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決意

◇◇◇


 ここで聞かなければ、絶対に後悔する。


 アルバートは、どうしても確認したいことを、ルフに問いかけた。


「ルフ・・・様は、ヴィーを伴侶となさるおつもりでしょうか」

『いかにも。シルヴィアは我が魂の片割れ。離れることは出来ぬ定め』


 アルバートは六歳だが、既に婚約者がいる。政治的側面の強い婚約だが、父上、母上の様な仲睦まじい関係を築きたいと思っている。

 婚姻がどの様なものなのか具体的には分からないが、きっと、ルフ様はヴィーを連れ去ったりしない。

 ルフ様が、神が、義弟だなんて、夢みたいだ。

 ずっとここで皆と幸せに暮らせる。


「ルフ様は、シルヴィアが望む限り、此方へ留まって頂けるのですね」

『是非もない。我はシルヴィアを悲しませぬ』

「ありがとう存じます」


 シルヴィアは恥ずかしそうにはにかみながら、両手を組み祈るように囁いた。


「あの・・・、私も、嬉しゅうございますわ。ルフ」


 ヴィーは本当にとんでもないことをあっさりと・・・、いや、違う。

 ヴィーのたゆまぬ努力と穢れなき魂が、精霊の心を動かし、神をも魅了したのだ。

 ヴィーはこれからも邁進する。

 ヴィーに負けられない。

 ヴィーの兄にふさわしい人間になりたい。


「ルフ様、私を弟子にして下さい!」

『・・・・・・。断る』

「えええ!!!」

『先ずは、魔力を上げよ』

「はい!師匠!」

『・・・・・・はぁ。毎日、魔力を使い切れ。但し、枯渇させてはならぬ』

「ありがとうございます!師匠!」


 シルヴィアの懇願という圧を感じ、ルフは、アルバートに助言した。途端にシルヴィアもアルバートも上機嫌である。


『休むぞ』

「ルフ。こちらですわ」

「お兄様、ノア、おやすみなさいまし」


 アルバートはシルヴィアを抱きしめ、額に口づけた。


「ヴィー、おやすみ。良い夢を。ルフ様、ごゆるりとおやすみ下さい」

「「おやすみなさいませ。良い夢を」」


 シルヴィアは、ルフを寝室へ案内する。


 慌てたマリーがルフへ懇願した。


「どうか、ルフ様、お願い致します。元の御姿にお戻りいただけないでしょうか」

(わたくし)も、愛らしい犬の御姿を愛でとうございますわ」

『相分かった』


 そんな微笑ましいやり取りを見守り、アルバートとノアは退室した。


 本当に、ヴィーは凄いな。神の機嫌を取りつつ、手玉に取っている。見習うことばかりだ。


 アルバートも天性の人たらしなのだが、これから益々磨きが掛かることとなる。



 大人びた手のかからないアルバートを、少し気の毒に思っていたノアは、安堵した。


 四歳からお仕えしているが、アルバート様があの様な声を発せられるところを初めて拝見した。今日のアルバート様は、子どもらしくて実に好ましい。それに、アルバート様の御陰で、ルフ様がライバルになることはないと分かった。アルバート様もシルヴィア様も、嫉妬心を持ち合わせておられない。その様な所も神のお気に召す要因なのだろう。


「アルバート様。私も今日から魔力を使い切ります」

「ああ。マリーも惚れ直すだろう」

「えっ!」


 アルバートはいたずらが成功したようなしたり顔をノアに向けた。


 嗚呼、十歳下の子にからかわれてしまった。この御方の洞察力には、恐れ入る。将来が楽しみだ。側に置いていただけるよう、精進あるのみだな。


 ノアは開き直り、アルバートにぼやいた。


「はぁ・・・。マリーを嫁に出来ますかね」

「今のままでは難しいけど、・・・・・・。母上に相談すれば、マリーのガルシア伯爵家より格上の家と養子縁組するとか、なんかサクッとまとめてくださると思うよ」

「それは・・・、フローラ様ならあり得ますね。でも、本当ですか!?そんなこと出来るのですか?」

「ノア次第だね」

「益々やる気が出ました」


 ノアは、アルバートへの更なる忠誠を誓った。


◇◇◇

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