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心配だらけの移住と人獣の冒険譚  作者: ななななすび
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第2話『住居と仕事と恋心?』

連続で投稿させていただきます。しなすびです。

二話目も続けて投稿させていただきます。

やっぱり主人公は俺ツエーになりました。戦闘も少しだけあります。

よろしくお願いします。

第2話『住居と仕事と恋心?』


これが、冒険への最初の一歩なんだと感じた。


なんだかんだで、あの殺風景で動物だけが多くて、人なんて...いや獣人なんてほとんどジジババしかいないあの孤島から出てきたけど、この国でもCHSってやつを忌み嫌ってる。こんなとこで生きていけるのか不安で不安で震える。でも、自分の夢のために一つ一つしがみついてでも、生きていくんだ......

だから、自分は思った......


「さっさと寝床を探しましょう......」


と書き綴る今日この頃……

ヴォダ46年 ケルスの月7日




━━━━・━━━━




サピ「とりあえず、今日は路上で寝るかと思ったけど、流石に勘弁だなあ。どっかにホテルでも探そうか。ちょっと長旅で疲れたから一息入れたいし...」


あの静かな隠れカフェみたいなところから外に出て、うんっと背を伸ばし、ホテル街のところへ足を延ばす。この国は交流が盛んなのか、色々な文化の建物が多くあり、色々な装束を身にまとった獣人が夜でも歩いている。今は21時頃でも街灯の明かりは明るく、街の声も絶えない。ここがホテル街だからなのか、きちっとした装束のお偉いさん方が多い印象を受ける。


サピ「さてさて、こんなホテル街でもこんな姿の俺を泊めてくれるのか不安だねぇ ...」


とまあ色々なホテルを探して、お偉いさん方が泊まるようなでっかい高級ホテル......の建物の数個隣の宿屋に泊まることにした。やはりこの世は金かとひしひしと感じた。


宿屋に入ると案の定俺の姿を見るに、「チッ」と舌打ちをした受付の獣人が露骨に嫌な顔で部屋の鍵を渡してきた。しかし、俺の脳内では、相手の顔に右のジャブを2発くらわした後に左のフックを決め、そのあとに最後の左のコークスクリューブローを決めたので別にどうも思わなかった。勝ち誇りながら受付場所を後にしたが、あとになって宿に泊まる額が少しぼったくられたのだとわかった。


サピ「はじめの一歩を呼んでた俺にはあんな奴イチコロよ...ってなに言ってんだおれ...とにかく、明日から住む家と仕事を探さないと。この国で頑張って生きていくんだ。」


そう明日のすべきことをメモに書いたり、再確認した後、時刻は12時を回っていた。日記に筆を走らせていたが、明日も早いのだと思い(というかこの宿から早く出たい)明かりを消して目を閉じた。


サピ(なんかこの先いけるかやっぱり不安だよな......この町で誰か知ってる人がいたら......な~んてね。ウォドレイさんはまた会えるか知らないし...そういえばあの黒い猫の人誰だっけ...)


と探すようにメモ帳を開いてペラペラめくると


「メモ:黒色のハンカチの持ち主 フェリス・ノワール・ボベンを探す←出来るだけ速く届ける」


と書かれていた。


サピ「フェリスさんか...お偉いさんなのかな?紳士っぽかったし。どっかに尋ねたらこの人の場所わかるかも。ギルドとか知ってる人いそうだよな。」


明日、やることやったらギルドに行こう...と思ったところで疲れのせいか眠りについた。


夜風がメモ帳をパラパラとめくる音が淋しく響いている夜のことだった。




━━━━・━━━━




今の月はケルスの月。ある言葉の意味で桜の意味があるこの月は、村や町から国の城下町に出稼ぎに来たり、憧れのギルドに入り一攫千金を狙う若者で賑わう月である。このキャンサー国でも例外もなく、色々な種族の獣人がこの国の城下町を出入りしている。


サピスも一攫千金を狙う若者の一人なのだが、この身なりなため、どこに行っても疎まれるのは重々承知であった。そこで、


サピ「この日のために用意してきたものを披露するか!」


と出してきたのは、民族っぽい仮面と獣の耳...のついたいわばカチューシャである。


サピ「こんなもんで変装したらまあ少しはいざこざはなくなるだろ...ちょっといやなのはずっとカチューシャつけてるってことだけど。。。.....いやちょっとじゃねーな、くそ恥ずかしいわ。ぴえんだわ。」


身なりを整え、支度の準備をして、宿を後にする。宿を出るときに受付の獣人から睨まれ、「アッシター」とどえらい挨拶をしてきたので、この宿のreviewを星0にしようと思います。はい。

まずは、賃貸を借りるため不動産のところへ足を赴く。いろいろな不動産屋があるけど

「色々な種族に適した場所教えます!」という看板が目についたため、この小さな不動産屋の「オジョ―の館」に入ることにした。まあばれることもないでしょと謎の自信が出る。


サピ「こんにちはー...やってますかー?......」


カランカランとベルが鳴り、中は観葉植物や熱帯魚の水槽、小さい子供用の遊ぶ小さなスペースと数個の話す用のブースみたいなのがあり、ちいさな外見とは違い、中は意外と広く感じた。


?「はーい。飲み物用意しますから少し、一番席でお待ちくださーい。」


と、声が聞こえたので、一番の札がついた席に座り、ぐるっと中を見てみる。でも広く感じるじゃなくて、実際に広くね?と思い自分のSA(シークレット・アビリティ)を使おうと

したとき、


?「お待たせしました。どうかされましたか?」


と白いオコジョの獣人がお茶を出してくれた。びっくりした俺はとっさに魔法を中断する。


サピ「いや、この店小さいのに中は広く感じるというか、変だなーと思って...って失礼ですよね!すみません...」


?「フフッ、大丈夫ですよ。良く気づきましたね。実際にこの建物は小さいんです。入口に私のSAの転移魔法をかけて、私の住んでる建物に移動させてることにしてるんです。」


サピ「SAで魔法をかけてか...なるほど納得です。便利な魔法ですね。」


?「それでも魔法を維持するのがしんどくて朝から昼の3時までしか開業できないのがネックですけどね。申し遅れました。わたくし今回担当させていただく、ヴァイス・オージョスです。よろしくお願いします。」


サピ「あっ、よろしくお願いします。オージョスさん。空き家とかあるかとか聞きたいなと思って。」


オジョ「ケルスの月は新しい住居を探す人が多いですからね、何か要望とかありますか?」


サピ「そうですね。城下町の市場とか近い場所がいいですね。あとはなにかあるかなぁ...」


そう考えていると、ふと自分の島を思い出す。そしてぼそっと


サピ「海が見える場所かな......」


とつぶやいた後、はっと我に返る。


オジョ「海...いいですね。でも残念ながらこの国は大きな城の後ろに海があるため、海が見えるのは少し難しいですね...あるとしても家賃は相当します。」

と書類をパラパラめくりながら色々な場所を示してくれる。城近くの賃貸は他の空き家の家賃より0がひとつ多かった。


サピ「 ヤバッ...ここの賃貸...高すぎ... って大丈夫です。ふと思っただけだから。ははっ」


そっかぁと思いながら、妥当な場所を探してみる。色々あってなかなか選べず、うーんと悩みながら見ていると、


オジョ「...海...は厳しいかもしれませんが、運河が流れているところはどうですか?市場へ出荷する舟艇や人を運ぶ舟とかも見れて面白いですよ。」


サピ「川...か、うん。面白そうだし良さそう。どこかいい空き家とかありますか?」


オジョ「そうですね。市場に近くて、きれいな運河が見れる場所。この周辺の建物はどうですか?日当たりも悪くないと思います。後ここ一帯から見える城とヴュールウェルクの月の時に上がる花火はきれいですよ。」


サピ「ヴュールウェルクだからあと4ヵ月後か、楽しみだな。じゃあそこらへん一度見てみたいですね。」


オジョ「わかりました。今日はあと小一時間で閉店する予定でしたので、後日空き家の方に訪れるのでよろしいですか?明日10時とかどうでしょうか?」


サピ「10時ですね。わかりました。よろしくお願いします。」


(あぁ、懇切丁寧な店だった。reviewの星は5つですな。)と思い、礼をして、立ち上がろうとした瞬間、


オジョ「あの・・・その耳のカチューシャとお面はどうしたんですか?」


オージョスさんからの一言。その言葉が深く突き刺さる!!突き刺さるどころか貫くほどの言葉!!俺の内臓もってかれたああぁぁぁ!!


サピ「ハイ?ドウトイウノハ?」


オジョ「(か、片言?)い、いえ、すみません。ぜんぜん,その,獣の匂いとかしなくて、なのに耳とかついてるから何故だろうと思って。」


サピ(匂いかーーーーーー!!匂いで分かっちまうもんなのか。流石獣人としかいえまい。もしかして何だこのカチューシャ仮面野郎って思いながら対応してくれてたのかな。ごめんなさい。僕は変態カチューシャ仮面野郎です。でも違うんです。いざこざをなくしたいためだったんです。信じてください。僕は変態じゃないんです。)


といろいろ、言い訳を考えていたが、 はぁぁ と長い溜息の後、変態カチューシャを外し、気持ち悪い仮面を外しすっとオージョスさんを見た。


サピ「いやぁ...こんな身なりなので。素性を隠そうと思って。ごめんなさい。もうでますから....」


そう言い残して、そそくさと出る準備をすると、


オジョ「まぁ!人間の方だったんですか!わあぁ...ちょっといいですか?...やっぱりすべすべなんだ。これって夏は涼しいけど冬は寒いですよね。獣人だと毛が抜けたりして掃除が大変で・・・」


オージョスさんは俺の手をすりすり触って、すごい語ってきた。びっくりしたおれは終始何もできず、彼女の言ってることを延々と聞いていた。


オジョ「それから...... !! ってすみません! なかなか人間の方には会えないから。」


サ「い、いえ....なんというかこういうのは初めてだから。CHSに罹ってこうなって...最近はあんまり良く受け入れてもらえなかったから」


オジョ「呪いとかと思う人が多いみたいですからね。私は曾祖父のころから人間について教えてもらって呪いとかとはあまり思ったことありませんから、大丈夫ですよ。困ったらまたここに来てください。」


とニコッと笑ってくれた。胸が トゥンク と高鳴ったと感じるほど彼女の顔はとても輝いていた。彼女と 「また明日」 と握手をする時に、彼女の指に黄色の指輪をしているのがふと目についた。きれいな指輪だあと思い、店を後にするとき、ふと思い出し、振り返ってこう言った。


サピ「オージョスさん。空き家の件、お風呂とトイレはセパレイトでお願いします。」


サピス・ヒューズ. 齢20。お風呂とトイレは絶対セパレート派なのだ。




━━━━・━━━━





空家の件は明日にまたなるとして、次はお仕事について。島でやっていたころは、執筆と翻訳をしていた。本を出しても、バカ売れも売れなさすぎることもなく、そこそこ平均な部数を売れて才能がないと感じてしまい、年が20になった時は翻訳が主な仕事となった。SAのおかげで、本の文字情報を抽出し、色々な言語に置き換えて翻訳することができるためである。


それでも、毎晩日記を書いたりするのは、執筆のことが忘れられないからとうすうす感じていた。そして、島を出たこの機会にやろうとしていたことがあった。その一つが勿論、執筆である。そして書く題材は、ギルドに入り冒険者としていわゆる冒険譚を書くことである。

ギルドの冒険者は何かの職業と兼業ですることが多く、ギルドに入っている獣人の大半は何かの職業の傍らでギルド冒険者なんて獣人がほとんどである。俺自身も『作家+ギルド冒険者』の肩書で平凡に生きていくと思ってギルドに入り、受付をしている最中なんだが...


犬獣人1「おいおい、こんな毛のねぇ餓鬼をギルドに入れるとか阿保か!追い出せそんな奴!」


犬獣人2「人間臭ぇやつは出て行けよ!わはは!!」


サピ「・・・・・・」


あんな変態カチューシャと気持ち悪りぃ仮面はもう外したからどうなるかと思ったら、ほら、来たよ。こんな輩。世界に1人2人いるもんだよ。周りもざわざわ言ってるし。めちゃめちゃ目立ってるじゃん。すごい恥ずかしい。ほんとやめろそういうの。


鳥人「あ、あの。ギルドの入会には獣人のみという規定は、あ、ありません。なので入会は自由ですぅ...」


ほらぁ、受付の人、怖がってんじゃん。てか白くて小っちゃくてめちゃかわいい。震えてる。


犬獣人1「暗黙のルールってやつだよ!そんなことも分かんねぇのかよ!」


鳥人「はいいぃぃ・・・」


ドンッと受付のカウンターを叩きこちらに威嚇してくる。おいこら、受付の子をいじめんなよ。3回回ってワンと泣かせてやろうか、こら。お前のその汚ねぇ毛を毟り取って、内臓をこんにちワンさせてA~C~させてやろうか、こら。←?


と思っていると、ギルドの入口の扉がバンッと開いた。


?「ギルドマスターはいるか? 頼まれたものを届けに来た。」


と声をした方を見ると、きりっとした柴犬の犬獣人が立っていた。体も俺より一回りも大きくガッチリした体型で、見た感じ職人のその獣人は、後ろに大量の剣や盾、鎧をのせた荷車を受付前に運んで来た際、俺を一瞥した。俺はドキッとしたが、男は何も言わずに受付の方にまた眼を向け、頭の黄色い鉢巻を すっ ととり、ギルドマスターを待っていた。


鳥人「ああ、コウジさん。お待ちしておりました。ギルド内練習用の剣と盾、鎧ですね。今、ギルマス呼んできます。すこしおまちください」


ピューー、急いで奥に戻り、誰かと話した後、書類だけ持ってかえってきた。


鳥人「ギルマスが今、ゲームに真っ最中でしてこちらの書類にサインしてくれれば後はこちらで奥に運びますので、サインお願いします。」


と鳥人がわたわたと書類とペンを出して、コウジという人は またか と呟き、書類を書こうとする。その時に、絡んできた犬獣人が問いただしてきた。


犬獣人1「おい、旦那はどう思うんだよ、人間について。目ざわりと思わねぇのか」


はっと我に返った俺は、ドキドキしながら返答を待った。もしアンチ人間派なら、あんな体躯で闘うことになったら、どれだけ俺がはじめの一歩を読んでいても敵わないと分かり切っていたからだ。男は、サラサラと文字を書きながら


コウジ「興味ないな」


とだけ答えた。あれ、クラ〇ドさんですか?そうですか。興味ないだけですか、と ホッ と一息をついた。犬獣人は チッ と舌打ちの後、何か閃いたのか、練習用の剣を二本取り出し、犬獣人はこちらに一本投げてきた。


犬獣人1「まぁ俺もお前が強かったら何も言わねぇよ。このギルドの西側にギルドの練習場がある。そこで俺様から一本取れたら入会を許しといてやるよ。一本取れたらな。」


逃げんなよ と、犬獣人の二人は先に西側の練習場へ向かった。受付の鳥人は、はらはらしながら、こちらを見ている。かわいい。


鳥人「コウジさん、見てないで止めてくださいよ、危ないことになりますよぉ」


とコウジさんに向いてピィーピィーと叫んだ。めちゃかわいい。そして、コウジという男は


コウジ「俺自身は、剣の出来を見たいから対決とやらを見たいがね」


と、俺の方をじぃーと見つめた。とても誠実な目。勝敗というより、作品の出来に対しての職人魂というものなのか、こちらが勝負を受けるのかじっと待っている。


俺自身は、島で生きていく上で剣の技術や弓、銃の撃ち方などは見についているがそれは野生の生き物に対してである。対獣人への剣のスキルなんてこれっぽちも知らないが、俺も男として生まれた身。あんな漫画のような分かりやすい挑発に乗ってやるのが男、そして勝つのが男ってもんですよ。


鳥人「コウジさん~...あ、あのお気になさらずに。入会の手続きは済みましたので、冒険者のライセンスを発行しますので、すこしおまちくだs...」


という瞬間、俺は鳥人の子に さっ と手をかざす。あのわんわんおの挑発上手く使わせていただくぜ。


サピ「お嬢さん、大丈夫ですよ。怪我なんかしませんし。コウジさんも剣の出来栄えが気になるらしいので、あのわんこをブルドックからチワワに変えてやりますよ。だからもし勝ったら、一度お食事しませんか?」


決まった。最高の出来栄え。この試合、勝ったら俺、この子とデートするんだ。と西側に向かおうとすると


コウジ「この子、彼氏いるぞ」


という言葉が俺の耳を通り過ぎた。サピス は たたかう きりょくが なくなった。

サピス は めのまえが まっくらになった。




━━━━・━━━━




ギルドの横にある、練習所は色々なブースに分かれており、ダミー人形がおいてある場所や、射撃訓練所、魔法の詠唱の訓練所、組み手用の広場など割と広かった。ブルドックの犬獣人は組み手用の広場の訓練所に五番目のところに立っていた。


犬獣人1「なんだ尻尾巻いて逃げたのかと思ったぜ。あぁ、巻く尻尾もないもんな、ガハハ!!...あ?どうしたんだよそんな顔して、びびってんのか?」


サピ「いやぁ...もう一戦...負けたっていうかぁ...なんかぁ...この試合の価値がないっていうかぁ...」


犬獣人1「? なに言ってんだお前?早くやろうぜ」


犬獣人はさっと、鉄の剣をこちらに向ける。訓練所の外では鳥人とコウジが見守っている。


鳥人「サピスさんでしたっけ...大丈夫ですか?本当に怪我をしますよぉ...どうしたんでしょう...」


コウジ「ある意味お前が悪いな」


鳥人「コウジさんがあんなこと言うからですよぉ。食事だけなら私だってOKしますもん。しかも何で知っているんですか~!!」


コウジ「彼氏がいるのは事実だし、ギルマスがすごい言ってきたぞ」


鳥人「私のプライバシー....」


俺は、コウジさんと鳥人の子がイチャコラしてるのを、じっーと見ている。あの二人、出来てる...のか?まあコウジさんはハンサムだし体格いいし。もてるよな。いいよな。と見ていると、


犬獣人1「よそ見してんじゃねぇ!!」


と斬りかかってきた。はっ と我に返りこちらに走りにくる犬獣人に対峙する。こんな闘いのシーンではこんなモブ、瞬殺できるのが基本。相手が振りかぶってきたところを、さっ と躱し一撃をお見舞いしてやるよ。と構えていると相手の剣が俺の頬を通り過ぎる。ぎょ とした俺は、一旦距離を取り、再度剣を構える。

犬獣人1「おいおい、降参するなら今の内だぜ。こんなんじゃ冒険者辞めた方が自分の身のためだぜ!」


と意気揚々と叫んでくる。あれぇ?お前普通に強いじゃん?頬のキズちょっと痛いんですけど。全然モブじゃないじゃん。


犬獣人1「格の違いを見せてやるよ。おれのSAでな!!」


と犬獣人は体に手をかざし、魔法を唱える。体の周りには淡い赤色のオーラが包みだし、犬獣人は斬りかかってくる。俺はすぐに剣を構え、相手が振りかぶってきた剣戟を右に受け流す。犬獣人は ニヤリ と笑うと自分の体を回転し左から廻し蹴りを炸裂させる。とっさの蹴りに上手く反応できず左腕だけでガードしたため1mほど吹っ飛んだ。幸い脳天だけはガードできたため、致命傷は避けた。


犬獣人1「へぇ やるじゃねえか。次はこうはいかねぇぞ」


とまた魔法を今度は剣の方に唱えた。剣にも体にも淡い赤色のオーラがまとっている。


鳥人「コウジさん~ 止めてくださいよ~これ以上は危ないですよぉ~」


コウジ「危なくなったら止めるさ。強化魔法か。 剣そのもの出来が知りたかったのだが...さあ、あいつはどうするんだ?」


と鳥人がハラハラしながら見守り、コウジさんはじっと見つめている。


あれぇ?こいつ動き速くね?めちゃつよじゃん。よくわからん魔法使ってるし。めちゃくちゃ左腕痛えぇ。ぴえんだわ。


サピ「SA使うんだったら、こっちも使ってやる」


と俺は、目に魔力を集中する。SAから読み取れるに、相手の元素魔法は火で、いわゆる強化魔法。身体向上と剣の耐久性の向上か。シンプルだけど強い魔法だよな。だったら...しんどいけど...と、剣を構えてまたもや迎え撃つ。


犬獣人1「なにやってもこれで終わりだよ!!」


と相手が振りかぶる瞬間、俺は魔法を唱える。唱える対象は相手の剣。相手の剣を受け止めようとするその刹那、相手の剣が バリン と壊れる。唖然とした犬獣人の喉元に剣を突き立てる。


サピ「チョk...チェックメイトだ」


だっさ。恥ずかしい。死にたい。ま、まぁ勝負には勝ったことだしこれで一件落着と剣を下すろし、訓練場から去ろうとすると、


犬獣人「......っざけんじゃねえ!!!」

と、犬獣人が血眼になり、飛び掛かってきた。おれはとっさに反応できず、あ、死にました。対戦ありがとうございました。と一文が脳を通り過ぎ、身構えるしかできなかった。すると、飛び掛かってきた犬獣人の左の顔にコウジさんの俊足の一発が入り、犬獣人が訓練場の外へふっ飛ばされた。おれはあんぐりと口を開けて見てるしかできなかった。コウジさんはもう一方の犬獣人に


コウジ「勝負はついた。そいつを連れて帰りな」


と言い放つと、パグの犬獣人はノビているブルドックの獣人を抱えて一目散に逃げ出した。これで終わったんだと一息ついて、コウジさんに礼をした。


サピ「助けてもらいありがとうございました。もう少しでヤラレチャッタするところでした。」


コウジ「? 別に、勝負は一本ついたからな。しかし、剣の一本の出来が悪かったか...」


サピ「あ...っとそれについてなんですけど...」


鳥人「大丈夫ですか?頬と左腕に怪我していますね。救急箱とついでにライセンスもとってきますから少し待ってください。」


と、理由を言おうとすると、鳥人の子はギルドにパタパタと帰っていった。かわいい。結婚しよ。...じゃなくて


サピ「えっと...ちょっと俺の魔法で一つダメにしてしまいました。すみません。お代は払います。」


コウジ「モノをダメにさせる魔法なのか?」


と ムッ とした顔で ウゥー とこちらを唸りながら見る。やばい、殺される、と戦慄した。


サピ「えっと、剣の耐久値を変換させたというか、書き換えたというか」


コウジ「...どういうことだ?」


サピ「えっと俺のSAは謂わば、『視界にあるものすべての情報を得る』て感じなんですけど、相手の身体力とか能力とか剣の素材とか文字情報に起こせるんですよ。ここからは応用なんですけど、30分程だけ相手の情報を書き換えたりしました。鉄の剣からタダの鉄くずの剣にしたり、身体の筋肉量を少し減らしたり。だから、相手の剣の振りかぶる勢いで剣が壊れちゃったというか、はい。僕が壊しました。」


コウジ「......」


サピ「あの...本当にすみません。受付の所で全部の武器防具を興味本位魔法で見ていたんですけど、滅茶苦茶耐久値がいいし、品質も最高のものだったので、壊すのはよくないと思ったんですけど、死ぬ一歩手前だったから」


と、思ったことを正直に話して、楽になろうと話していたら、コウジさんはびっくりした顔でこちらを見る。フム と顎に手を置き、何か考えているらしい。


コウジ「武器は壊れるものだから仕方がない。だが、これは納品物だからまたこのギルドに一本届けなければならん。」


サピ「そうですよね。その分の材料費はしはらいま...」


コウジ「だから、今日うちに来て、一本新しいのを作るんだ。もちろん俺がほとんどするが、お前はサポートをしてくれ。これで代金もチャラだ」


サピ「えっ!?...っと断るわけにもいかないし分かりました。善処します」


と、ノリと勢いで受けてしまった。代金払う方がなんか早く解決すると思ったけど、代金払わずに解決できるなら、いいのか?いやでも、下手なモノを作ってもやり直しとかなり、俺の仕事が鍛冶屋になってしまう。 これはやばいのか?でもあの人尻尾振ってる。なんでだ?まあいいか。泊まる宿もまだないし。後から考えよう。と思っていると、パタパタと救急箱とライセンスを持った鳥人の子が帰ってきた。


鳥人「お待たせしました。これがライセンスです。今手当てしますね。あれコウジさんなんで尻尾振ってるんですか?」


コウジ「振ってない」


と尻尾をピタッと止め、残った荷物をギルドの蔵に運ぶと言い、荷車を運んで行った。


鳥人「あの人、自分の作品に対して愛があるというか、ちょっと壊れたことに対して悲しむかなと思ったんだけど、どうしたんでしょうね?...はいこれで終わりです。ギルドの依頼についてはまた後日説明しますね。今日はゆっくりしてください。」


サピ「やっぱり職人さんって作品に魂込めますもんね。後でもう一回謝るようにします。ありがとうございました。」


蔵に運び終えたコウジは、俺の支度の準備を待っている。準備を終え、コウジさんの鍛冶場に向かうため、鳥人の子にもう一度お礼を言って、ギルドを後にしようとする。これからは冒険者として、俺の新しい人生の第一歩だ。




コウジさんと一緒に鍛冶場に向かおうとするとき、ふと思ったことを二人に指さして、聞き出す。


サピ「お二人は...付き合ってます?」


コウジ&鳥人「「付き合ってない」」

そんな言葉だけが夕方の茜色の空に響いた気がした。まだおれの人生も恋路も始まったばかりだ。






━━━━・━━━━


いかがだったでしょうか

受付の子の名前は未だ決めておりません。

主要人物にはそれぞれ意味を持たせていますが、受付の子にはまだ何も考えていません。

シマエナガがモチーフとだけのことです。かわいいよシマエナガ

それではまたの機会に。ありがとうございました。

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