お世辞でもうれしい。
ドキドキな会話をしながら、ブローをしてもらう。この後、前髪カットと眉カットで完了。
「七瀬さんは顔立ちがキレイだし、お若いので、このワンカールがお似合いですよ。」
デジタルパーマをかけたばかりの毛先をふわり、くるりとブローしながら西嶋さんが言う。お世辞でもうれしいわ!
「カルテを見てびっくりしたんですよ。最初は同じくらいの年齢だと思っていたんです。」
「そんなこと言って、帰りにトリートメントでも買わせたいんじゃないの~?」
「いや、そんなことないですよ。ホントですってば。」
また西嶋さんがケラケラと笑う。こういう会話って何気にうれしい。やっぱり何歳になってもキレイって言われたいもの。これがオバチャンの本音。
ブローが終わって、前髪をカットしてもらう。慣れているから、私の髪のクセや、額の間隔を把握してくれているので、何も言わなくても切りたて感が出ないようにそっと揃えてくれる。それでも確認をしてくれる丁寧さが好き。
「このくらいでいかがでしょうか。」
「はい。バッチリです。」
そして最後に眉カット。眉は自分で整えるときもあるけど、美容院に来たときはいつもお願いしている。
大事に大事に整えてもらえるのがうれしい。客としてであっても大事に接してくれるスタイリストさん。たまに雑なスタイリストさんもいるから、こういうお気に入りさんに出会えたのは本当にありがたい。
最後に鏡で後ろ姿までチェックして、会計を済ませ、店を出る。出口までお見送りをしてもらえるのは、普通のことかもしれないけど、これもありがたい。
「今日はありがとうございました。またお待ちしております。」
キレイな姿勢でお辞儀をする西嶋さん。こういうお辞儀のキレイさも、スタイリストさんの魅力の一つだと思う。技術はもちろんのこと、こういうときにもその人の姿勢が現れると思うの。