01 今世の終わり
今日からできる限り3日に一度投稿します!悪役令嬢ものです!読んでくださったら幸いです。
「数々の大罪を背負いしシルウェスト王国の王女、アイリ・フォン・ハルア。今より、身投げの刑す処す」
私のせいで、みんな死んだ。
これは、報い。わかっいてますわそんなこと。
暴食は、私の姿をこんなに醜く仕立て上げた。
嫉妬は、あの優しい少女を殺した。
色欲は、私を誤った道へと進ませた。
傲慢は、もっと最悪な結果を生み出した。
怠惰は、多くの人を死地へと追いやった。
憤怒は、いとも容易く利用された。
大罪を背負った少女とは、上手いことをいいますわ。
ならば残った強欲で私は、もう一度やり直す機会を望みます。
……なんて、絵空事ですわね。
「最期に言い残すことは?」
多くの観衆が見守る中、司祭からそんなことを尋ねられた。
貴族に媚びへつらい小金を稼いでいた信徒どもは、いともたやすく裏切り、こうして私に未練を聞く。
なんて醜い。
……けれども、気づいてしまった。
一番醜いのは、私だ。
国の窮状を知りつつ、今日も生きられない民を笑い、その血税をむさぼりつくした。
亡国の王女なんて、死んで当然だ。
それが、国を滅ぼした悪女ともなれば、凄惨に、むごたらしく。
民は、私に石を投げる。
聞き飽きた罵声が、鳴りやむことなく私の両耳を響かせる。
逃げ場のない私は、それを一心に受け続け、醜い姿がさらに汚く膨れ上がる。
「……ありませんわ」
けれども、許せない人たちはいた。
今となっては救国の『英雄』。
でも絶対に、許しはしません。
今でも観客に紛れて私をあざ笑い、私の死を今か今かと楽しみにしているはず。
許せない。許さない。
唇を噛みしめ、そうして私は。
飛んだ。
「あは……あはは。アハハ!!」
ここは、シルウェスト王国の処刑場。
絶壁の下は過去誰も到達したことがない奈落になっていた。
死は絶対に免れないでしょう。
ビョービョーと、うるさいくらいの風切り音が私の耳を鳴らす。
物凄い速さで、走っているみたいですわ。
私は、間違えたのです。
自分を特別だと勘違いした。
たくさんの人を傷つけた。
それでも神様。やり直す機会をください。
そしたら私は、今度こそ。
今度こそ、まっとうな人間になりますから。
【あなたは悪――大罪魔法(強欲)を与えます】