、その時は僕が上級魔法を自由に使えたから論外だった。
改良したクレーネ草の薬なら上級魔法を使えるかもしれない、でも今回は僕たちの命がかかっているのだ。だからかもしれないという憶測に命を賭けるなんてできなかった、それでも僕たちはエリクサーのありかに行かなくてはならないのだ。なぜならジーニャスにフォルクが害をなそうとしていた、そう聞いてしまったから僕たちは行くしかなかった、そして他に頼れる仲間が今の僕たちにはいなかった。
「リタ様、領主の館に行って領主様にフォルクのことを伝えてみたらどうでしょう?」
「それも難しいよ、ソアン。第一にフォルクがジーニャスを本当に、デビルベアをけしかけて殺そうとしている証拠が何もない」
「この気絶した男をもう一度、捕まえて連れていってみてはいかがでしょう?」
「こいつはいろいろと知っていたが、本気でこの街を逃げ出すつもりのようだった。僕の勘に過ぎないが嘘はついていないようだ、でも警備隊にこの男が捕まってもいいくらいなら、フォルクからそれほど重用されていないんだ」
「それではエリクサーのありかも、それが本当がどうか分かりません!?」
「そうなんだ、それでも僕たちはジーニャスを助けにできるだけ早く、どうしてもその場所へ行かないといけないんだ」
ジーニャスなら笑って来なくていいというだろう、だが彼は既に僕たちの大切な友達の一人だ。僕たちで助けられるなら助けたい、それにジーニャスが死ねばシャールもきっと長くはもたないと思った。僕とソアンはこれからのことを簡単に話しあった、そうしながらエテルノのダンジョンへと向かうことにした。僕に一つだけ僅かな希望だが考えがあった、運が良ければだがその確率は低くはなかった。
「ソアン、エテルノのダンジョンについたらカイトとミーティアを探してくれ」
「はい、リタ様。それでどうなさるのです? 応援を頼むのですか?」
「デビルベアの群れ、そんな命を賭けるようなところに、彼らをつれていけないが情報を買うんだ」
「何の情報でしょうか、デビルベアの群れのですか?」
「その情報が買えれば最高だ、でもそれがなくても地図が買えるかもしれない」
「ああ、あのお二人なら今まで行った場所の地図、確かにもっているかもしれません」
そう話し合っているうちにエテルノのダンジョンの入り口についた、僕とソアンはカイトとミーティアを手分けして探した。僕が運が良いことにミーティアを見つけた、彼女はエテルノのダンジョンに入る列に並んでいた。用心深いミーティアは今までの地図を持っていた、だから休憩所を一つ借りてミーティアからその地図の写しを買い取った。
「なんや師匠、急いでるんか。ほな、売りもんやから手伝うわ」
「本当にありがとう、ミーティア。この地図は大事にすると良い、いつか役に立つかもしれない」
僕が休憩所でミーティアの地図を写している間に、ソアンがまたしばらくしてカイトを見つけた。彼女は出口から出てきたカイトのパーティと交渉して、同じように地図を写させてもらえることになった。それに地図には地形に加えて、今までにデビルベアが出た場所更にダンジョンに入った時間、そんな細かい情報まで彼の地図にはのっていた。カイトたちはさすがに金のパーティだけあって、正確な地図と細かな情報を大事にしていた。
「俺の仲間は用心深いからよ、でも本当に写しでいいのか?」
「ああ、本物は大事に持っておくと良い。これはおまけの情報だが、この地図はいつかきっと役に立つ」
カイトとミーティアにはハッキリとは言わなかったが、エテルノのダンジョンの地図が一時的な道案内ではなく、もっと重要で大事なものだと伝えておいた。彼らも冒険者だからそれだけで何かを察したようだ、二人とも信頼がおける仲間を持った良い人間たちだ。でもだからこそデビルベアの群れとの闘い、そんな可能性がある場所へは連れていけなかった。
さて僕はエテルノのダンジョンに入る前にできるだけのことをした、あのフォルクが雇っていた男の情報は嘘ではなさそうだった。カイトから買った地図にそれらしき場所があった、ではあとはエテルノのダンジョンに入るだけだ。そしてできるだけフォルクとジーニャスがいる場所、デビルベアの群れがいるところに近い出口からでなければならなかった。これはエテルノのダンジョンに入った時間と関係がありそうだった、カイトと僕の情報を合わせると地図の出口には法則があった。
だがデビルベアの群れをどうするのかが問題だった、僕がクレーネ草の薬を飲んだ中級魔法でどうにかできるだろうか、いや僕はもう一度カイトの地図を見直した。そしてその書かれている細かい情報と恵まれている地形に感謝した、これなら中級魔法でもデビルベアの群れを倒せそうだった。だからソアンにあらかじめ作戦を話して聞かせた、ソアンだって命をかけるのだから絶対に説明が必要だった。
「確かにリタ様、これならデビルベアの群れを倒せそうです」
「地形が鍵になるよ、ソアン」
「ええ、それにどれだけの間、デビルベアの群れを足止めできるかです」
「そうだ、彼らの足をできるだけ遅らせて怒らせ、そしてこの場所へと誘い込む」
「私が囮になります、リタ様はクレーネ草の薬で魔法を、そして彼らを足止めをしてください」
「いうまでもないが、ソアン。ジーニャスは大事だが、君は僕にとってそれ以上に大切な子だ」
僕は休憩所の中でソアンをギュッと抱きしめた、ソアンはいつもと変わりがなかった、体がとても温かい小さな可愛い僕の養い子だ。ジーニャスは大事な友人だが、ソアンの命とは比べものにならなかった。だから僕はそのとても大切な養い子を抱きしめながら伝えた、凄くそれは残酷なことだったが言っておかなければならなかった。
「ソアン、君を失う気は僕には無い。何かを失敗してしまった時にはそれが、たとえジーニャスという友人でも見捨ててくれ」
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