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ブレーメンの作曲家  作者: ヘイワジマヒロ
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音無し作曲家の第一歩

「音楽は世界語であり、翻訳の必要がない」


ある有名作曲家が言った名言だと言われている。これに関しては大いに共感できる。音楽は人にとってなくてはならないものだ。ただもしそんな音楽が人生の根幹を成していたら、この名言はどう変わるのだろうか。

この物語はそういう物語だ。


遥か昔、7つの音によってこの世界は作られた。人々は音の恩恵を受けながら生活を営み、世界は華やかなものになっていった。しかし、ある日音が突如消失する出来事が起き、人々の間で争いが絶えない時代が続いた。音を失くした人々は再び音による繁栄を求め、7つの音を自らの身体に取り込むことに成功した。以来、人々は7つの音の特性を身につけた上で生きていくことができるようになり、平和な世界が取り戻されたと言われている。


小さい頃から何度も読み聞かされた昔話を思い出しながら、僕は今日も机に向かっている。

眠れない夜はこうして曲作りをするのが一番心が落ち着くからだ。

でも今日に限っては中々寝付くことができない。何故なら明日は僕にとって人生を左右する試験の日だからだ。寝坊や寝不足はもってのほかだけど、どうしても眠れない。興奮と緊張が入り混じったこの感覚は恐らくそう簡単には味わえない体験だ。このまま朝まで起きていることもできるが、そろそろ本当にベッドで眠ろう。そう何度も思いながらもすでに1時間は机に向かっている。


「兄さん、まだ寝てないの?明日早いんでしょ?」

「ああ、ごめん。起こした?そろそろ寝るよ」

「明日の試験、何とか良い結果になるといいね。ダメで元々なんだから頑張ってきてね」

「う、うん。そうするよ」


まぁ、この反応には慣れている。子どものころから僕は誰にも期待されていない。それもそのはずだ。

僕には“音”がないのだから。

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