第一章 ep15 破壊?
静まり返る部屋、焼き焦げた階段後、暗く哀しい廊下、この状況に人間はどういう感情を抱くのだろうか?
普通に何事もなかったように平常心を持てるのだろうか、そもそも火事が起きない限りそのような状況に出くわすことはまずない。
しかし、今現在、ある世界ではその状況下の中で平常心を持てる者もいた。
「さてと、それでは炎の国王さん、準備はよろしいでしょうか?」
「お前は一体何を言っている?」
「え、何ってだから貴方の心の準備は万全が聞いていますが、」
「なら、いまお前が拳に握りしめているそれはなんだ、」
「これですか? これは貴方は見たことがないかもしれませんが俺自身の中では炎の技で二番目に最強の技です。」
「なんだと!」
「んじゃ、国王バーイ!」
───数時間前、ショウたちは扉をぶち破り中に入っていた、だがそこにはショウたちよりも先にいた先客の姿があった。
「あんたがこの炎の国の国王様、ですよね?」
「ほう、子供にしてはやるようだな貴様は、」
「何を、貴方にはガールから俺達のことについては伝えられているはずですよね?」
「なぜその事を、」
「あまり虹使いをなめないでほしいですね、俺の手に掛かれば貴方たち神様の脳内くらい読めますよ。」
「なるほどな、さすが虹使いだ侮れんな。」
部屋には静かに炎が燃え盛るその炎にはなにか哀しみの感情が伝わる。それと同時に国王が口を開いた。
「さて、それではお前達が俺のところまで来たことは褒めてやろう、だがな、」
「もうお前達には逃げ場はない、ですか?」
「なるほど俺が話すまでもないということか、」
「まぁ、貴方の考えは読み取れますからね。」
だが、まだこの時ショウ、クロナ、サユリは知らない。この国王にはまだある秘密が隠されていることを、
「んで、俺達さ、この国に来てからずっと気になることがあったんだよね。」
「なんだ? それは、」
「ここの街の住人はどこに消えたの? 街を見渡したけど誰一人会わなかったよ。」
「答えなくても貴様にはもうわかっているのではないか?」
「まさかだとは思うが冗談じゃないよな。」
「ショウ、どうしたのですか?」
ショウは異様なまでに震えていたまるで国王に対して怯えているように、
「本当にやったんだよな、」
「何度も言わせるなよ。」
「わかった、」
《炎砲撃!!》
ショウはいきなり国王に向かって技を放つが、
《消去》
ショウの技はかき消されてしまった、国王はショウから技が飛んでくるのを予測しているかのように技を退いた。
「ショウ! いきなり国王様に何を、」
「サユリ少し黙ってて、」
「でもクロナ、」
「まぁ、あんな技当てても傷一つ付かないんだろ?」
「わかっていて俺に攻撃するとら、何の意味があるのだ?」
煙の中から国王が余裕の笑みで問う、
「さぁ、少しだけあんたに腹が立ったからかな、」
「そうか、だがいまのような攻撃では私には傷一つ付けられんぞ。」
「当たり前だろ、いきなり本気だしたら可哀想っていう俺の親切だよドアホ!」
「ちょっ、ショウだから国王に対して失礼過ぎますよ。」
「サユリ、お前もいい加減気付けよ。」
「何をですか?」
「いま俺達の目の前にいる国王は本物じゃないってことをだよ。」
「え、いま目の前にいるあの国王が偽者だと言うのですか?」
「あぁ、だってさっきからあの国王の後ろにいるその人が本物の国王なんだろ?」
「ほぅ、いつから気付いていた?」
「あんたに会ったときから、」
国王の背後には王冠を被り床に倒れていた本物の国王がいた、国王は意識を失っているように起き上がらない。
「そんな、それならいま私達の目の前にいるあの人は一体、」
「聞かずとももう答えは分かっているのだろう? 虹の者よ。」
「あぁ、そうだな破壊者って呼んだ方がいいのか?」
「破壊者か、悪くはないなその呼び方は、」
「それでどうするつもりだ?」
「どうするつもりとは?」
「いま正体をばれた以上はそのまま野放しにはできないから... ...」
「ここで倒すか?」
「そうだと言ったらどうする、」
「無理だなそれは、」
「なにが無理なんだ?」
「俺を倒すことがさ、それに倒されるのは貴様らの方だ。」
そう言うと国王は床に魔方陣を描き手を合わせ呪文を唱え始める。
「世界の終わりを告げる者よ、汝、その予言をいまここで現実の物と成せ!」
《世界終》
その途端に城が揺れ始め火山が噴火する爆音やら大地が割れるような音が窓の外から鳴り響く。
その時、窓の外から急にもう一つの魔方陣が現れたそして、その魔方陣から人影のようなものが目に映るそこにいたのは、
「マ、マユミなんでお前がここに!?」
「皆さんいますぐ逃げて下さい!!」
「逃げるってどこに逃げるつもりなんだよ。」
「私には任せて下さい。」
《惑星移動!!》
その途端にショウたちは一瞬にして城の中からまた別の場所へ移動していた。その場所は周りが更地のようになにも無かった。
「な、なぁマユミ、ここがどこなのか説明してくれないか? いきなり別の場所に連れてこられたのですが、」
「それは、あれを見ればわかりますよ。」
マユミの視線の矛先には地球と同じく綺麗な惑星があった、しかしその惑星は徐々に青い色から赤く血のように染まる惑星、
すると、惑星は突如赤い光が覆いその瞬間に超新星爆発のように惑星は跡形もなく消えていった。
「いまのは一体なんなんだ」
「あれが先程まで私達がいた惑星の最後です。」
「つまりガールや国王は、」
「えぇ、おそらくは」
「それならここはどこなんだよ。」
「簡単に言うのなら、ここはもう一つの能力者が住む惑星ですね。」
「それってここにも能力者が存在しているのか?」
「そうですね、それなら千里眼でここから北の方角を見てください。」
マユミに言われるがままに千里眼を使い北の方角を見るショウ、ショウの視線の先には戦争、なのかわからないがなにやら戦いのようなものを確認する。
「あれはなんだ、戦争でもしてるのか?」
「その通りですね。」
「なんで戦争なんかしているんだよ。」
「それはこの世界の人に聞かないとわからないことですよ。」
「それよりもいまは、」
「ショウ、クロナたちの世界はどうなったの?」
「クロナ、」
「それは、消えました。」
「消えた?」
「えぇ、跡形もなく綺麗に、」
「そんなの嘘ですよねマユミ、」
サユリがマユミに強くいい放つだがマユミからの言葉は変わらず、
「嘘なんか私は言いませんよ。」
「そんな、それじゃあ他の皆は、」
しばらくの沈黙がショウたちを暗いどん底の地へと誘う。
───それからどのくらいの時間が経ったのだろうか、更地の上に立つショウ、クロナ、サユリ、マユミ、三人はなにも言葉を交わすことなくただ静かに時が過ぎていく。
すると、ショウが空を見上げあることを口にする
「この世界がなんでもありな世界だとしたらやり直せるかもな、」
「ショウさん一体何をやり直せるのですか?」
「決まってるだろ、俺達のいた世界が爆発するその前の時間に戻って国王をぶっ飛ばす。」
「そんなことが可能なのですか?」
「“俺一人”じゃ無理だな。」
「うん、ショウ、クロナも一緒に、」
「あぁ、俺とクロナなら可能だ。」
「本当にできるのですか?」
「あぁ、だがその前に皆ちょっと手伝ってくれ、」
そういうとショウはクロナ、サユリ、マユミに大きな魔方陣を描いてくれないかと頼み三人は大きな魔方陣を地面に描いた。
「それでこれからどうするつもりですか?」
「皆、魔方陣の中央に集まってくれ、」
魔方陣の中心に集まる四人、するとショウは大きく息を吸い込み大きく吐いた。
「それでどうするのですか?」
「それじゃあ、始めるか、皆手を繋ぐんだ」
言われるがままに手を繋ぐ四人そして、
「じゃあ、行くよ皆、」
《極大時間移動》
その瞬間、大地が揺れるようにショウたち四人を過去の時間へと誘う、起きると四人は見覚えのある部屋に倒れていた。
「ショウここってもしかして、」
「あぁ、俺が起きた部屋だな。」
そこは爆発が起きる約2時間ぐらい前の世界に帰ってきた。
「ショウさんこれからどうするつもりですか?」
「取り敢えず炎の国がなぜ焼き焦げになったのかそれを確かめに行く。」
「それなら、急がなくてはいけませんね、恐らくですが後10分ぐらいで街が火の海に、」
「あぁ、急ごう皆、俺に掴まれ!」
そして、ショウたちは炎の国へと急ぐ。