【親子の絆やいかに】
気が付いて目を開けると、眠っていたのか窓からさす光が青暗くなっていた。
蠟燭の火と、まだ低い月明かりが薄暗く部屋を照らしていた。
天井が少しだけ照らされて、天使の絵が少し怖い。昼間はあんなにきれいだったのにな、綺麗なものほど怖く見えるのは異世界でも共通みたいだ。この絵を見たら俺じゃない赤ちゃんだったら泣いちゃうんじゃないのかな。
考えていると、本日何度目かの扉をノックする音がして開いた。
今までノックの音が聞こえると必ず声がしたけど、今回はそのまま開くんだな。
「ウィルラド、起きていますか?」
扉を開けて少しだけ顔をのぞかせているのは、アメジスト色の瞳と金色の髪を腰まで伸ばした、お人形のような女の子だった。
「お父様とお母様からは、ウィルはまだ寝ているから後で遊びましょうね。と言われていたのですが、可愛いウィルラドと早く遊びたくて来ちゃいました。」
小さめの可愛らしい声で説明しながら、扉をゆっくりと静かに閉め、少女がベビーベットに近づいてくる。
頭を揺らさず粛々と近づいてくる少女は優雅で、月明かりに照らされるその姿は幼いながらにとても美しかった。
金色の髪が銀色の月明かりに照らされてとても綺麗だ。この子自体が宝石みたいだなぁ。
「ウィルラド、起きててよかった!手が小さくて柔らかいね、暖かくて気持ちい。ずっと触っていたくなりますね。」
目を開けていた俺を見て、起きていることを確認した瞳はきらきらと輝いていた。
優しく触れた彼女の手はとてもすべすべしている。
「握り返してくださるのね! 私がお姉ちゃんだと分かるのかしら、愛おしいわね。」
お姉ちゃんだったたの!? そっかぁ、ごめんね、分かってて握り返したんじゃなくて、赤子の反射なんだ。でも、喜んでくれてるみたいだし、これからは分かっているからいっか。
優しい眼差しの彼女を姉だと思うととても心が温かくなる。
前世は死ぬまで母親と過ごしていたが、兄弟姉妹がいなかったウィルラドは憧れがあった事を思い出す。
物心ついた頃には母が女手一つで育ててくれ、幼いながらに兄弟が欲しいなんて言える状況じゃない事を理解していた琴乃〈生前の名前〉は、ずっと憧れていながら心に仕舞っていた。
転生してから夢が叶うなんて、嬉しい誤算というか、こうやって少しづつでも前世で出来なかったことや叶えたかった夢を叶えていけたらいいな。まあ、姉上はウィルラドの両親が生んでくれたから叶っただけでたまたまだけど。いつかウィルラドを産んでくれた事と、お姉ちゃんを産んでくれた事への感謝を伝えたいな。まだ会った事無いけど。
コンコン…ノックの後に扉が開く。入ってきたのはヘイロだった。
「失礼いたします、、、エラルダお嬢さま、こちらにおりましたか。ウィル坊っちゃんも起きておいでで、お父様のウィンバル辺境伯様と、お母様のエルラーダ辺境伯夫人がいらっしゃいました。」
辺境伯爵が俺の親? 国によるけど確か辺境伯爵ってその領の重要性にもよるけど、国で二番目か三番目の爵位じゃなかったっけ。伯爵位と同じだとしても上級貴族じゃん。前世ではただの国民だったのに、しかも貧乏寄りの。もう既に責任が重いなぁ。
それにしても、へイロが意図的に俺に説明してる気がする。先生に挨拶ぽいのしちゃったから少しでも早く覚えてもらおうと思っているのか? 助かるからこのまま続けてもらいたいな。
転生した家の爵位に驚いてしまうし、責任の重さから少し気が重い。、、、ハァ。
「ウィル、暗くなってからですまんな。今、帰ってきたのだ。これから晩餐にしようと思ってな、迎えに来た。」
「エラルダ。もぅ、先に来ているなんてずるいわ。でも仕方ないわね、ウィルラドもかわいいものね。」
シックだけど所々に金の刺繡が施してある、前世でいう正装のような服装の男性がウィルラドを見下ろしながら、部屋に来た説明をおこなった。
さっきのヘイロの説明どおりなら、この男の人が俺のお父様ってっ事だよな。
緑色の髪に紫色の瞳か、姉上と同じ色の瞳だな。年齢的には前世の俺の方が老けてるけど、、、20才くらいか? なんか生まれ変わってから綺麗な顔立ちしか見ていなけどお姉ちゃんと両親は別格に綺麗だな。お母様は成人してないだろ!ってぐらい若く見えるし、透き通った黄色の髪に薄桃色の瞳で綺麗だけど、かわいい寄りだな。 産まれたばかりだけど既に目が溶けそう。
美形に囲まれて困惑し、思考が現実逃避じみてくる。
「ウィ~ル、お部屋を移動しましょうねぇ。」
俺を抱きかかえたお母様が、お父様へ俺を引き渡す。
「お父様、お母様。初めてのウィルラドとのお食事ですね!離乳食が始まったのが昨日ですから、少しでも慣れてくれているといいのですが。」
姉上は静かに歩いているが、雰囲気が楽しそうで俺もうれしくなる。
後ろを歩いていたヘイロも優しい眼差しで俺たちを見ていた。
――――――――――――
部屋を移動して、俺は一度部屋に控えていた乳母のケイラに預けられた。父、母、姉の順に席に着くと、またお父さんに預けられ膝の上で抱えられた。
お父さんの掛け声で食前の祈りが捧げられる。
お祈り中に、俺がアヴアヴァと声を出すと姉上が得意げに優しく教えてくれた。
「ウィルラドは初めてですね。この世界の創造神であるディアス様と、自然の恵みに感謝をしているのです。いずれウィルラドも分かるようになったら祈りをささげるのですよ!」
この世界にも食への感謝とか、食前の祈りとかあるんだな。前世では形だけになりがちだったけど、皆は本当に感謝しているように感じる。
それに、創造神ってことは転生する前に会ったあの白い物体だったものかな。名前までは教えてもらってないから違う神かも、、、俺の前世の生活圏は他宗教だったから、創造神とかいっぱいいたもんな。
お父さんの前に食事が運ばれてきた。
一皿一皿出てくるコース料理形式みたいだ。
前菜から順にメインへ最後にデザートと締めくくられた。
みんなが夕食を食べている時、俺は合間合間に父から口へ運ばれる離乳食を一緒に食べていた。
もう少し大きくなるまで目の前の食事はお預けだよね、、、離乳食はおいしいけど、おいしいけどね!! もう少しの我慢だよね、、、。
食事の最中、みんなが食べているものを恨みがましく見てしまった事は誰も気づいていなはず、、たぶん。
あーーーー。早く大きくなりたいような、このままでいたいような。
でも、仲のいい家族でよかったと心底思うよ。
お読みいただき、ありがとうございました☆彡
投稿できそうな頻度が、多くて 週 三話ぐらいかなと目安が出来ました。
でも、定期的にさぼるかもしれないです。先に謝らせていただきます。。。すいません!!
目指すは 金 土 日 0:00時更新です。守れない可能性大です。。。ごめんなさい。
とりあえず頑張ります!!
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