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【ウィルラドの新しい日常②】

説明が多くて長くなってしまいました。すいません。

よろしくお願いします。


 ハングル先生に挨拶をした後、すぐに魔法の授業の準備が始まった。

 東屋ではお母様が見守ってくれている。心配なのか、片時も目を離さないように見つめてくる。


 真剣な眼差しだけど表情はとっても柔らかくて優しいから安心するな。


 少しの間お母様を見つめていると、


パンッ パンッ と音がする。


 手を叩く音の方を振り向くと、開けた庭にハングル先生が立っていた。




「ではな、早速魔法の基本を説明ゆくえ。

 魔法を使うにはの、体の中心、、、お臍(へそ)から指三本分下の位置に渦巻いている力を感じ取ることが重要となる。」



 そういうとハングル先生は自分のお臍部分に三本の指を当てた。



「その力を身体に巡らせるイメージを持つことが魔法の第一歩になる。体の中の力は、外の自然の力を操るためのきっかけとするため必要となるがねぇ、基本減ることはないなぁ。でもな、体力は減るゆえ、疲れたら使用は控えた方がいいだろうな。

 でな、人間の使える魔法には種類がある。種族ごとに固有の属性も存在するゆえ、すべて合わせて11種類となる。

 使える魔法の種類はな、元々持っている自身の魔痕(まこん)、、、体の中の魔力を魔痕と言ってな、魔痕の種類で干渉できる魔素(まそ)、、、体の外にある魔力の種類が変わるな。」



 ハングル先生は説明し終わると、指先に小さな炎を作り出した。



「これが魔法となる。ハングは火属性でな。」



 かっこいい、、、、火属性は憧れるな。


 魔法については、自分の魔力は使うが、それは外の魔力を引っ張る為に必要なだけで、使い続けても消耗するわけじゃない。

 しかも、自分の中の魔力には種類があって、外の魔力を引っ張るには適した体内の魔力じゃないと干渉できない。 、、、ふむふむ。



「この知識は大事だがな、基本の事ゆえ魔法を使っていれば自然と理解できよう。

 ウィルラドさまは既に魔法を使っているらしいからの、ここからは魔法の危険性を重点的に伝えてゆく。今日はの、この危険性を伝えるために急ぎ参った。話を受けてから三日間馬車に揺られ大変疲れたのぉ。」



 三日前と言えば初めて魔法を使った日じゃないか。お父様はその日の内にハングル先生に話して先生を引き受けてもらうように進めていたんだ。ハングル先生も引き受けてすぐに出発してくれたらしい。


 仕事が早すぎる。 俺、赤子なんだけど。



「こんな辺境の領地まで来るのには骨が折れたねぇ。ハングが近い土地に住んでいたから三日で済んだがね、もし王都に住んでいたらとぞっとする。引き受けるのを躊躇うほどにはのぉ、、、ふぅ。」



 このヴァンラーム領は随分辺境にある土地なのか。三日の馬車の道のりを付近って、この時代はやっぱり、前世とは感覚とか何もかも違うんだな。



「あぁ、話が脱線したの。すまんなんだ。ここからは魔法の危険性を説明するゆえ。」



 この領地の事については今度ハロルド先生に聞けるかな。この世界についてと、この国についての歴史は学んだけど、ヴァンラーム領と辺境伯の歴史は、まだ詳しくは学んでいない。


 ハロルド先生は丁寧に教えてくれる先生だ。俺も話せるようになってきたから授業の内容も濃くなっていくはずだしね。



「魔法を使用するためには体内の魔力、魔痕を使用すると先ほど説明したがの。魔痕の制御を失敗すると体への反動が起のだ。この反動は、使用しようとした魔素、外の魔力の多さによって強くなるの。

 だからの、体の中の魔力を感じ取り、魔痕を自在に操る感覚を身に着けてから魔法を使うことが一般的となる。でないとリスクが高すぎるからのぉ。」



 この世界では前世のゲームとかとは違って、使うためのリスクを背負って使用する物なんだ。


 怖いからと使わないって選択肢はないけど、順序だてて先生に教えてもらいながら力を付けないと危ないな。それでもリスクを拭いきれるわけじゃないだろうけど。



「だがねぇ、稀に居るんよ。学ぶ前から魔法を使えてしまう者がのぉ。この場合はな、一回目に暴走し体が耐えられず亡くなるか、一回は成功するがのその後うまく操れず亡くなる。良くて体の一部が動かなくなる。」



 思ったより反動が大きいな。最悪は亡くなると。良くて体の一部が使えなくなるとか、そんな事は避けたい。 というか、もう既に魔法を何回も使っていることを考えると運よく魔痕を操れていたって事か?

 怖すぎてこれからは何も考えずには使えないな。


 生きててよかったーーーー!



「魔法を使える者が人口の割に少なくての、1%ほどじゃから、そんなに早く使えるようになる者はなかなかおらん。精々その中の0.001%程だからの、前例も少なくなる。

 一般的には体が幼すぎて魔痕の流れに耐えられないから暴走すると言われておる。

 だから急いで来たんだがの。両親からは魔法の使用は禁止されなんだか?」



「あーう。」



 頷きながら答える。



「そうか。子供には使うなと言った方が危ないという事かねぇ。それに暴走を起こしても止める者が居れば、阻止できるというのも有るかのぉ。」



 ハングル先生が俺に話しかけながら、東屋の側で控えるカイルに視線を向ける。


 カイルは無表情だが、俺から視線を外しハングル先生と視線を合わせ静かに瞼を閉じた。



「そういう事かねぇ、、、、。」



 ハングル先生は何かを理解したのか静かに頷き、咳ばらいをし改めて話し始めた。



「この国ではな、魔法を使えるのは貴族のみだと言われておる。かく言うハングも伯爵家の生まれでな。まぁ次女たから何にも縛られず、こうやって研究に没頭できていたんだがな。 随分昔の話でな。

 だからの、この国の上級貴族は五歳前後から魔法を学ぶ。

 なぜ上級貴族のみかはの、下級貴族には殆どおらなんだ。庶民よりは可能性が在る程度だねぇ。それに魔法を学ぶには結構な額が必要になる。」



 ハングル先生の長い睫毛が伏せて少し間が空く。



「一歳までに魔法を使用できなければ、学ばなければ魔法は使用できないと言われていてな。実際一歳を過ぎてから自発的に魔法を使用した者は記録にも残っていないねぇ。」



 自発的な魔法の発現か。


 1%の中の0.001%じゃ、殆どは学ばないと発現さえもしないって事か。

 もしかしたら貴族じゃなくても学びさえすれば魔法が使えるんじゃないか?



「以前に国力を上げるために、庶民にも魔法を教えようとした者が居たがね。あいつは無償で教えていたがな、誰も習得できなんだ。魔力は殆どの者が持っていたがの、魔痕を制御するほどの肉体が出来ておらず、皆反動を受けることとなったそうな。貴族と庶民じゃ体の構造は同じでも強度が違かったという事よな。」



 体の強度が違うとか、そんなに差があるのか。


 魔法のある世界だと、一人で国家戦力とかは在りそうだと思ってたけど、貴族と庶民という明確な能力の差が既にあるとか、怖すぎだろ階級国家。

 庶民が貴族になることが前世の階級制度よりもほとんど無く。しかも、この国は()()()に貴族で成り立っていると言えるかも。


 うげーー。こっわ。



「だがな、この国には魔法に関わりのある庶民が多くおる。

 魔法学校というのが大陸の中央にあってな、その学校には最低限の学と才があれば入学できる。まぁ、最低限と言っても上級貴族にとっての最低限となるがね。

 だからの、魔法は使えなくとも、研究分野や古代魔法の遺跡発掘などで庶民も関りがある。庶民からすれば魔法学校を卒業すれば将来安泰というわけよなぁ。魔法が使えなくともな。」



 この世界の学校か。いずれは俺も入学するんだろうな。


 前世では貧乏で、できるだけ学費をかけずバイトに明け暮れていたから、青春らしい青春してなかった。今世では友達と放課後に遊んだり、 か、、、彼女とデートとか、、、 は、貴族だし無理か。婚約者とかいても前世みたいな接し方じゃないだろうしな。


 うん、強く生きるぞ!



「うだっ!」


 決意の声と共に強く握りこぶしを作る。



「やる気が有るのは良い事ゆえな。 、、、もう時間かねぇ。」



 気が付くと日が傾きかけている。時刻は四時頃だろうか。



「今日の授業はここまでとするの。しばらくはウィルラドさまに魔法を教える為の準備が必要となるからの、実際に授業を行えるのは数か月先となる。ウィルラドさまならばその頃には会話が流暢になっているかね。楽しみだねぇ。」



 ハングル先生は相変わらず表情が硬いけど、声は最初に話したときよりも明るいし、心なしか笑顔に見える。 、、、気がする。



「そう寂しがるでない。すぐだすぐ。少しばかり王都での申請に時間は掛かるだろうが、ウィルラドさまへの授業は楽しみになったからねぇ、久々に頑張るとするかえ。


 そうじゃ、それまでに宿題を与えておくゆえ。魔法は今後、ハングが教える時まで使用するでないぞ。その代わり、魔痕を感じ取れるようにし体のどこにでも集中できるようになっておれ。できるだけ素早くな。


 、、、無理はするでない。絶対に。」



 ハングル先生は真剣な目で俺に話しかけた。


 俺も真剣に頷き返す。



「ほう。本日の授業はこれまでとするかねぇ。

 ウィルラドさま、良き師でいられるよう精進いたしますので、これからよろしくお願いします。


 また数か月後にな、またの。」



 ハングル先生は美しいカーテシーをし、庭から出て行った。


 少しの間ハングル先生が去って行った方を見ていると


「楽しみですね。ハングル先生はとても素晴らしい古術の研究者です。魔法の技術も高く、きっとウィルにとって良い先生となるでしょう。頑張りましょうね!


 でも、無理をしてはダメですよ!、、、ふふ。 冷えてきます、戻りましょう。」



 お母様の話を聞いているとすぐそばにケイラがきて、「失礼します。」と一言だけ言うと俺を優しく抱きかかえた。


 そのままケイラに抱えられ、ハロルド先生とカイルが側につき部屋へ戻った。



 お母様はお母様の侍女と一緒に建物内へ入っていった。


お読みいただき、ありがとうございました☆彡


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