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再会 その2。

「コーヒーと紅茶、どちらになさいますか?」

「紅茶をホットで。あ…。」

「ご馳走させてください。」

「なんか申し訳ないんですけど。」

思いがけず西嶋さんとお茶を飲むことになって注文の段階で西嶋さんがご馳走してれると言い出した。

「せっかくお会いできたんだから。それに僕を立てるってことで。」

「じゃあ、ご馳走さまです。」

財布を出そうとしたら、サッと止めてオーダーした西嶋さん。年下だけど、やっぱり素敵。

テーブルをはさんで向かいあって座ると西嶋さんが口を開いた。

「どうかされたんですか?」

「急にアレルギーが悪化してしまったんです。少し落ち着いてきたところなんですけど、お化粧もしていないから。」

「以前から時々、調子の良くないときがあるっておっしゃってましたよね。」

アレルギーのことを行くたびに気にかけてくれていたのよね。

「もう少し元気な時に会えたらもっと良かったんだけど。」

マスクを外さずに答える。

「そんな。変わらずお綺麗ですよ。」

「相変わらず、セールストークが上手ね。よくこんな姿なのに私だってわかりましたね。」

懐かしいお世辞に苦笑いすると、西嶋さんが言った。

「いや、本当です!僕のお客さんの中で一番お綺麗だったんですから。」

「フフ。いいわよ。お世辞なんて。」

地元に帰る直前の西嶋さんは、引越しの準備の最中だとか。今日はたまたま買い物に来ていたそうで。

偶然会った上にお茶のお誘いなんてステキだわ~。こんな姿を見られたくないはずなのに、二つ返事で乗ってしまったのよ。こんな状態なのに気付いてもらえたことが嬉しかったわ。

「僕ね、いつも七瀬さんがいらっしゃるのを楽しみにしていたんですよ。綺麗な方に会うと元気が出ますから。」

「んもー。お世辞ばっかり~。20歳も年上のオバサンをからかわないでくださいよ。」

そう言いながらもニヤニヤとしてしまうわ。

「いや、本当ですよ。僕、七瀬さんのファンでしたから。実はスタッフの間でもファンがけっこういたんですよ。」

「じゃあ、言っちゃおうかな。私、西嶋さんのファンだったんですよ。技術面とは別にね。」

「七瀬さんこそ、お世辞が上手いなあ。」

「お世辞じゃないですよ~。」

お世辞とわかっていても、こんな事を言ってもらえるのは嬉しい。気分がアガる~!

他愛ない会話を楽しんでいるうちに一時間ほどが経ち、席を立つ。

「次にお会いするときは、良くなっているといいですね。」

「いつ会えるんですか~?地元に帰られるんでしょ?」

「あ。そうだった。」

「相変わらずですね。」

そんなことを言いながらケラケラと笑う。

名残惜しいところだけど、もう会えないと思っていたところだったのに会えたから、それだけでもラッキーだったと思う。

思いがけず充電できたわ。

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