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第一章 ep2 黒猫幼女、名はクロナ

 「古の戦いを終わらせるものが必ず現れる。その者の特徴を以下に記す、

 一つ、瞳の色は左右異なっている。右目は黒、左目は白。

 二つ、そのものは虹能力を使い手とする。

 そして、最後、その者は揺るがぬ心を持ちどんな困難にぶつかっても必ず乗り越える真の心を持つ者」



 書物にはそのように書かれている。


 「ショウさん、この本の内容を当てはめると貴方しかいないんです。目は左右異なってますし、貴方は虹の能力の使い手です。そして、貴方は私達を助け出してくれた、強い心を持っています。」

 「確かに、全て当てはまるわね、」

 (いや、いくらなんでも無理がないかね?)


 古びた本にはショウに当てはまることが書かれている大きな部屋の中にはしばらく沈黙が続いた。

 そして、何かの気配を感じたのかショウはドアの方をじっと、見つめている。


 「どうしたのですかショウさん?」

 「あ、いや、さっきから誰かの視線を感じるんだよ、」


 ドアや窓を見渡しても誰もいない。


 「気のせいじゃないですか? きっとお疲れなんでしょう」

 「そうだよ、寝ればすっきりするから今日は寝て休んだ方がいいよ」

 「そうだな、そうすることにするよ」

 「それでしたら、私の隣の部屋でお休みになってください」

 「え、いいのか?」

 「えぇ、もちろんですとも、私の隣の部屋は今は誰も使っていませんので自由にお使いください」

 「なら、お言葉に甘えて休ませてもらうよ、」

 「お休みなさい。ショウさん、」

 「お休みー、ショウ」

 「うん、お休み」

 ショウはマユミの部屋を後にする。

 そして、俺はマユミの隣の部屋に入り深呼吸をした。


 「今日は大変な一日だったな、帰り道に缶けりをして帰るとマンホールに缶が入るわ、取ろうとして足を滑らせてマンホールに落ちるわ、着いたところが異世界だわ、何故かいきなり能力が使えるわ、そして、現在進行形で城の部屋で寝てるわ、本当に今日は散々な一日だったなこれが現実なら相当体に負担が来てるはずなのにまぁこれも夢だろうしな、疲れたなもう寝ようか、」


 Zzz そして、ショウは長い眠りに着いた、

 その後、

 ギィィ、ショウが熟睡する部屋の中に小さな人間が潜んでいた。


 「この人は誰かにゃあ?」


 その影はショウの布団の中に潜る。

 

 ・.・.・

 

 一方その頃、マユミとサユリはまだ、気難しい顔で話をしていた。


 「まさか、ショウが虹の能力使いだなんて、」

 「驚くのも無理はないですね、あんな技が使えるのは虹能力以外ありませんからね、」

 「ショウなら、もしかしたら、」

 「サユリ、貴方もしかしてショウさんと一緒に彼処を目指すつもりじゃないの?」

 「さすがマユミだね、私の頭の中でも読んでるの?」

 「そんなことは、どうでもいいですよ、それよりも私の質問に答えてください」

 「もちろん行くよ、でもその前にショウを説得させなきゃ、」

 「恐らくですが、ショウさんは行くと思います」

 「なんでわかるの?」

 「そうですね、女の勘でしょうか、」

 「勘でって、マユミの勘はよく当たるから心配しなくてもいいかな?」

 「でもサユリ、例え私が止めにいっても無駄なのでしょう?」

 「ごめんね、マユミ私は止まるつもりはないよ、」

 「はぁー、」

 マユミは深いため息をついた、

 「貴方が行きたいというのなら、私は止めないわ、」

 「マユミ、ありがとう、」

 「でも一つだけ約束して、必ず生きて帰ってきて、」

 「うん、必ず生きて帰るよ約束する」

 「それじゃあ、もう遅いしそろそろ私達も寝ましょうか、」

 「そうだね、もうこんな時間だし、私は家に帰るよ、」

 「サユリ、もう遅いから私の部屋で寝なよ」

 「え、いいの?」

 「うん、久しぶりにサユリと寝たいしね、」

 「わかった、それじゃあ、一緒に寝よう」

 そして、二人は部屋の窓際に置かれた一人用としては大きすぎるベッドに寝転がる。

 「やっぱりマユミのベッドは気持ちいなぁ」

 「こらこら、もう子供じゃないだから寝ますよ」

 「はーい」


 そして、二人とも眠りに着いた、こうしてショウにとっての異世界の一日目を終了する。

 その日の夜。

 城の廊下から眩しい光が射し込む、朝が来たのだ。真っ暗な城に強い日射しが包み込む。城の中で最初に目を覚ました者がいる。

 (ん? なんか眩しいな、もう朝が来たのか、)


 ゆっくりと体を起こし辺りを見回し朝が来たことを確認する。

 大きな窓から射し込んだ光はショウの視界を遮る。


 「ぐっすり眠れたな、こんなにスッキリした朝を迎えたのはいつ以来だろうか、さすがはマユミの家だなお城なだけあってベッドも気持ちいしなによりすごく眠りやすかったな」

 

 じっと、窓からの光を見つめて数秒後なにかお腹辺りに違和感を感じた、なにか重たいものが乗っかってることがわかった。


 「なにかが、乗っかってるな、」


 不思議に思い布団の毛布をめくるとそこにいたのは、


 「うわっ!! なにこれ!?」


 ショウのお腹には、黒く丸い物体が乗っていた。


 「なんだろうなこれ、マユミのものなのか?」

 (にしても、この大きさは動物にしては見たことがない)


 その黒い物体を指でつついてみると、ピクッ!! と反応した。そして、物体はゆっくりと体を起こした。


 「綺麗だ、」


 ショウの瞳には左右の瞳が異なっていて、髪の毛の色が灰色であり、黒色の幼女がショウのお腹に寝転んでいた。

 すると、幼女は


 「ふにゃ~、もうあしゃでふか?」


 なにを言っているのか正直わからず戸惑っていると、


 「あにゃたは、誰でふか?」


 なんとなくだが、なにを言っているのかわかるようになってきた。

 「あぁ、俺の名前は漸能翔。」

 「ゼンノウショウ?」

 「そう、漸能翔。」

 「なんか、呼びにくいでふぅ、」

 「あぁ、呼びやすい呼び方でいいよ。」

 (この子は、さっきからでふ、でふ、って言うけど口癖なのか? それに頭には、寝癖なのかわからないが猫耳みたいなのがあるな、)

 「わかりまひた、」

 「え、なにが?」

 「ショウたん、」

 「ショ、ショウたん?」

 「しょのとおり、ショウたん、ダメ?」

 「いやダメじゃないけどまぁ、ショウたんでいいよ、」

 (でもたん付けされるのはなんというか、恥ずかしいな)

 すると、幼女の瞳はきらびやかに輝いたように見えた。

 「あ、そう言えばそういうお前は誰なんだよ、」

 「わたしぃ? わたしはねぇ、クロナ。」

 「クロナ?」

 「そう、クロナっていうの、」

 「お前はここの城の人なのか?」

 「しょうだよ、わたしはこのしろではマユミ姉さんの妹なの、」

 「え、お前はマユミの妹なのか?」

 「うん、」

 (まてよ、マユミの妹って確か拐われたって、)

  それよりもこの状況はまずくないか?


 自分の寝ているベッドに一人可愛らしい幼女と一緒に寝ていたら誰でも勘違いしそうな状況にいた。


 ──まずい、この状況をサユリかマユミに見られたら大変だな、

 「なぁ、クロナ、」

 「んん? なんでしゅか?」

 「いい加減離れてほしいんだけど、」

 「いや、でしゅ!!」

 すると、クロナは強くショウを抱き締めた。

 「お、おい!! 離れてくれよ、」

 「いや、でしゅ!!」

 「なんでだよ!」

 「だって、しゅごくショウたんの体は温かいし、落ち着くから、」

 そう言われても、この状況のままではただじゃ済まされないだろ、

 (にしても、さっきからこいつ口調がコロコロと変わるな)

 すると、ショウの部屋のドアが勢いよく開く音が聞こえる。 


 「おはよう! ショウ!」


 勢いよくサユリが部屋に入ってきた。


 「ショウ?」

 サユリはショウのいるベッドを覗きこんだ、

 「え? ショウなにをやっているの? その子は誰?」


 段々と部屋の空気が悪くなることをわかった、さっきまでの元気なサユリの顔とは別人の恐ろしい顔のサユリがじっとショウから視線を外さない。


 「ショウ、この状況を説明してくれないかな?」

 「ま、まってくれ!! サユリ! これは違うんだよ。」

 「ふーん、なにが違うのかな?」

 (なぜか、サユリの顔は笑っているというよりもニコニコしているな、これはまずいな)

 (恐らくだが、この後の状況はどうなるか予知できる自信がある)

 「さてと、ショウ、心の準備はOK?」

 「え? 心の準備なんてしてるわけないじゃんかよ」

 「それじゃ、私のショウへの朝の目覚めの一発」

 「え、ちょ、慈悲はないのでしょうか?」

 サユリはショウの言葉など耳に入っていないかのごとく勢いを付けて拳を向ける。

 「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 城中に少年の断末魔が響き渡る、しばらくして鳴りやんだそしてまた、いつもとなにも変わらない一日がこうして始まる。


 「? いまのは、ショウさんの声でしょうか、朝から元気ですね、」笑みをこぼすマユミしかしまだこの時知らなかった、この街に迫ってくる悪がいることを、

 ショウはサユリの正拳により体のあちこちを痛めてしまい、ベッドの上で横になっている。ちなみにあの幼女はいまだにショウから離れてはいない。


 ──こいつ、いつまで俺に引っ付いてるつもりなんだ?

 「むにゃ、むにゃ、」

 「おい、」

 「ん? にゃに?」

 「お前はいつまで俺に引っ付いてるつもりだよ、」

 「うーん、いっしょう?」

 「いや、さすがに一生は無理だろ」

 「にゃんで?」

 「ずっとこのままの状態はきついからな、」

 すると、クロナはゆっくりとショウのお腹から離れた。

 「やっと離れてくれたか、」

 ようやく解放されうんと、背伸びをする。

 「それより、体の方は大丈夫?」

 「あぁ、大丈夫だよ、」


 サユリの正拳を受けたがなぜか痛みが無くなるのがはやかった。

 「ねぇ、」

 「なんだ?」

 「クロナショウのこともっと知りたい。」

 「なら、ここでお話でもするか、」

 「うん!」


 そして、俺とクロナは互いのことを知ることになる、だがそれはショウにとってはあまり知りたくはないことであった、

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