第二章 ep3 助ける方法はキス!?
無事、窓の外から帰還したショウとレイカ、息を整えていると、
??「さすがですね。 女王よ。」
黒のマントの人物が二人の元へと駆け寄る。レイカはミガマエルが、ショウは平然としていた。
「もう許しませんよ。貴方がどこのどなたかは知りませんが、私は貴方を絶体に許しません。」
??「知らないとは失礼ですね、貴方は、」
「何を言って、私は貴方とは会ったことなど、」
??「あるわよねショウ?」
「あぁ、そうだなサユリ。」
「え? サユリ様?」
マントの人物の声がサユリの声にそっくりなことに驚きを隠せないレイカ、謎の人物はゆっくりとマントを外しその素顔をさらす。
「貴方は、どうして!?」
「ごめんなさいレイカ、これは貴方に能力の強さを知るための試練みたいなことをしたの。」
「サユリ様がマントの正体。」
「その通りだレイカ、いやー、本当に外に放り出されたときは死ぬかと思ったけどやっぱり女王は伊達じゃないな。」
「え、もしかしてショウさん貴方もこの実験に、」
「そう、俺もサユリと同じく仕掛人でした( ・ε・)」
「はぁ~よかった。」
レイカは床に腰を落とし、とてつもなく疲れた様子で床に座り込む。割れた窓ガラスの破片が床に散乱していた。
「それじゃあショウ、後は(窓ガラス)お願い。」
「了解」
《再生》
すると床に散乱していたはずの窓ガラスの破片がみるみるうちにもとの形へと戻っていく。そして割れる前の状態へと綺麗に直った。
「すごい、これが幻の虹の能力なのですね。」
「ん、この世界では虹は幻の能力なのか?」
「はい、いま貴方が使った能力はいままで見たことがありません。」
「さすが、虹能力者ね。」
「それで、クロナとマユミはどこだ? サユリ。」
「マユミならレイカの部屋で本を読みに行くと言って多分もう部屋で本を読んでると思うよ。」
(あいつは相変わらず本を読むのが好きだよな。)
「でも、クロナは...」
「クロナがどうかしたのか?」
「いや、そうじゃないけど、私達がレイカの着替える部屋に入るときまでは一緒にいたんだけど、」
「その後、行方不明なのか。」
「うん、その通り。」
「コツンッ、コツンッ、」
どこからともなく聞こえる足音、その足音は着実にショウ達の元へと近寄っていた。
「誰かが来るな。」
「えぇ、この音だとここから先のあの廊下から聞こえますね。」
「お二人ともよくそんなことが分かりますね。私には全くなにも聞こえません。」
「しっ! レイカ静かに!」
サユリの視線にはどこまでも続く廊下の先にある曲がり角を見ていた、三人は耳を澄ませその足音がこちらへ来ていることを確認する。
そして、ショウはこの足音に聞き覚えがあった。
(この足音はもしかして、クロナのか?)
「ショウ、何かわかりましたか?」
「うーん、多分だけど、この足音はクロナのだと思うんだ。」
「クロナ? つまりいまこっちに向かっているのはクロナなのですか?」
「恐らくは、100%とは言い切れないけど、」
そして、足音は廊下の曲がり角寸前で止まる、静かになる廊下に耳を澄ませる足音は鳴り止みただ静かに時間が過ぎる。
「...!!」
何かに気付いたのかショウが急に後ろを振り向き態勢をとる。ショウの視線にはある人物が映っていた。
「クロナ、」
廊下の中央でクロナがポツンと一人立っていた、だがクロナの様子が何か変だとショウは気付く。
(なんだ、このクロナから感じる異様な殺気は、まさか俺達に向けて殺気を放っているのか?)
クロナから発せられる異様な殺気はショウ、レイカ、サユリにも感じ取れるほどに不気味になっていた。
「クロナ、どうしたのですか?」
「... ...」
クロナからの返事はない。
「おいクロナ! 返事しろ!」
「... ...」
ショウの呼び掛けにも返事はない。
すると、クロナの背後に黒く靄のような物が浮かび上がってきた、その靄はショウ達に対して強い殺気を放っていた。
「ショウ、クロナの後ろにあるあれが...」
「あぁ、あれが恐らくは...」
??「洗脳ですよ。」
「!!」
「貴方は誰ですか!」
クロナの靄の後ろから姿を現したのは髪の長い清楚な|女の子(ロリッ娘)が現れた。
(なんだ? あの|女の子(ロリッ娘)は、)
??「初めまして、私の名はセリナ、セリナ・トラフと申します。以後、お見知りおきを。」
「お前、クロナに一体何しやがった!!」
「何とは先程申し上げましたよ。洗脳致しました。と、」
(いや、洗脳ですよとしか言ってないよな。)
「それよりも、クロナを元に戻せよ!」
「戻せと言われて戻す人はいませんよ? さぁ、クロナあの人達に天罰を!」
「...了解マスター」
クロナは虹の能力を開放し戦闘態勢に入る、それに応じるかのようにショウ達も身構える。
《妖術 雷貫!!》
レイカの背後に回り攻撃を仕掛けるクロナ、レイカは咄嗟の攻撃に反応が遅れる。
(! いつの間に私の後ろに、)
《氷壁!!》
レイカの周りを厚い氷が覆いクロナの攻撃を弾く。
「クロナまずはそこの男から片付けなさい!」
「了解」
(よし、それでいいクロナ、お前は俺が助ける!)
ショウはクロナは誘うかの如く廊下を全力で走り出した。
「追いなさい!」
《追跡開始》
ショウの後を追いかけるクロナ、セリナがそれを追おうとするが、
「!」
「セリナここからは、私とレイカが相手をします。」
「はい! ここで時間稼ぎをさせてもらいます。」
(仕方ありませんね、後は頼みますよクロナ。)
【廊下】
全力でクロナを誘い込みながら逃げるショウ、クロナはショウをゆっくりではあるが着実に追いかけている。
「逃げても無駄、」
「あっさり言ってくれるなクロナ。」
「もう、お遊びはここまで、」
《鎌鼬》
(やっぱ普通の肉眼で見ても攻撃はわからないなそれなら、)
《見透》
(よし、これならどこから攻撃が来るのかはっきりと見える。)
ショウの目にはクロナが放つ鎌鼬の残像が見え、本体がどこにあるのか見切った。
(まずは、右から左、そして下から上に来るな。)
順にクロナの攻撃を交わしていくショウしかし、これはクロナにとっては想定内のことだった。
「今のは交わせて当然の攻撃、次は交わさせない。」
「言ってくれるねそれなら、その俺が交わせない攻撃見せてみろよ。」
「わかった。」
するとクロナは窓に向かって、
《風爆》
パリンッ!!
窓ガラスが割れその瞬間にクロナは割れた窓から飛び降りていた。
「な!!」
「さぁ、貴方は私を助ける? 助けても私がそこから攻撃するよ。さぁ、どうするのショウ。」
(くっそ、まるで誘い込んでるようだが、やってやろうじゃないか!)
ショウはクロナが飛び降りた窓に走り出したそして、ショウも窓から飛び降りた。
「まさか、本当に飛び降りるとは、」
「当たり前だ! お前を助けるなら窓から飛び降りてでも助けるさ!」
「ならこれで終わりにします。」
空中から地上へと落下する二人、クロナはショウに向かって攻撃を仕掛けるが、
(攻撃されるなら、その前にけりを付ける!)
ショウはクロナの攻撃が来る前にクロナに抱きついた。そして、
「抱きついただけでは、私は止められませんよ。」
「さぁどうかな今からお前に与えるこの攻撃は普通の攻撃じゃない!」
「ではどのような攻撃で?」
「見せてやろうこれが俺の攻撃だ!」
「ん!!」
(なぜいまここでキスを!)
(目を覚ましてくれクロナ!)
すると、徐々にクロナの目の色が光を取り戻し始めた。
(ショウ、私は一体、)
(目を覚ましてくれ!クロナ!!)
クロナの心の中にショウに出会ってからいままでの全ての記憶が頭の中で滝のように流れていく。
(この記憶は、そうだ、私はこの人のことが、大好きなんだ。)
(頼む! これしか方法がない。)
「ん!!」
すると、突然クロナからキスをしてきた。
(クロナ、目を覚ましたのか!?)
「ひょう、だいひゅき!! (ショウ、大好き!!)」
「くろにゃ! めをしゃましたのか? (クロナ! 目を覚ましたのか?)」
クロナは目を覚ましいつもの瞳の輝きを取り戻しそのまま地上に落下する二人、だが二人はそんな状況をお構いなしに、まだキスを続けていた。
(ク、クロナいつまでこれを続けるつもりだよ!)
(ん~、もう少しだけね!)
しかし、二人の落下速度は次第に速さを増していく、果たして二人はこの状況をどうやって打破するのか、