第一章 ep13 疑問
手合わせを終えて城に戻ってきたショウ、クロナ、サユリ、マユミしかし部屋にいたのは風の神ガールとこの風の国の国王だった。
「どうしたんだよガールそんなに怖い顔をして、」
[そうですね。答える方が先か、質問する方が先かどちらがいいでしょうか。]
「ガールさん、質問されたから答えた方がよろしいのでは?」
[国王の言う通りだな。]
「さっきからなんなんだよ二人で勝手に話を進めて俺たちにも説明してくれよ。」
[わかった、説明しよう。なぜ私と国王が貴方達の帰りを待っていたのかそれは、]
するとガールは自分の左ポケットから一枚の紙をショウたちに見せた、そこに書かれている文章は、
風の国王へ
炎の国より国王様から警告、風の国の国王よそちらに虹の能力者がいることは全世界の国に知れている。そしてその虹の能力者の二名、ショウ、クロナ、貴方達は今すぐに炎の国に参上することを命ずる参上しなければ風の国の全てを滅ぼす。
炎の国 国王代理より
「なんだよその手紙は、」
「明らかに脅しの手紙ですね。」
「うん、でもなんでクロナとショウなの?」
「多分結構前だが俺とお前が炎の国の兵士たちを追い返したからそれで国王が怒ったとか?」
「その可能性は充分ありますね。」
「それでガール、その手紙の内容は本当なのか?」
[嘘なんかをわざわざ書くような国王ではないよ。]
「えぇ、その通りです私と同じ国王ですがとても優しい方なのです。」
「でもなんでそんな人がわざわざ俺たちに国に来いなんて手紙出すのかな。」
[それはさすがにわからないでも、]
「でも?」
[おそらくではあるけれど炎の国王も私と同じ又はそれ以上にまずい状態になっている可能性もあります。]
国王=その名の通り国の王様、国王は勿論能力を持つがある権力を持っているそれは国王のみぞ知っている権力。そして、国王にはもう1つとある能力を得ている。
「それが相手の心を読み取ることのできる能力です。」
「まじかよ。本当のチート能力だな。」
[これがどういう意味なのかショウわかる?]
「意味?」
[そう心を読み取ることのできる能力の意味。]
「それは、」
「国王同士で心の中で会話ができること。」
[その通りよクロナ。]
「心の中で会話ができること? どういう意味だ?」
[つまり私の隣にいる国王はこの手紙を読んで炎の国王に何かしらの異変があったことを感じとることができるわけ。]
「つまりその手紙の内容は真実なのか、」
[おそらく、これはあくまで私の勘ですがいまの炎の国王は偽者だと思います。]
「この前のお前みたいなことがまた起きているわけなんだな。」
初めてガールを見たときのあの時の記憶がショウの頭をよぎる、あの時のガールはもはやいま目の前にいるガールではなく全くの別人つまりそれは『死』そのものと対立しているも同然、
(相手の心と体を全てコピーできる能力もしそれが可能なら闇が関わるな。)
頭の中をフル回転させ一からいままでの出来事を思い出しながら本当の敵はどこにいるのかを考えるショウそれに口を挟むように、
[ショウ、確かに貴方の言う通り闇の能力者ならそれは可能ですよ。]
「え? お前いまなんて、」
[だからいまショウの言ったことは可能だということです。]
「お前まさか俺の心が読めるのか?」
[はい、勿論です。]
ショウはこの時ガールに対して違和感を覚えた、なぜガールは国王でもないのに心が読めるのか?神様だから、それはあり得ることしかし、ガールは自分自身が心が読める能力を使えることを伝えていない。
(それに国王もだな、なんで国王同士だけが知りうる能力をわざわざ関係のないただの能力者の俺達に教えるんだ? 教える必要があるのか、ま、それよりも確認しなきゃいけないことがあるからな。)
(《千里眼》)
ひそかに一人だけ極限に視野を広くするショウ、その目的はこの部屋の窓から炎の国の様子を確認するために使う、しかしショウだけではなくクロナは(《脳内監視》)
クロナはショウの頭の中を覗き千里眼を使っていることを見抜いたそしてショウと同じく千里眼を使うクロナ、その広くなった視野の先には炎の国だからなのか国全体が炎の海に包まれている光景を目にする。
(なんだよあれは、まるで火の海だな。)
(ショウ、あれはなに?)
(クロナ? お前俺の心に語りかけてるのか?)
(うん、クロナの技の一つ《心中話》)
(お前、なんでありな技を使うよな。)
(それよりもショウ、炎の国が、)
(あぁ、あれは多分まずい状態だよな。)
二人は再び千里眼で部屋の窓から炎の国の様子を伺う、しかしやはり炎の国は何か異常が起きているかのように国全体が炎の渦に飲まれている。
(ショウ、)
(あぁ、わかってるよ。)
二人はある決断をした。
((今すぐに炎の国に行く。))
[ショウ、クロナ、行くのなら気を付けてくださいね。]
「ガールお前なんか俺達に隠してないか?」
[なにを?]
「なにか俺達には言ってはならない重要なこと。」
[ありませんが、]
「ならいいんだが、」
「ショウ、急ごう。」
「クロナ、そうだな行こう。」
すると、サユリが横から口を挟む
「ショウ、クロナ炎の国に行くのはわかりますがどうやって行くの?」
「簡単だよ。な、クロナ」
「うん、すごく簡単。」
二人は部屋の中央に立ち床に魔方陣を書き始めた星の紋章のような魔方陣、その上に立つ二人そして、
「ワープ、場所は炎の国」
すると魔方陣から強い光が部屋中に広がるその瞬間にショウ、クロナの姿は見えなくなる。そして、二人だけではなくもう一人の姿も無くなっていた。
(行ってらっしゃいサユリ、ショウさんとクロナと共にいい旅をしてきてください。そして、必ず帰ってきてください。)
【炎の国】
炎の国の門の前に魔方陣が展開されたそこから現れたのは、
「ふぅ、着いたな。」
「うん、着いたね。」
「それにしてもサユリ、大丈夫か?」
「えぇ、なんとかですけど。」
「まさか、サユリが走ってきて俺達の魔方陣に飛び込んでくるとは、」
「あれは、予想してない。」
「言ったはずですよ、私もショウとクロナの旅に付いていくと。」
「それよりも、ショウ。」
「うん、これは本当にまずそうな雰囲気だよな。」
門の外からも感じる異様な気配、炎の国の全てが炎のに包まれている。そして、三人はあることに気が付いた。
(((あれ? 炎が赤じゃなく、青い炎?)))
国の炎は青く燃え上がっていた。
「ショウ急がないと国の人たちが、」
「わかってるよ。」
三人は門へと駆け寄り開けようとするが、
「あれ? 開かない。」
「どういうことですか?」
「いやだから門が開かないんだって、」
三人で力を合わせてもびくともしない門。
「ショウどうするのですか?」
「ぶち破る?」
「うん、クロナ、ショウに賛成。」
「ショウ、ぶち破るってまさか、」
「ご名答、それじゃあ、いっちょやりますか。」
そして、ショウは門に向かって、
《滅拳!!》
大きな門は一発で壊れたそして、街の炎の熱が門の外からも伝わってくる。街には誰一人として人の姿はない。
「えーと、街の人はどこにいったんだ?」
「どこにもいないですね。」
「ショウ、ここ熱い。」
「そうだな、炎を消火するか、」
《水流》
空に向かって放った水の魔法は街の全体を炎の海からかき消した。辺りは黒焦げの街が広がっている。
「やっぱりこうなるよな。」
「街の人はどこ?」
「探してみないことにはわかりません。」
「そうだな、探索するか、」
街の中を探索する三人、しかしある広場に着く三人を待っていたのは、
「なんだあれは、」
「大きい」
三人の目の前には高さがおよそ50mほどある巨大な物体を目にする、その巨体からはなんとも異様なオーラを感じた三人。
「ショウ、これは一体、」
「いや知らないよ。」
「巨人兵」
クロナが静かに答えた、クロナの表情はいつもとは違いこの巨体に対して恐怖を抱いている表情だった。
「クロナこいつのことを知ってるのか?」
「うん、この前マユミの部屋でこれについての本を読んでたから、」
「それでこいつはなんなんだ?」
「本には『破壊者』って書かれてた。」
「破壊者?」
「そう、本にはこう記されてた、」
その昔、この国の初代国王が造り出した破壊のための機械兵器しかしとある事故により暴走して国もろとも跡形もなく更地にしてしまうほどの兵器。その破壊の威力は炎の神とほぼ互角と言われている。
「そんなにヤバイ兵器がなんでこんなところに、」
「それはわからないでも多分だけど、これが原因じゃないと思う。」
「どうしてですか? クロナ」
「よく考えてみろよさっきクロナはなんて言った?」
「えっと、確か初代国王が造り出した破壊兵器、」
「違うその先だよ。」
「先? ある事故により暴走して国もろとも跡形もなく更地にして、」
「それだよ、」
「え?」
「もしも本当にこの巨大な兵器が原因ならこの国はもう更地になってるはず。」
「確かにそうですねそれならこれはなぜここに、」
「それはこの国を調べればわかることだよな。」
そして、三人は広場よりも先の国王の城へと歩みを進める。
進むにつれて段々と景色が一層に悪くなっていく。何が起きて、何が終わった後なのか、それはこの先に待ち構えるもののみぞ知りうることである。