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 不意に、前方の暗がりが歪んだ。

 

 起き抜けに階段の降下をした所為かもしれない。

 それに構わず、エイコは最後の一段まで一気に駆け降りた。


 降りて、やっぱり痛む首に手をあて、目をきゅっとつむる。

 立ち止まりたくないのに、急に自分の足が、夢で歩を進めるようにもどかしい動きになる。 


 力点にした手すりを握り、エイコは深呼吸をする様に一つ、息をついた。

 震えているのだろうか、手に触れる手すりの感触が頼りない。



 誰かも解らない、従兄弟にそくっりな人の言葉。

 信じる方がどうかしてる、なんて事は分かってるんだけど。

 自分をもらうとかだって、そんな事も気にしてない。


 だけどマキの事は。

 

 何も知らないから、余計に不安で。

 いっそ自分がそう言われたのなら、ここまで気にしなかったけど。

 大切な人だから。


(ああ、うん……そっか。自分じゃないから、大事なひとだから……ってナニこの愛の告白みたいなセリフ!!?あ、愛じゃないから!親愛だから!!イヤ親類愛?!)


「はぁ……よし――大丈夫」

 

 ちゃんと、確かめないと。

 早く見ないと。

 早く会わないと。



「……マキに、会って問い詰めないと」

「そう。丁度良かったね。何?」


 エイコと同じフロアーの奥から掛けられた、穏やかそうな声。


「ひぇ!!なッ!!マ!!」


 振り向くと、階段にもたれ掛かりにこりと首を傾けるマキがいた。


 春とはいえ夕方には辺りは薄暗さを増し、はっきりと相手の全てを認識することは出来ない。方が良かったのに。

 育ち始めて十日ほど経った月は、ガラス張りの玄関戸からその存在を主張した。

 

 しかも。

 頼んでいないのに、湧いて出たこの従兄弟の輪郭も妖しく照らし出した。 

 微かに月に照らされたマキは、恒星の元で見るよりも数十段、綺麗で。

 綺麗なんて言いたくないけどそれ以外無くて。

 煌くような黒曜石が、相手を黙らせてしまう。


(気配無かった――って、やっぱ無理。何かムリ。なんでこんな――い、威圧感?が……ッ!!!ちょ、これは!!)


 間が悪い。勝負じゃないハズなのに、勝機がない!!

 会いに行く筈だった人間なのに、に、にげた…


「逃がす訳無いって言ったよね?――逃がすか」


 機嫌ワッル!!


「ぅ…わッ!??ち、ちょっと何でバレた…じゃなくて、なんで居んの?!」

 

 マキと距離を取るため階段を上ろうとするが、伸びてきた腕に進路を阻まれる。

 (ひる)んでポロッと逃げようとしたことを暴露したところで、おまけとばかりに手首を掴まれた。…しかも両手(泣)しかも背後から(脅)。


「何でって?ディズ送って帰ってきたら、てっきり俺の部屋のベッドで行儀良く待ってるハズの俺の彼女が居なかったから捕獲しに。で、何?」

「スイマセンたった今そこかしこに疑問質問ツッコミ所が発生したんですケド。そしてこの過度なスキンシップは一体な…っひゃ!!」


 密着され、背中にマキの体温を感じる状況に、サッと全身の神経が粟立つ。 

 しかも音源と聴覚器官の距離がものすごく近い。近いとかじゃなくて。


「み、耳ィ!!みみやめてちゃんと言うから逃げないからッ!!」

 また舐め…(泣)!!じゃなくてじゃなくて!!ああもう誰か助け、て…… 


 見回す自宅。

 もちろん両親不在(戻る予定今のところナシ)

 =絶望的……じゃ。


「早く言って?じゃないとその内鳴き声しか出なくなるよ?」

「ぅえ?!なき声って私泣かされるの?!な、何?!何の拷問?!しかも何の仕返し?!なんの…ゃッ?!」


――ちゅ


「それと、喘ぎ声、なら出せるかもね」


 直後、生暖かい感触がエイコの耳の輪郭をなぜ上げる。

 ゆっくりとしたその感覚に後からスウっと冷たさが加わって。


 そこまで聞いて、エイコはマキの発する言語理解が急に出来た。


(な、なくって鳴く?!あ、あえぎ声って、動悸とかじゃ無くて?!!ィャいやいやいや否。負けるな私。切り札は数枚ある。しかも内一枚は(たぶん)マキの生命の危機だ。…この状況、ハズれていたら大問題な気が……――ハズれているべきなんだケドォーーーー(泣)!!!)


「エイコいいの?」

「んっ!!…言うから離し、て!だからアンタにはディズちゃんいるでしょっ!!で〜、えっと!!マキはあ…」


 ぐりって知ってる?と、微妙で繊細なお年頃に配慮しつつ、平静を装って言おうとしたのに。

 大事な(私の為の)切り札の一枚(彼女いるでしょ罪悪感無いの発言)まで出して。

 なのに。


――ダン!!


 音とともに視界がぶれ、奇妙な浮遊感を感じる。

 三半規管が平衡感覚を返してくれた時には壁に押し付けられ、左肩からの響くような鈍い痛みにエイコは顔をしかめた。


「そう。残念。時間と理性切れ―――鳴いて?」


ここまでマナイにお付き合いいただきお疲れ様です(笑)

祭まで何か月引っ張るんだ!!て感じですね…自分でそう思います…(泣)マナイの地域の秋祭りは昨日(10・12)終わりました☆耳からお囃子のビートが離れません(笑)

エイコをRUNクリして、応援してやってください(>ω<)☆


12月25日あとがき更新☆

ちょおおおっと修正したいので、10部を一旦ひっこめます(>_<)

なんやかんやで忙しい師走なので(言い訳)ストーリもなかなか進展していませんが、もし万が一定期的に更新を確認してくださっているという方がいるのかも?!!!なんてことを妄想しつつ、冬休みにはちょこっと気張きばりたいと(←これって方言なんですかね〜)思ってます!!

それにしても、NNRさんは残念でしたね(/_;)

初心者なんで、移転とかミラーページとか難しくて出来そうにありませんので撤退です(泣)


ではではよい年末をお過ごしください(^v^)

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