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【書籍化】幼馴染彼女のモラハラがひどいんで絶縁宣言してやった  作者: 斧名田マニマニ


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15/30

雪代さんを守るために反撃を開始する

 花火との話を終わらせて雪代さんと蓮池のもとに帰った俺は、すべての元凶が自分にあったと打ち明け、心からの謝罪をした。


「ある人とちょっと前に揉めて縁を切ったんだけど、その時の報復で俺の周りの人を苦しめようとしたみたいなんだ。本当にごめん……」

「一ノ瀬くん、顔を上げて……! 一ノ瀬くん全然悪くないよ……!」

「その揉めた相手を今追いかけていったのか?」

「うん。俺たちの様子を見てたみたいだ。その相手が大道寺絵里花を唆して、嘘をつかせたことも聞いてきた。大道寺絵里花のことは俺がなんとかするから、あと一日だけ時間をもらえるかな」

「一ノ瀬、何をするつもりなんだ? 俺も協力をーー」

「いや、俺一人に任せて」


 花火と話しているときに、この件をどう解決するか頭の片隅で考えていた。

 使えそうな案は浮かんだものの、場合によっては汚い手を取ることにもなりそうだ。

 そんなことにこの二人を巻き込むわけにはいかない。

 これは俺の蒔いた種なのだから、俺が責任を持って刈り取るしかない。


「雪代さん、ごめんね。不安だと思うけれど、必ずなんとかするから」

「ありがとう。でも私は平気だよ。それより揉めた人のことは大丈夫……?」


 自分と花火の間にあったモラハラのことを具体的に話してもいいものなのか、この場では答えが出せなかった。


 その話をしたら、被害者面をしている感じになってしまうのではないだろうか?

 おそらく雪代さんは俺に同情して、また「一ノ瀬くんは何も悪くないよ」と言ってくれるだろう。

 巻き込んでしまった俺としては、そんな状況はできるだけ避けたい。


 ……でも、雪代さんには知る権利があるよな。

 花火のせいでひどい目にあったのだから。


 今回のことが解決したら、雪代さんと蓮池には改めて花火との間にあったことを話そう。

 俺は心のうちで密かにそう決意した。


 ◇◇◇


 翌日の放課後。


 昇降口の脇でできるだけ気配を消して待っていると、しばらくして目当ての人物が姿を見せた。

 運良く相手も一人きりだ。


 壁にもたれていた俺はすっと体を起こし、その人物のもとへと向かった。

 気配に気づいて顔を上げた相手がハッと息を呑む。


「阿川さん」


 これまで知らなかった名前を呼びかける。


「ちょっと大道寺さんのことで聞きたいことがあるんだけれど」


 俺がそう言うと途端に彼女の顔に警戒の色が宿った。

 目つきが鋭くなり、あのカラオケで見せていたような表情になる。

 そう、彼女はカラオケで陰口に興じていたもう一人のほうだ。

 名前は阿川未来。


 俺は阿川未来経由で、大道寺絵里花のSNSのアカウントを調達しようと思っている。


「大道寺さんてSNSやってるよね? 連絡が取りたいから、アカウントを教えてもらえないかな?」

「えっ。む、無理ですよ。そんなのルール違反だし。絵里花に怒られるの私なんですよ?」

「ルール違反なのはわかってるよ。でも、大道寺さんとはなんとしても連絡を取らなきゃいけないんだ。もちろん誰から聞いたかは言わないって約束する」

「でも……」

「それとも阿川さんが証言してくれる? 大道寺さんのそばにいた阿川さんなら、彼女が雪代さんにいじめられてたって話が嘘だってわかってたんじゃない?」

「そ、それは……」

「雪代さんは今回の件ですごく傷ついてる。だから手を貸して欲しいんだ」


 俺が頭を下げると、阿川未来はじりっと後退した。


「悪いけど無理です。雪代さんが困ってるからなんなんですか? 私は別に雪代さんの友達じゃないし。無関係な人がどうなろうが興味ないっていうか……。そもそも絵里花が起こした問題だって、私は巻き込まれる筋合いないんで」

「大道寺さんと友達じゃないの?」

「友達っていうかオタク仲間? でも、微妙に解釈違いなとこあるから、そこまで庇えないし」


 本当に迷惑そうな顔で阿川未来が言い放つ。

 呆れすぎて、正直ちょっと笑ってしまった。

 花火とは違う意味で、阿川未来も人としてどうかしていないか?


 まあ、おかげで遠慮せず次の手に出れるようになった。

 本当はこの手段を取らないで済むのなら、それにこしたことなかったんだけどね……。


「ただ頼んだだけで協力してもらえないことはわかった。だったら交換条件を出すよ。体育祭の後のカラオケで、大道寺と二人になったの覚えてる? トイレの前の廊下で」

「え」


 宙を見上げた阿川未来が、不意に表情を強張らせた。

 その時のことを思い出したのだろう。


「な、なんでそれを知って……」

「たまたま居合わせたんだ。それで二人がクラスメイトの悪口を名指しでしてるのを聞いた。もし俺がそのことをみんなに話したらどうなると思う?」

「……!」


 鬱陶しそうにしていた阿川の表情が、みるみるうちに変わっていく。


「あんたたちが悪口を言ってた相手は、うちのクラスの主要メンバーだ。そんな相手と対立したら、これから一年相当しんどいことになるよね」


 悪口を言われてた側がどんな態度に出るかはわからない。

 ただ、たとえいじめに発展しなくても、無視されたりする可能性は高い。

 自分を悪く言っていた相手と仲良くお付き合いしていく義理なんてないんだから、それも仕方ない話だ。


「しょ、証拠はあるんですか……!」

「そんなものないよ」

「私は否定するんで、誰も信じないですよ」

「本気でそう思う?」

「どういう意味ですか」

「雪代さんはいじめなんかしてなかった。本人も否定した。でもクラスの雰囲気はどうだろう? みんななんとなく疑心暗鬼になって、雪代さんに疑いの眼差しを向けているよね」

「……っ」

「こういう噂は一度たったら収拾がつかないんだよ。真実がどこにあるかなんてみんな気にしていないし。相当インパクトのある逆転劇でも起こらない限り、噂の当事者が泣きを見るだけだ」


 それに今もう泣きそうな顔になっている阿川未来が、縋るように俺を見上げてくる。


「SNSのアカウント教えたら、私のことだけは黙っててくれます? 絵里花が悪口を言ってたって暴露するのはいいけど、私は絶対に巻き込まれたくない……!」


 俺はうんざりした気持ちを隠して笑みを返した。


 ◇◇◇


 その夜。

 計画の第二段階に取り掛かった。


 ちなみに今は、阿川未来から手に入れたアカウントのメモを手に、自室のベッドの上にあぐらをかいて座っている。

 右手にはスマホ。


 花火が大道寺とSNSでも繋がっているかはわからない。

 ただ、もし繋がっていた場合、連絡を取るのに使っているアプリは百パーセント、LINEだ。

 なぜなら、花火はLINE以外のアプリは全て鍵垢にするタイプで、俺以外の人間にアカウントを教えることは絶対ないからだ。


 それも当然だろう。

 歪んだ本音を好き放題吐き散らかしてる裏垢なんて、本性を知っている俺以外に見せられるわけがない。

 その点を利用しようと思う。


 話は単純。

 とにかくLINE以外の手段で、大道寺絵里花に連絡を取ればいいのだ。

 そうすれば、すでにアカウントを交換していたなんていう間抜けな理由で、俺が花火の偽物だとバレたりはしない。


 花火の全てを把握させられていたおかげというのが、正直微妙ではあるけれど……。


 でもそのおかげで、今回こちらはかなり行動しやすくなったわけだしね。


「さてと、そうと決まれば」


 俺は自分のスマホにSkypeのアプリをダウンロードし、新規で花火名義のアカウントを取得した。

 それから阿川未来にもらった紙を取り出し、大道寺絵里花のアカウント宛にフォロー申請を送ってみた。


 メッセージを送り様子を見ていると、五分もしないうちにスマホが鳴った。


 えりかち@リバ地雷死ねや : こんばんは!!!

 フォローありがとうございます!╰(*´︶`*)╯♡

 こちらでもよろしく!

 あ!てか今日、雪代史たちが家に来たんですよ

 wwww


 よし。

 獲物がかかった。

私が読みたい幼馴染ざまぁを書いてみました

需要があったら毎日更新にしますね!


「需要あるよ」「読んでやってもいいよ」と思ってくださったら、

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