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模型術士の鬼盛りサクセス  作者: 雲渚湖良清
一話 【異世界の中で】
4/39

ゲーム仕様? いえ残念ながら、チガイマス

 仮想環境仕様の【Paradise of Fauve ♂】は某国から無料配信され、主に先進国では公序良俗という言葉にマジ喧嘩をふっかける要素が満載だ。

 

 FPS系ゲームでは、ゴアな表現なんかはとうに認知されてるんで問題にもならない。と言うか、その手の表現に噛みついてくる低レベルの自称有識者は、有志の活躍で大概、一般人より下衆な本性を世間に露呈され駆逐されてるんで気にする必要がない。

 

 ただカニバル風味を、老若男女の区別無くモザイク無しで平然と表現する【PoF♂】には、その手の口撃が減る事がない。

 

 配信元でもある世界的先進国家は、未成年者は国にとって愛すべき『物』って歌っちゃうくせに人権もあると言っちゃう特異で自由な国でもある。

 そんな自由の解釈がだだっ広い国だからこそ、【PoF♂】は発禁にはならない。それでもこのゲームの所持に関係する州毎の独自の細かい制約の種類は半端無かった。

 

 が、日本じゃあんまり意味が無い。

 せいぜい、各家庭でお子様の目に触れないようご使用下さい。で終わってる。

 

 という事で、来年やっと未成年者を終われる俺も、普通に遊べる状況となるわけだ。

 

 それは俺とタメなはずのメアも同じ。

 

 どんな誤魔化しの結果でプレイを可能としたかは知らないが、そこはネチケットなので聞いてない。

 ただ確かなのは、そんなリアル女子のメアが、何故かこの男尊女卑の激しい反倫理系ゲームで、しかも俺の奴隷とかいう立場でプレイしていたって事だ。

 

 この部分も、【PoF♂】が世間から忌避される要因だよな。

 ゲーム内の設定で、実際のプレイ内容に関係無い設定。いわゆるフレーバーな部分にこういう一文がある。

 

 『魔法を得た地球環境の急激な変化は、人間の一部にも急激な変化を与えた。それは魔法への適性が高まった結果での亜人化。地球の女性はその99%が人の姿を捨て去ったのである』

 

 女性プレイヤーの選択は【亜人】一択となるが、この状態となるまでにゲーム内では結構な仕様変更があった。

 

 これは最初に言うと、亜人と言う要素は【PoF♂】がやや世間的な知名度を上げた頃に追加されたものだ。

 当時のゲームデザイナーが匿名でしたインタビューを信用すると、ぶっちゃけ、ゲーム内でも派手な男女問題は叩かれやすいので、じゃあ女が人間じゃなきゃセーフだろ。って発言での事なのだそうだ。

 

 『限り無く人間には見えますが、ほら、この小娘に見える個体の耳は異常に長いでしょう。これはエルフという亜人の特徴なので、この個体は人間じゃないんですよー』という感じ。

 

 その直後の動画は、そのエルフの丸焼きカニバルバーベキュー風味だったんで、それはそれは荒れたインタビューだったが、ともかく、反骨精神に溢れすぎた開発者のスタイルには誰もが納得した。

 

 ただ、そんな流れからか亜人指定の女性プレイヤーは激減。だもんでプレイヤーのみで展開するのが売りなゲームなのに、女キャラクターに限ってはAI利用のNPCが急遽配される事となった。

 

 そして、結果的にそれが数少ない女性プレイヤーの立場をより悪化させた。

 

 まあ、女性型NPCの導入で女キャラは名実共に人間扱いしなくて良くなったからな。非人道的万歳な連中は平然と自分のパーティーをNPCの亜人を奴隷化させて構成した。

 まあ、プレイヤーより性能は落ちるが、下手な野良パーティー組んで発生する対人トラブルを考えると、その方が楽だったのが利点と判断されたのも事実だ。

 時流って部分もあったから、当時はしょうがない状況と諦めるしかなかった。

 

 ああ、『奴隷化』ってのはゲーム内仕様の一つで、プレイヤー間で行う契約の一種となる。

 内容を簡潔に言うと、『立場と関係に強制力のあるバイト』って感じ。

 ほら、プレイヤー間の約束とか基本は口約束だし、システム的な制限があってもログアウトやらキャラクター抹消で反故にできる可能性があるだろう。それを封じる意味で、やたらと強制力の高い契約システムが導入され、その凶悪さから奴隷システムと公式に命名されたんだな。

 

 『奴隷契約する二者間でAがBを雇用する場合、その契約の期間はAがBのVR環境を完全に管理する権限を得る』

 

 これが奴隷契約の基本で、つまりはAが許可しなきゃBは自分でログアウトもできないって事になるわけだ。

 これは国の端から端が時差七時間という広さの国じゃ、生活時間そのものが違う環境からくる問題に始まる。

 オンライン環境で繋がってても、その時差の関係で活動できる時間も違うってわけだからな。つまりは、極端な拘束時間を強制できないって事に繋がるわけだ。

 そんなお国柄だからか、各プレイヤーは自分時間のみを最優先に行動する。

 どんな重要な状況でも、『オレこれから寝るんで落ちる』で即消えるのも普通。それでその状況が崩壊しても関係無しを貫ける。そんな精神構造の国民性だ。

 

 が、開発者には許せない要素だったんだろうな。

 だからこそ導入され、しかももっとも良く利用されてたんだから。

 そしてだからか、【PoF♂】は奴隷認知の社会となった。

 NPC相手にまで使う機能じゃ無いはずなんだが、もうゲーム内文化となってるせいで、その流れで女キャラクターは皆奴隷って風潮まで完成しちまったわけだ。

 

 で、こんな環境でもプレイに固執した女性プレイヤーは、結局のとこ大半がその奴隷プレイを受け入れたってわけだ。

 と言うよりも、俺の個人的見解からなら『奴隷プレイがしたい奴が残った』、かな。

 

 実際のとこは解らん。俺、基本はソロで動いてたし。

 

 だからメアと出会ったのも、かなりの偶然が重なったからだった。

 

 とあるクエスト。職能任せでいろいろソロで攻略してた俺でもキツい内容なやつで、仕方がないと臨時部隊を組む事にした。

 だがプレイ開始から普通の集団プレイ経験が一度も無い俺が、野良の集まりで上手く動けるはずがない。

 だから練習半分興味半分、美少女NPCのハーレム部隊でもしてみようかと、人員募集検索を掛けたわけだ。

 

 この機能は、クエストを望む者が集まる集会所内でのみ可能な検索システムだ。

 集会所ってのは、要はファンタジー系ゲーム定番の冒険者が集まってるギルドとか酒場に当たる所で、その場所の中でのみ、同じ目的を登録してあるプレイヤーにカーソルが立ち、公開許可範囲のステータスを確認する事ができる。

 【PoF♂】は基本、プレイヤーのみで遊ぶゲームだからな。その情報を元に交渉をして、互いに納得の上で部隊を組めって流れなわけだ。

 

 ただし相手がNPCだとそうはならない。

 必要能力の有無を確認し、ただ自分主催の部隊に組み込むって作業のみとなる。まあ、外見の好みを優先するなら別だが。

 

 て事で、まずは練習。まずはお試し。でも見た目の好み優先って感じで、俺は集会所内の亜人キャラをスミズミまで観察していた。もうこの頃は女イコール奴隷ってのがプレイヤー共通の認識で、集会所内のNPCキャラ自体も、ここを管理している運営主から一時的にレンタルする奴隷って設定だった。

 

 ああ、ひとつ注釈だ。

 【PoF♂】のゲーム内には、いわゆる冒険者ギルド的な施設は無い。

 街の中にクエスト内容を共有する個人経営の酒場とか集会所が複数あり、そこに居合わせた者同士で部隊を組んだりとかを勝手にするわけだ。

 女キャラのNPCが導入されて以降は、そんな場所が奴隷出品所みたいな観てくれとなったが、基本の操作は変わらなかった。

 

 で、正直NPCの扱いは悪い意味で徹底していた。

 必要能力値で検索をかけ、その対象となるNPCは、その時点でカスタマイズの確認がとれる。所持武装の着脱表示、装備の類も同様に可能。

 NPC装備のちょろまかしは不可能だが、見た目の変更だけは部隊に入れない状態でも自由にできた。

 

 で、最初は普通の衣服や防具を着ていたNPCも、大概はプレイヤーの手によって、開発側が悪ノリして用意した奴隷専用の衣装とかに設定されての放置となる。まあ、奴隷の首輪のみとか腰巻き一枚とかな。

 小ぶり大ぶりと様々なサイズの生おっぱいが部屋の中に並んでるわけだ。

 まだ俺、チェリーだったもんなあ。例えNPCで仮想の身体でも本物同様にしか思えないパラダイスに興奮したわー。

 

 で、そこで出会ったわけだ。

 

 『あの、ぱ、パーティーを組むには脱がないとダメなんでしょうかっ!?』

 

 とか、今にして思うと非常に初々しくて可愛い雰囲気だった新人女子プレイヤーの、メアに。

 

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