1-24神殿に勧誘される
「それにしてもネクロマンサーなんやて、なんかフォシルのダンジョンに関係あるんかいな」
「えっ!? ミーティア、どうしてフォシルのダンジョンと、ネクロマンサーが関係あるんだい?」
「はい!? ミーティアさん、何をご存じなんですか? 私はそれは初耳です!?」
「ああ、あのフォシルのダンジョンの歌があんねん、でもあんまり人気ないから師匠には教えてなかったんや」
「それはどんな歌なんだい、良ければ一曲どういう歌か教えてくれないか?」
「そうです!! 今ならネクロマンサーに関する情報は、きっと冒険者ギルドに高く買って貰えますよ!!」
「ほやけど500年も昔のネクロマンサーやで、本当に今出ているやつと関係あるのかは分からんねん」
「確かに冒険者ギルドに売るには、少し弱い情報かもしれないが……、僕は知っておきたい」
「私も聞いておきたいです!! どうかその歌のことを教えてください!!」
それからミーティアは曲として歌うのではなくその内容を教えてくれた、やはり500年ほど前にこの辺りにあった小国に仕えていたフォシルという魔法使いがいた。ただしフォシルはだんだんと邪悪な魔法にとりつかれていって、何十人という無力な人々をネクロマンサーとして生贄にした。その力で当時の若き王の体をのっとろうとしたが、それは叶わず光の魔法を使う魔法使いに敗れた。
戦いに敗れたフォシルは古い遺跡に逃げ込んだ、それが今はフォシルのダンジョンと言われる場所だった。王の軍隊はフォシルを探し出そうとダンジョン中を探した、だが何も見つけ出せずにフォシルは消えてしまった。それからだんだんとフォシルのことは忘れられていった、いつの間にかダンジョンにはスライムが住み着くようになり、今ではそのダンジョンはぷよぷよダンジョンと呼ばれるようになった。
「というわけや、フォシルの遺物か遺体でも出たんなら、歌も盛り上がるんやけどな」
「そうか、ミーティアありがとう。おかげで謎だったことがほとんど分かったよ」
「ミーティアさんに最初に聞けば良かったんですね、本当にリタ様って時々ドジっ子さんです」
それからミーティアはいつもように自分の家に帰っていった、僕たちもこの酒場がある宿屋の部屋に戻ることにした。ミーティアのおかげでフォシルのダンジョンとネクロマンサーのことが繋がった、やはりあのダンジョンは何か関係があるのだ。今回のネクロマンサーとは関係ないかもしれない、でもまたあのダンジョンを調べてみても悪くないかもしれないのだ。
「ソアン、僕はあのフォシルのダンジョンに、もう一度行ってみて調べてみたい」
「ですがリタ様、500年も何もみつからなった場所ですよ」
「実は少し気になったことがあったんだ、以前にヴァンたちとダンジョンに行った時のことだ」
「ああ、そんな方もいましたね。何が気になられたんですか?」
「あの時は行き止まりだと分かったら、碌に見ずに引き返しただろう。そこに古代文字が書かれていたような、以前に神殿の掃除に行った時にそれを思い出した」
「古代文字ですか、私には読めませんが、リタ様はご研究されてましたね」
古代文字も遺跡と同じくらい古くて昔の僕はそれも研究していた、人間でも研究することにした者はいるが、その全容は未だに解明できていない。だが、いくつかの単語やその意味は分かっているものもある。500年前の王の軍隊が古代文字に気づいたかは分からない、もしかしたらもう調べられていることかもしれないが、僕はもう一度実際に文字をみて調べなおしてみたかった。
「フェーダーの遺体を取り戻しには行けない、だから昔のネクロマンサーのことを知りたい」
「リタ様が望むのであれば、私はまたあのダンジョンにも行きます!! ……下水道には行きたくありませんが」
「ありがとう、ソアン。調べつくされたはずのダンジョンだ、何も出てこないかもしれない」
「それでも行きたいなら、私ももちろんついて行きましょう!!」
今夜は遅くなったので行動するのは明日にして眠りについた、僕はフェーダーのことを少し考えながら眠りについた。翌日からフォシルのダンジョンに行きたかったのに、また僕の病気の症状が出てしまった。こうなってしまうと戦闘なんてできない、すぐにフォシルのダンジョンに行くのは諦めた。ソアンはいつものように外にでかけていった、僕はベッドの上で眠れずにごろごろとして過ごした。
僕が動けるようになったのは3日後だった、そうしてすぐにダンジョンに向かおうとしたら、ステラがまた僕たちを訪ねてきて言った。
「リタさん、ソアンさん、ユーニー様がお呼びなんです。一緒にきていただけますか?」
「僕たちに何の用があるのかな、それは聞いてないのかい?」
「リタ様も忙しいのです、用件は何でしょうか?」
「ううぅ、ごめんなさい!! 多分、用件は聖歌隊のことだと思いますが、はっきりとは教えて貰えませんでした!!」
「聖歌隊、そんなものがゼーエンの街にあったのかい。それなら何故、建国祭で歌い手を募集したんだろう」
「そうですよね、自分のところに聖歌隊があるなら、その方たちが歌えば良かったんですよね」
「いいえ、この前の建国祭の歌が評判良くて、それで新しく聖歌隊を作る。多分、そのお話です」
「それなら話が分かる、でも僕は聖歌隊には入らないよ」
「そもそもです、私たちは人間の神様の信者じゃありませんからね」
僕たちエルフは人間の神様を信じていない、それよりも自然や世界の大きな力を信じているんだ。だから聖歌隊なんてものがあっても入らないし、また信者でもないから入ることもできないはずだ。でも神殿からの呼び出しをステラの憶測だけで断るのは失礼だ、仕方がなくフォシルのダンジョンはまた今度にして、神殿へソアンとステラと僕の三人で向かった。
「ステラさんはちょっと慌てん坊ですね」
「ううぅ、実はよく言われます。ヴァンのパーティにも人柄を知らずにすぐ入ってしまいました」
「そんなに慌てん坊で困ったことが、実は他にもあるんじゃないですか?」
「聖印を失くしそうになったことがあります、これっ番号があって失くすとすぐにバレるんです」
「ちょっとは落ち着いて行動したほうが良いですよ」
「分かってます!! 分かってるんですが、つい良い話に飛びついてしまうんです!!」
神殿への道を歩きながらソアンとステラはお喋りをしていた、ステラはちょっと慌てん坊なところがあるようだった。ソアンとは仲が良いのか悪いのか、よく分からないが話が弾んでいた。そんなふうに女の子たちがお喋りをしている間に神殿についた、そしてステラに僕だけユーニーという女性の神官の部屋へ連れていかれた。
ユーニーという女性の神官はいつものように微笑んでいた、フェーダーが亡くなったときでさえ慈悲深く眉はひそめていたがその笑みを絶やさなかった。きっと男性社会である神殿で出世するために覚えた処世術なんだろう、だがどこか冷たい印象を今日は僕にそのユーニーの微笑みは与えた。それから聖歌隊の話をされるのかと思ったら、僕に思いがけない話をユーニーはしてきた。
「リタさん、この国はエルフのことも差別しません。今からでも改宗して正式な信徒、そして神官長になってみませんか?」
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