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2-14すとーかーができあがる

「俺にとっては大事な兄上なのさ、俺は父も兄もそして妹も大事にしたい」

「ふん、弟が兄に従うのは当然のことだ!! 馬鹿め!! 役に立たない妾腹の妹など大事にしてどうする!!」


 僕とジーニャスは休憩所の入り口から聞こえた声に思わず振り返った、そこにいたのはジーニャスの兄であるフォルクだった、おそらく入り口を守っている剣士たちを押しのけて来たのだ。剣士たちはここの領主に仕えているから、その領主の長男であるフォルクを止められなかったのだ。僕は金と銀の本を見つけたことを話さなかったことを良かったと思った、なぜならフォルクならその存在を知れば僕から無理矢理に取り上げるだろうからだ。


「これは兄上、ここは庶民のむさ苦しい休憩所ですが、どうしてここに?」

「俺もエリクサーを探しに行くからだ!! 街の冒険者どもは全く役に立たん!!」


「それでは兄上の剣士たちをお連れになるのですね、あのエテルノのダンジョンは危険です。……どうかお気をつけください」

「そんなことはお前などに言われずとも分かっている!! ふんっ、全く馬鹿な弟め、父上がお前を呼んでいるぞ!!」


「それでは一旦、父上のところに戻ろうと思います。俺が連れてきた騎士たちは疲弊しております、ですから一緒に連れ帰ります」

「ふん、貴様ごときを頼る父上が俺様には分からん!! 弟など何もせずただこの兄を敬い引っ込んでいろ!!」


 僕はジーニャス兄弟の遣り取りを少し離れて控えながら聞いていた、フォルクと共にエテルノのダンジョンに行く者は不幸だろう、指示を出す人間がこれではまともな捜索にはなりそうになかった。だが僕には関係がない話なので、ジーニャスが下がる時に彼と一緒に休憩所を出ていこうとした、するとフォルクがまたとんでもないことを言いだした。


「おい、エルフ。あのハーフエルフを置いて行け、まだ小娘だが俺が上手く使いこなしてやろう」

「……オラシオン国とプルエールの森との不可侵条約をお忘れですか?」


「煩い!! ハーフエルフなどまともなエルフですらない、だから条約には違反しない!!」

「いいえ、ソアンはプルエールの森の一員です。ですから不可侵条約が彼女を守ります」


「うっ!? 生意気な庶民め、エルフなど顔が良いだけの道具の分際で!!」

「申し訳ありませんがこれ以上、オラシオン国とプルエールの森との不可侵条約に触れたくありませんので失礼致します」


 ソアンをフォルクに差し出せなんてこんな馬鹿な話は無い、ソアンもプルエールの森の立派な一員なのだ。たとえハーフエルフだからといってもそんなことは関係ない、オラシオン国とプルエールの森との不可侵条約で彼女は守られるべき存在だった。それをこのフォルクという男は屁理屈をこねて無視しようとした、だがそんなことは絶対に僕には許せないことだった。


 だから僕は黙って僕らの話を聞いていたソアン、彼女の手をしっかりと握って一緒に休憩所から出ていった。そのことでフォルクがまた誰か部下に喚いていたが、それ以上僕たちを追ってはこなかったのは多分ジーニャスがいたおかげだ。ジーニャスは兄の発言を遮ることはしなかったが、僕たちが休憩所を出るまでそこにいてくれた。そうして、休憩所を出たら僕たちにこう言った。


「リタとソアンよ、兄には気をつけろ。兄上はエルフやハーフエルフを道具としか思っていない」

「ええ、よく分かりました。あの調子では彼は条約があっても、それを無視するかもしれないのですね」

「私はリタ様以外に仕えるのは嫌です!!」


「そうだリタよ、兄上は法を軽く考えている。ソアンよ、兄上は一度目をつけた女に、変に執着するから気をつけろ」

「ソアンに手をだすようなら、どんな手を使ってでも止めます。その時は、ジーニャスすみません」

「うわわわ、私なんて背も小さいし、顔もそんなに良くないのに、……嫌なストーカーができちゃった」


「リタよ、兄上がソアンに手を出そうとしたら構わん。オラシオン国とプルエールの森との不可侵条約に触れる、その時は必ず俺と父上がお前たちを助けよう」

「嫌な役目を押しつけてしまって本当にすみません、でもソアンは僕にとって大事な家族ですから譲れません」

「ジーニャスさん、リタ様。お二人ともお手をわずらわせます、私はしばらく目立たないように行動するようにします」


 僕たちとジーニャスはそう言葉を交わして別れた、ジーニャスは父親である領主のところへと向かった。僕たちは今はエテルノのダンジョンに行く気にはなれなかった、エテルノのダンジョンは入る度に姿を変える、でも少ない可能性だがフォルクと同じ場所に出るかもしれなかった。僕にはさっき使ったクレーネ草の薬の副作用の心配もあった、それにクレーネ草の薬の改良もしたかったし、黄金の本の解読もしなければなかなかった。


 だから僕たちはとりあえず宿屋に戻ることにした、もう日も落ちかけていたので帰る以外の選択肢はなかった、帰り道でソアンは僕にくっついて離れなかった。それも無理はないだろう、フォルクのような人間に執着されたら堪らない、僕は自分が女性でなかったことに感謝した。女性を差別するつもりは全く無いが、フォルクの中では男性より女性は下に見られていそうだ。そうして、僕らは宿屋の部屋に戻った、そこでソアンとこれからのことを簡単に話し合った。


「リタ様、私に何かできることはありますか?」

「そうだね、ソアン。クレーネ草の薬を改良するから手伝ってくれ」


「……あのお薬は危険ですから、あんまり飲み過ぎてはいけませんよ」

「分かっている、さっき飲んだ分の副作用がそろそろでそうだ。宿の厨房も借りないといけないし、薬を作るのはそれからにしよう」


「リタ様は時々自分を軽く扱い過ぎです、だから本当にクレーネ草の薬を飲み過ぎたらいけませんよ」

「あの薬には僅かだが中毒性と毒性がある、ソアン。僕はそれを決して忘れてはいないよ、でもエテルノのダンジョンを攻略するには多分だが必要なものなんだ」


 先ほどエテルノのダンジョンでクレーネ草の薬を使用した分、これで約半日だが僕は不眠と不安それに体が少し震えるような寒さに襲われた。それでも僕はこれからもクレーネ草の薬を使う、その言葉にソアンは軽くお説教をした。だが僕にクレーネ草の薬の副作用が出始めると、いつものように僕にくっついてその体で僕の体を温めてくれた。その頃には時間も夜になっていたので、僕たちは抱き合ったままいつものように眠りについた。


 クレーネ草の薬の改良には厨房を借りなくてはならない、だからそれは翌日の夜にすることにした。特に難しいことではないかった、クレーネ草の薬を作る時にエテルノのダンジョンで手に入れた、特別な薬草を加えるだけですんだ。そう薬を作るのは難しくなかったのだが、思ったよりも薬草を使ってしまい、それでもできた薬はたったの一瓶だけだった。


「これじゃ、改良したクレーネ草の薬を試せないね」

「仕方がありません、そのお薬を使わないですむようにしましょう」


「そうだね、なるべくこの薬には頼らないですませよう」

「次は黄金の本の解読ですね、これは私は役に立ちそうにありません」


「でもいつもように外を出歩くのは危険だ、フォルクの監視がついているかもしれない」

「むうぅ、あのストーカー男め。それでは私は宿屋の裏庭で素振りでもします」


 ソアンの言うすとーかーという言葉は分からなかったが、ジーニャスが言うにはフォルクがソアンに変な執着を抱いているらしいのだ。そんな彼の言葉は無視できないので、僕は念のためにソアンに僕の傍にいてくれるように頼んだ。ソアンはその言葉に素直に従って、僕がソアンの姿を確認できる範囲である宿屋の裏庭、そこで剣術の訓練などをして過ごしていた。


 僕は次に黄金の本の解読にとりかかったが、これはただの古い本ではないのだ、古代文字で書かれているから簡単には解読できそうになかった。


「……の薬が156本? ……の薬が20本? ……これはもしかして、普通の本じゃないのか」

読み終わったら広告の下にある☆☆☆☆☆から、一話ごとに★をください、★は何個でもかまいません、貴方の気持ちを★の数にして贈ってください。


例:★大嫌い ★★嫌い ★★★普通 ★★★★良い ★★★★★とても良い などでどうぞお願いします。

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