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第一章 ep4 決闘

「うーん、にしてもいきなりサユリと手合わせをすることになるとはな、」

 朝食の後、ショウは一人自分の部屋に戻っていた。サユリから受けた挑戦状を受けとることにしたショウだが内心は少し不安であった。

 (俺なんかがサユリの風の能力に勝てるのか? 街の住人の話じゃサユリはこの風の国で最強を誇る程の実力者だって聞いたからな、不安だな。)

 すると、ショウの頭のどこかに昔の記憶がよみがえる。

 【ショウの記憶】

 「はぁ、はぁ、はぁ、」

 ショウはこの姿からしてまだ10歳の時の記憶だろうか、ショウはとある空き地にて誰かと勝負をしていた。

 ??? 『まったく情けないな、ショウは、』

 「君が強すぎるんだよ。」

 ??? 『いいショウ、大事なのは勝つことなんかじゃないんだよ。大事なのは、認めさせることが必要なんだよ、』

 「勝つことより、認めさせること。」

 ??? 『そう、そのことをずっと心の中にしまっておけばきっと大丈夫だよ、』

 「うん、そうだね、」

 ??? 『あ、それとショウ君は%$)!&?\%$#』

 「え、なんて言ったの?」

 ??? 『だから、君は#$%\?&&?\%$』

 次第にその声は消えていった... ...

 

 「はっ!!」

 起きた目の前には、

 「天井か、」

 最後の言葉が聞き取れず、ゆっくりと体を起こしそして、

 「よし、なにも考えても仕方ないやるか、」

 そしてショウはサユリの待つドームの方へ足を運ぶ。

 

 ■■■

 

 「ようやく、来たねショウ。」

 ドームの真ん中にはサユリが身構えていた。

 「なぁ、サユリ一つ聞いてもいいか?」

 「なに?」

 「いや、なんだよこの大観衆は、」

 ドームには席がうまるほどに人々がショウとサユリの手合わせを見に来たのだ。

 「あぁ、ごめん。多分これは、マユミの仕業だと思うの。」

 「あいつか、」

 大観衆はいまかいまかと手合わせの時間を待っている。

 「あの、風の能力最強のサユリと手合わせをするなんてあの男の子は勝てるのか?」

 「いやいや、さすがに無理でしょう。」

 観衆が見守るなかショウとサユリは、

 「ショウ、そろそろ始めましょうか。」

 「あぁ、いつでも。」

 そして、二人は身構える。そして、

 「それでは、これからサユリVSショウの手合わせ試合を開始します。それでは、スタート。」

 スタートの合図に合わせてサユリが攻撃を仕掛ける。

 (さすがサユリだな、速くて動きが読めないな。)

 「いくよ! ショウ!」

 サユリは、剣を空に向けて、

 《ウインド・ノーウィスパー!!》

 風の旋風がショウに迫る。その攻撃をショウは直撃する。ショウ君は体は宙を舞い地面に落ちる。

 (ヤバイなサユリのやつ本気でやりにきてるな、それなら俺もサユリの気持ちに答えなきゃいけないな。)

 ショウは両手を構えそして、

 「いくぞサユリ!! 《フレイム・トルネード!!》」

 ショウの放つ技はまるで竜巻に炎が巻き付く、それは大地をも揺らす。

 「なんだよあれ、」 

 「あんな能力見たことない。」

 「一体何者なんだ、あの子は、」

 ショウの技を見たサユリはあまりの衝撃に言葉を失う。

 (なによあれ、あんな技を見たのは初めて、)

 でもなぜかサユリは怖がるどころかむしろこの手合わせを楽しんでいるように見える。

 (さすがショウね、虹の能力を使いこなしている。でもこんなところで負けるわけにはいかない!!)

 サユリは剣を構え、

 「これはこらえられるかな? ショウ!!」

 《神風!!》

 (? なんだなにもこないように見えるが、)

 すると、シュッ!! ショウの服に切れ目が入る。

 (これは、鎌鼬(かまいたち)に似ているな。)

 ショウがサユリと激しい手合わせをしているなか、ドームの地下では、

 

 【ドーム地下室】

 静かな暗く寂しいその場所にはただ一人牢屋の中でひそかにたたずむものがいた。

 ???(うーん、ここはやはり退屈だな、なにか面白いことが起きればいいのに、)

 天井から激しい暴風音が聞こえてくる。

 (なんだ? なにやら外で派手に戦でもしてるのかな、)

 静かに耳を済ませてその場に心を研ぎ澄ませる。

 (この衝撃は、どこかで、ま気のせいか。)

 そして、また地下には静かさが戻り始める。

 

 【ドーム】

 ショウとサユリは手合わせを終えていた、決着はショウのある技により勝敗がついた。

 (うーん、そろそろこの手合わせも疲れてきたからそろそろ締めとするか、)

 ショウは右手をサユリに向けて静かに目を閉じその場で立ち止まってしまった。

 「なんだ? あの子急に動かなくなったぞ。」

 「降参、してるわけじゃないよなあれは、」

 「なにかまた別の技が見れるかもな、」

 (ショウ、急に動かなくなったけれどあれはまた何かの技を放つ構えなのかしら、だとしたら気をつけないと、)

 サユリは思うように動けずにいた。

 (サユリ、悪いがもう勝負は終わらせてもらったよ、さぁ、決着をつけよう。)

 ショウはまた静かに目を開きサユリに手のひらを向ける。

 「サユリ、もう終わりにしようか。」

 「わかったわ、これで最後にするよ。」

 サユリは剣をショウに向けて、剣を大きく一振りする。しかし、そこにはなにも起きなかった。

 「え、なぜ、どうしてなにも起こらないの?」

 困惑しているサユリにショウは、

 「無駄だぞサユリ、お前はもう技を使えない。」

 「どういうことなの?」

 「さっきから、俺はお前の能力を吸いとってたんだよ。」

 「まさか、さっきしていたあの構えは、」

 「もうわかったろ? あれは〈ロブ・アビリティ〉」

 「ロブアビリティ?」

 「あぁ、その能力は簡単に言えば相手の能力を吸うこと、つまりサユリ、お前はもうなにも能力を持っていないただの女の子ってことだな。」

 「そんな能力聞いたことがない、」

 「そりゃそうじゃん、俺も初めて使ったし、」

 「なるほどね、わかったわ、完敗よ私の負けね。」

 サユリは剣をしまいショウに近づいていく。

 「ショウ、こんどは絶対に負けない。」

 「おう、俺も絶対に負けない。」

 そして、ショウとサユリは固い握手をした、その瞬間にドームの民衆は拍手をした。

 「やれやれ、今日は本当に疲れたな。」

 「えぇ、私もここまで激しい戦いをしたのはいつぶりかしら、」

 ドームの真ん中で語り合う二人、それをじっと羨ましそうに見つめるクロナの姿があった。

 (ショウ、はやく帰ろうよ。)

 そして、ショウとサユリの手合わせ試合は幕を閉じたのであった。

 時間はとっくに夜を迎えていた。

 「結構な時間やってたんだな。」

 「そうね、もうこんなに遅いし、」

 「はやく帰って風呂にでも入ろうかな。」

 「うん、私もそうする。」

 ショウたちはマユミの城に到着した。

 (さてと、まずは先に風呂にでも入るかな。)

 「マユミ、ここの風呂場はどこにあるんだ?」

 「お風呂でしたら、この廊下をまっすぐ進んで右手を進めばあります。」

 「そうか、ありがとう。」

 そして、ショウは一人お風呂場へと急ぐ。

 

 【風呂場】

 到着した風呂場はやはり城ならではなのか無駄に風呂場がデカイ。しかし、思った通りに景色が綺麗に見える。衣服を脱ぎ風呂に入る。

 (やっぱりここは風呂にしてはどちらかというと温泉場だよな広いし、)

 のんびりと風呂場(温泉場)でくつろいでいると、何かの視線を感じとる。

 (ん、なんだこの風呂場のどこからか、視線を感じるな。)

 辺りを見回しても誰もいない。気のせいかと思いまたくつろいでいると、

 ザバンッ!! 突然の水しぶきに驚き距離をとるすると、

 「ショウ!!」

 そこにいたのは、クロナだった。体のいろはとても色白の髪の色は温泉の中に溶け込んで美しく見えた。

 「クロナ? 何してんだお前は、」

 「何ってショウと一緒にお風呂。」

 「いや、でもお前は女の子なんだからさすがに俺と一緒に風呂に入るのは、」

 「いや!! クロナはショウと一緒にお風呂に入るの。」

 クロナはショウから離れようとはしなかった、無理やり離そうとしても離れない。ショウは仕方なくクロナと風呂に入ることにした。

 「ショウ。」

 「なんだ?」

 「気持ちいいね!」

 「あぁ、そうだな。」

 (いや、気持ちいいよりもいまはサユリかマユミにこの状況を見つからないようにしないと、俺が死ぬ。)

 そして、二人は風呂場にて静かに時間が過ぎるのを待った。すると突然、

 「クロナ?」

 ショウの体に突然クロナが抱きついた。

 「お、おいクロナどうしたんだよ。」

 「ショウ、クロナのお願い聞いてくれる?」

 「俺にできることならまぁ、いいけど、」

 「今日、クロナと一緒に寝よう?」

 「却下。」

 即答だった。当たり前だクロナと一緒に寝るだなんてそんなの死ねと言われているのと同じだと思ったから。

 「どうして?」

 「そんなの勘違いされるから、」

 「クロナは勘違いされても平気だよ。」

 「俺が平気じゃなくなるんだよ!!」

 クロナは静かに顔をショウの方に向けてじっと、ショウの瞳を見つめている。それに観念したのかショウはため息をつき、

 「わかった、わかったから、そんな目で俺を見るな。」

 「クロナと一緒に寝てくれるの?」

 「じゃないと、お前はずっとその目で俺を見つめるからな、」

 クロナはとてつもない笑顔を見せた。今までに見たことのないような笑顔だった。

 (そんなに喜ぶものなのか?)

 その後、サユリとマユミに気づかれないよう、静かに部屋へと戻った二人はお願い通りに一緒に眠りについた。

 (やっぱりショウと一緒に寝るのはなんだか居心地がいいな、)

 (ヤバイ、ヤバイ、ヤバイこんな状況を見られたら俺はこの世にはもういないかもしれないな、)

 そう二人は考えていた、だがその一方で城から見て北東の【風の丘】ではひそかに風の街への浸入を試みる連中の姿があった。

 

 【風の丘】

 ??「あそこにいるんだよな、虹の能力使いクロナが。」

 ??「はい、二十年ほど前から姿をくらましていましたが炎の国王様によるといまはあの風の国でマユミ女王の城で身を寄せているとのことです。」

 ??「よし、それなら作戦は明日決行だ、お前ら気合い入れて行けよ!!」

 「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 風の丘から高い叫び声が聞こえてくるが、その声に気づくものは誰一人いない、

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