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第ニ章 昔の記憶

 「お母さん!お父さんとおばあちゃんの四人で遊園地に行きたい!」

そう言って、パンダのぬいぐるみを持った男の子は、台所で野菜を切っている女性のところに駆けていき、足に抱きついた。女性は少し驚いたように目を開いたが、すぐに穏やかな表情になり、手を止めた。

お母さんと呼ばれた女性は男の子の目線の高さまでしゃがむと、ニヤリとした。

「お母さんね、明日から少し遠いところに行って、お仕事をしてくるの。だから、遊園地はいけないかなあ〜」

それを聞いた男の子は、唇をつむぎ、頬を力いっぱい膨らませ、

「ムゥゥゥ〜!イヤだ!行きたい!みんなで行きたい〜!」

目覚まし時計よりも大きく甲高い声で叫び、短い足をバタバタさせ始めた。女性は、あちゃーと言い、少し悩む仕草をすると、思いついたように言った。

「じゃあさ、お母さんが帰ってきたら、家族みんなでどこかにお泊まりしに行こう!もちろん遊園地もあるところに!」

「……ホント?ホントに帰って来たら四人で行くの。」

「うん!お母さんが帰って来たら行こう!あ!でも、お母さんが帰ってくるまでちゃんといい子にしてたらね!」

さっきまで泣き出しそうだった男の子の表情が、今の言葉を聞いて、すごく嬉しそうな表情に変わった。

ぴょんぴょんと飛び跳ね、持っていたパンダの人形に向かって、やった!やった、と言っている。

「お土産も買って来るから待っててね!」

「うん!」

次の日、お母さんが仕事に行ってから、帰って来ることはなかった。

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