第一章 ep14 潜入
街の中を探索していく三人、しかし道を進むが誰一人として街の住人を見かけないそれどころか、そもそも人が存在しているのかどうかすら疑うくらいに静かになっていた。
(進むのはいいがなんで誰もいないんだ? 一人くらいはいてもいいはずじゃ、)
ただ燃えた後の家が立ち並ぶ道を進みさらに奥へと歩みを進めるしかし一向に街の人に会える気配すらない。
「なんで誰もここにはいないんだ?」
街に来てからいままでずっと頭の中に抱えていた疑問を二人に振る。しかし、二人ともショウと同じくそれについて考えていた。
「ショウ、クロナもショウと同じことを考えてた。」
「確かにそれは最も気になることですが誰もいないから答えは出せませんよ。」
「だよな。」
頭をカリカリとかきながら空を見上げしばらく考え込むショウ、その行動につられるかのようにクロナとサユリも同じく空を見上げる。
■■■
ショウたちが街の探索へ行ってから数時間頃、風の国の城ではマユミ、ガールそして国王がテーブルの上でお茶を飲んでいた。
「ショウさんたち、大丈夫でしょうか?」
[心配はいらないだろう彼らならきっと大丈夫さ。]
「そうだといいのですが、」
[それで、国王私たちをここに集めたのはなぜだ?]
窓際の椅子に座りお茶を一口飲む国王、しかしガールには何かしら国王の目的が読めていた。
「なぜといわれましても、あなた様にはもうとっくにお分かりになっているのでしょう?」
[私ではなくマユミにも説明くらいしてやったらどうだ?]
「そうですね、マユミにもお話した方が良さそうですね。」
「えっと、さっきからお二人はなんの話をしていたのですか? 私には話が読めないのですが、」
「すみません、これから貴方にお話します。」
国王は椅子から離れて窓際のところへ行き腰を下ろして座った。その行動になにか意味があるのかとマユミは考えるがなにもわからない。窓から射し込む光を手のひらで遮る国王そしてゆっくりとその口を開いた。
「マユミ、貴方はあのお二人のことをどう考えているのですか?」
その質問に反応するかのように太陽の光を雲が遮り部屋中が真っ暗に染まる。静まり返る部屋の中で国王はもう一度マユミに問う。
「マユミもう一度聞きますね、貴方はあのお二人のことをどう考えているのですか?」
二度の質問に対しマユミはその二人のことを記憶の中で考え始めた。浮かんだその二人はいまさっき炎の国へと飛び立った二人、
(ショウさんとクロナをどう考えているか、)
記憶の中を頼りに初めてショウと会った時の記憶、ショウとクロナが手合わせをした記憶、次第に記憶がよみがえり結論としてマユミは答えを出した。
「どう考えているのか、それは私にとってはとても強くて優しい人だと思いますよ。」
「強くて優しい人ですか、」
[うん、マユミらしい答えだね。]
「でも国王様なぜ私にそんな質問をしたのですか?」
「そうですね、答えるのならあの二人には何かしら関係があると思うのです。」
「関係?」
「はい、ガール様からも聞きましたがあのお二人はだそこまで互いのことをよくは知らないようですから、」
「それがどうかしたのですか?」
「これはあくまで私個人の推測なんですが、ショウさんとクロナさんは遥か昔それとも近代のいずれかの時代で有っていると思うのです。」
「つまり、二人はどこかで会っているということなのですか?」
「その通りです。」
マユミはその国王の考えについて疑問を持った、なぜショウとクロナがどこかの時代で会っていると思ったのだろうか、それにまだ国王自身あの二人は知らないはずまだ顔しか知らないはずなのになぜ、
そのマユミの疑問に対して国王は他人事のように答える。
「無論、私自身はあの二人のことについてはまだ何も知りません、でも私の勘違いならよいのですがショウさんとクロナさんはどこか似ている感じがしました。」
静かにただただ鳥のさえずりが聞こえる、木々が風に吹かれ嘆いているように聞こえる。
そして、部屋の中での会話は途切れてしまったガ部屋から自室へ走るマユミ、なにかに気付いたのか廊下を素早く走り抜けていく。
(急いで伝えなきゃ三人が危ない!)
■■■
一方、街の探索を続けているショウたちはついに国王の城へ到着した。やはり炎の国の城だからか、城から物凄い熱が体に焼き付くように全身が汗まみれになってしまった。
「やっぱ熱いなここは、」
「ショウ、クロナちょっと頭がくらくらする。」
「しゃーないか、ちょっとここを冷やすか、」
《フリーズ》
氷の粒が空から雪のように降ってきた一瞬にして足下ぐらいまで積もる。そして熱は段々と冷めていた。
「これでよし、それじゃあ、いきますか。」
城の中へと足を運ぶそして、扉を開け城の中を確認するが、
(まぁ、さすがの城でも黒焦げのままですよね、)
城の中は外の街と同様に炎で焦げていた足下には焦げた木材かなにかの物体が落ちていたそれを軽く踏むと跡形もなく砂のように潰れてしまった。
「それで、この城の中にも国王はいるよな?」
「はい、おそらくですが、」
焼き焦げた城は勿論誰もいる気配はないただあるのは焦げた城それだけ廊下を進む三人窓もガラスが割れて床に散乱している。
部屋の扉は燃えて部屋の中が丸見えの状態になっていた。
「さてと、国王様はどこにいるのか、」
「おそらくこの城の一番上ではないでしょうか、」
「まぁ、それが普通か、」
廊下を進み広場に出ると中央に大きな階段がそびえ立つ、頂上をみるが高すぎて見えない。
(まさか、この階段の上にいるのか、)
どこまで続いているのかわからない階段、それを登るのはさすがにきついと感じたショウとクロナ、サユリは一人だけ登る気でいた。
「さて、クロナ、サユリ俺に掴まれ。」
「どうするつもりですか? ショウ。」
「まぁ、俺に任せとけ、」
クロナとサユリはショウを掴んだその瞬間に三人はいつの間にか知らない城の場所に立っていた。
「ショウここは?」
「さっきの階段の最上階だよ。」
「え、ここが最上階?」
「そ、登るの面倒だしどうせなら一瞬で着いた方がいいと思ったからね。」
(あの一瞬でここまで移動させたと言うのでしょうか、さすがは虹の能力おそろしい。)
そして、三人の前にあるなは風の国と同様に大きな扉が三人を見下ろしていた。扉の向こう側から発せられる謎の気配はショウとクロナそしてサユリにもわかるほど異様な気配だった。
「さてとここに国王様がいるのか、」
扉を開けようとするがびくともしない、押して開く扉なのだが向こう側からなにかで塞がれている。
「ショウ、これは」
「多分だが、向こう側から反発されてると思うんだよね。」
「反発?」
ショウにはなんなくだがわかっていたなにかしらこの奥から誰かの力で強く反発されていることを、だが誰がなんのためにしているのかそれは知らない。
「まぁ、しょうがないかな、」
「どうするつもりなのですか?」
「勿論! 壊す!」
「あ、ですよね。」
(まぁ、ショウが何をするかなんてさすがにわかってきました。)
そして、ショウに腰を落として拳を強く握り、
「顕現せよ、我が炎の力、力を振るい全てを焼き尽くせ!」
《全焼拳》
その途端に扉は跡形もなく塵となす、その扉の奥には何やら異様な先客が待ち構えていた。