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第一章 ep1 逸材

この小説は気ままに投稿をするので、

読者の皆様、気ままに投稿を待っていただけると助かります。

これからも、マンホールをよろしくお願いします。

 「やめてえぇぇぇ!!」


 サユリの声を聞いてからどのくらいの時間がたったのだろうか、いまだに暗い世界の底に俺の体は沈んでいく。すると、


 『まったく、情けないなぁもう、』


 どこから聞こえてくるのか、全く記憶にない声が聞こえてきた。


 「... 誰なんだ? お前は、」

 『僕のことを気にするよりもよりも君にはやらなければならないことがあるんじゃないのか?』

 「やらなければならないこと?」

 『そうだよ、彼女達を助けることでしょ?』

 「それは、俺にはできないよ」

 『どうしてそう思うんだい?』

 「どうしてって、それは俺が、」

 『クズだから、じゃないの?』


 まるで俺が言おうとしていたことを知っていたかのように答えた。


 「その通りだよ、なにか問題があるのか、」

 『はぁー、』

  声の主はため息をついた、

 「なんだよ、」

 『問題がありすぎるんだよ、君には、』

 「なにが問題なんだよ。」

 『それなら、一つ君に聞こうか、』

 「なんだよ、」

 『君は、さっきサユリの親友がやられそうになったときどうした?』


 ショウはここに来る前の記憶を辿(たど)る。


 「確か、体が勝手に反応して止めに入っていた、」

 『そうだね、それならなんで止めに入ろうとしたの?』

 「だから、体が勝手に、」

 すると、言葉を遮るように、

 『それは、違うでしょ? もっと別に理由があるんじゃないの?』

 「別の理由、」

 『そうだよ、本当は助けなきゃいけないから、助けるべき命が目の前にあったからじゃないの?』


 その言葉を聞いて顔をうつむくショウ。


 「でも、俺にはサユリみたいに能力を持ってない。ましてやあんなのに勝てる訳がないよ」

 『君はあまり自分を低く見すぎじゃないかな、もっと自信を持った方がいいよ、』

 「自信を持つ?」

 『そう、君には能力がないなんてあり得ないよだっていま君のいる世界は、能力を持つものが存在する世界なんだよ、』

 「だから! 俺は、ただの一般人でなにも取り柄のない人間なんだよ。」

 『それは、違うよ。』

 「どういう意味だよ、」

 『君は大事なものを守ることのできる力を持っているはずさ』

 「そんなのどうやって出すんだよ」

 『それは、君自身しかわからないよ』

 「なんだよそれ、」

 『とにかく、君は誰かを守ることができるほどの強大な能力を持っている。忘れないでほしい、君なら絶対に助けられるはずだよ』


 その声を最後に聞こえなくなってしまった。


 「強大な能力か、」

 と、呟く。その途端に意識が段々薄れていく... ...

 

 「死ねぇ!! クソガキ!!」

 輩が刀を振りかざすその時、斬りかかろうとしたとき、突然炎が燃え上がりだした。

 「なんなんだ!?」

 「わかりません。急にガキから炎が燃え上がりまして、」

 「なんだそりゃ、そんなことあるわけないだろ!」

 「そんなことよりもお前ら!! さっさとあの炎を消せ!!」


 その声と同時に輩が構え、そして、


 <ウォーターターンアウト!!>


 水の弾丸のようなものが、炎を消していく。


 「だれか、あそこにいるぞ!!」

 消えていく炎の中にいたのは、体に炎をまとった少年の姿があった、

 「ショウ!!」

 それは、さっきまで傷だらけで倒れていたはずのショウの姿があった。

 「チッ、クソガキが、お前らいいか、あいつは炎の能力だ、一斉に水の攻撃を仕留めるぞ!!」

 「いくぞ! クソガキ!! あの世で後悔しやがれ!!」

 <ウォーターターンアウト!!>


 そして再び、武器を構えた輩がさっきのよりもはるかに威力の増した水の弾丸が襲いかかる。


 「逃げてっ!!」


 サユリの声は届かずショウに直撃した、しかし、


「ま、まだだ!!」


 砂煙の中から人影がみえる。


 「な、なんだよあれは!?」


 そこには、炎をまとっていたはずの少年が左は半分赤い炎、右は半分に黒い炎を(まと)っていた。

 「まさか、あれは、ショウはもしかしたら、」

 「まさか、あのクソガキ虹の能力が使えるのか、」

 「さてと、散々貴方(あなたがた)の技を披露してもらったから、今度は俺の番だな」


 すると、腰を落とし拳を強く握りしめ、その拳を一点に集中し、拳に黒炎をまとわりつかせた。


 「じゃ、いくぞ!!」

 <ダークネスフレイム!!>


 拳の黒炎が勢いよく輩たちにぶち当たる。


 「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 勢いよく放たれた黒炎は、徐々に消えていく。

 「ば、バカなあんなクソガキが、虹能力を使えるのか、ここは撤退だ、おいクソガキ今度会ったときには容赦しないからな、」


 そして、輩はサユリの親友を置いて逃げていく。

 サユリの親友の元へ駆け寄る、


 「大丈夫かい?」

 「は、はい! えっと助けてくださりありがとうございます。」


 深々と女の子は頭を下げだ。


 「いやいや、別に俺は当たり前のことをしただけだよ。」

すると、後ろから

 「マユミ、」

 サユリが傷だらけになりながら駆け寄ってきた。

 「サユリ!! あなたは大丈夫なの? 傷だらけになってるじゃない、」

 「これくらい平気平気、」

 その会話を見ていると、なんだか羨ましくなっていた。

 「ショウ本当にありがとう、貴女が助けてくれなければ今頃どうなっていたか、」

 「ただ俺は助けたかったそれだけたよ。」

 すると、街の人たちから拍手や歓声が起きた。

 「あのーところで一つ聞いてもよろしいでしょうか?」


 サユリの親友(マユミ)が不思議そうに俺の顔を覗きこんだ。


 「どうしたの? マユミ、」

 「あ、いや、その先程のあの能力は一体なんなのだろうかと思いまして」

 「そうだよ! ショウ貴方は能力を持たない人間じゃなかったの?」


 どう説明していいのかわからずにいた。

 (まぁ、自分自身でも使えるだなんて知らなかったしなぁ、)

  「いや、正直なんであんなことが出来たのか自分でも不思議なくらいだよ、」

 「もしかしたら、ショウさん、貴方は虹の能力をお持ちなのではありませんか?」

 「いや、さすがにそれはないでしょう? さっきのは偶然で、」

 「それは、有り得ませんわ。それなら、先程の黒い炎はなんなのですか?」

 「そうだよ、ショウ貴方は二つの能力を混ぜて放ったのよ」

 「二つの能力を放つ?」

 「簡単に言えば炎と闇の能力を同時に放つということよ。」

 「いやでも、本当にわからないんだよ。どうしてあんな黒炎が使えたのか、」

 「それなら、ショウさんいまここでもう一度見せて頂けませんか?」

 「え、ここで?」

 「そうです、もう一度ここで虹の能力を使えるのかどうかを確かめるのです。」

 「ショウ、私からもお願い。」


 二人からお願いされ、ショウはもう一度空に向かって拳を突き上げる。

 (さっきみたいにできるのかな?)


 そして、拳に力を入れ。腰を落とし拳を強く握り、空に向かって、

 「ダークネスフレイム!!」


 その途端に拳からさっきのよりは威力は弱いが確かに黒炎が天高く放たれた。


 「やはり、ショウさん貴方は虹の能力の使い手ですね」

 「まさか、」

 「まじかよ、あんな子どもが虹の能力使いだなんて、」

 「恐ろしいな、」

 街の住人からは恐れられてしまっていた。

 「とにかく、一旦この場を離れましょう。ついてきてください。私の家にご案内いまします」


 そう言われてマユミについていく、

 しばらく歩き到着したのは大きな城が建っていた。


 「あのぉ、この城は?」

 「私の家です」

 「へ?」

 青くそびえ立つ城はマユミの城だった。あまりの衝撃に唖然としていた。

 「さぁ、中へお上がりください。」


 城の門が開き城の中へ入っていく。城の中は予想していた通りの豪華な内装だった。


 「マユミ君は一体何者なんだ?」

 「あぁ、そう言えばまだマユミのことを話してなかったわね、」


 サユリが城の中を歩きながらマユミについて話しをした。


 「この城は正真正銘彼女(マユミ)のものだよ、彼女はこの国では一番の金持ちだからね、それだけじゃなくて彼女はこの国の王女でもあるの、」

 「それって、王女様ってことなのか?」 

 「その通り、すごいでしょ!!」

 なぜサユリが自慢気に話すのかわからない。まぁ親友なら当然なのか?

 「それなら、お前とマユミはどんな関係なの、なんか親友みたいだし、」

 「私とマユミは昔からの幼馴染みなのよ」

 「なら、サユリお前はどこに住んでいるんだ?」

 「私はマユミの隣にあるもう一つの城に住んでるの、」

 「え、それはつまりサユリお前はもしかして、」

 「なんとなくわかったでしょ?」

 彼女は照れくさそうにそっぽを向いた。

 「サユリ、お前も王女なのか?」

 「うーん、王女といえば、そうなるのかな、」

 「どういう意味だよ、」

 「だって、私は王女というよりも騎士に向いてるから、」


 確かに彼女の剣術は、先程対峙していた輩を圧倒していた。


 「それに、私は王女よりも騎士の方が好きだから。」

 「それは、どうしてなの?」

 「実は私にはね、妹がいたの、でも二年前にさっきの輩とは関係ないかも知れないけどそれに近い組織の連中が(さら)っていったの、」 

 「え、それじゃあ、君の妹は、」


 次の言葉を言おうとするが、口を閉じた。これ以上言うと彼女自身が悲しんでしまう気がしたから、


 「まだ、わからない、でも絶対に生きてる」

 「変なこと聞くけどなんでそう言い切れるの?」

 「ふふっ、それはね、」

 彼女は胸ポケットから小さな石らしきものを取り出した。

 「それは、なんなの?」

 「これはね、ホープストーンて言われているの、」

 「ホープストーン?」

 「そう、これわね例え離れ離れになっていたとしても必ず会えるという石なの、」

 「不思議な石だね、でもサユリが会いたいと思うのなら、必ずその妹に会える日がきっと来るよ、」

 「ショウ、ふふっ、ありがとう!」

 その顔はまるで女神のように微笑んで見えた。

 「サユリ! ショウさん! こちらです」

 ドアの近くでマユミが手を振りながら呼んでいた。

 「さ、いこうショウ。」

 「うん、」

 そして、俺たちはマユミの待つドアの近くまで走っていった。

 「マユミ、この大きなドアの向こうはなにがあるんだ?」

 「それは、私の部屋です。」

 「入っていいのか? サユリはお前と親友だけど、俺は部外者じゃ、」


 すると、マユミは振り返り、


「なにをおっしゃいますか、ショウさん貴方は私とサユリを助けてくれた命の恩人です。私の部屋に入るくらいなにも問題はありませんよ。むしろ大歓迎です」

 と言い、マユミはショウに体を押し付ける。

 「そうか、お前がそういうなら、」

 (やたら体を押し付けるのは止めて欲しいな) 

 「では、どうぞ、」


 大きなドアが開き白い閃光のようなものが襲った。


 ──眩しい、

 

 ドアの向こうは本がずらりと並んだまるで図書館のような部屋だった、

 「ここが、お前の部屋なのか?」

 「そうですよ、ここにある本は全て読破しました、」

 「え、ここにある本全部読んだのか?」

 「はい、全部読みつくしました」

 「すごいなお前、俺なら一冊も読み終わる自身がないな、」

 「それよりも、サユリ、ショウさんあちらでお待ちください。」

 マユミの指差す先、そこには、テーブルと椅子が四つあった。

 「座って待っててください。私はお茶と本を持ってきますので、」

 「本?」

 「はい、本、」

 「その本ってなに?」

 「この世界の予言について書かれている本です」


 そして、彼女は本棚の中へと消えていった。その場は俺とサユリの二人になった。


 「それにしても、この本を全て読破するとは、たいしたもんだよな、」



その言葉を聞いていたサユリは不思議そうに、


 「そうかな、マユミならこれくらいは普通だと言ってたよ、」

 「これが、普通ってどんな暇人だよ、一冊何ページあるんだ?」

 「うーん、多分、一番少ないのだと500ページはあるかな、」

 「うわー、そりゃすごいな、俺だったら読めないな、」

 「そうなの? 私の家にもこれくらいの本あるけど、」

 「嘘だろ、」


 彼女に疑いの目を向ける、


 「この世界にいる人なら当たり前のことだよ、この世界の人達は勉強熱心だから色んな知識が勝手に付くんだよ」

 ──いや、こんな本を読んで疲れないのか?


 大量の本を目の前にして、黙り込む。


 「サユリ、ショウさんお待たせしました。」


 さっき本棚の奥に消えたマユミが本棚の隙間からマユミが顔を覗かせた。

 マユミは紅茶らしきものと大きな書物を持ってやって来た。


 「どうぞ、サユリ」

 「ありがとう、」

 紅茶からは、甘い香りがした。

 「ショウさんも、どうぞ召し上がりください」

 「お、ありがとう、」


 そして、紅茶を一口飲む、その味はとてもつもなくおいしかった。

 「うまいな、これ、」

 「喜んで頂けて嬉しいです」

 「ねぇ、マユミさっきから持ってるその本が、」


 サユリの指差す先にはとても古びた本があった。


 「そう、これがこの世界の予言について書かれている本です」

 「その中にはなにが書かれるんだ?」


 マユミは深く息を吸い込みそして、息を吐いた、


 「ショウさん、この本には恐らくですが貴方と思われる人物の予言が、書いてあるのです」

 「俺のことについて?」

 「えぇ、それはこれからお話しします」


 マユミは古びた本をゆっくり開けて読み始めた、

 その本の内容の予言が当たることをまだ部屋の中にいる三人は知らない、、、

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