13話
朝の占いで彩優は嫌な予感がしていたが、そのことは忘れ2人は学校にバイクで向かっていた。
しばらくして学校の正門の前に着くと、黒塗りの高級車が停車していた。
2人はそれを見つけると互いの顔を見つめ合った。
優が
「..ちくわぶは?」
と無表情で言った。
「冷蔵庫には入っていなかった。
...コンビニにちくわぶは置いてないよな?」
と、少し顔を顰めて彩優は言った。
2人はその高級車にだれが乗っているのかわかっているようだ。
「..どうする?」
彩優は優の顔を覗き込みながら聞いた。
優は少し考えるようにあごに手を当てると
「...気づかないふりしかないよ..」
と、優はため息をつき言った。
2人はその乗っている人に会いたくないのかフルフェイスのヘルメットをかぶったまま車をできるだけ意識しないように前を向いたまま歩きバレないように横を通ろうとした。
だが、車の後部座席の窓が開いていた。
すると、中いる人が2人を見た。
そしてその女性は
「そこのオートバイを押してる男性と女性おとまりになってくださらないかしら~?」
と、優と彩優の2人に声をかけた。
2人はヘルメットをかぶっているがバレてしまったようだ。
ヘルメットで見えないが優はため息を漏らし、彩優はシールド越しからその女性をにらみつけた。
「なにかしら?」
と、彩優は返した。
すると女性は
「私、明日からこちらの高等学校に転入することになりましたの。
出来れば優様にそう伝えてもらえないでしょうか~。
東堂ユリカが言っていたと伝えていただけませんか?」
と、車から降りて言った。
東堂ユリカ、腰まで伸ばした金髪。それは染めているわけではなく日本とどこかのハーフのようだ。
大きい目に青い瞳。顔は整っている。
ユリカは、優と彩優には気づいていないようだ。
本当にたまたま2人に声をかけたようだ。
しかし、優の方を見ると
「あら~?
もしかして...」
と、言い次に彩優を見た。
すると
「いえ、やっぱり何もありませんわ~
では、また明日~」
と、口元に手を当ててはぐらかし車に乗り込んだ。
車に乗ったユリカは
「くふっ.くふふふっ..くふふふふふ...」
と、頬を赤らめて口角を大きくつり上げて不気味に笑っている。
「あんな簡単に会えるとは..くふっ...くふふふふ。
でも、あの女はやっぱり...くふふ」
と、言うと何かを思案するようにしばらく目を伏せていた。
ユリカが車に乗り込み去ったあと
「優。あいつ気づいていたぞ。
たぶん、声をかけたのは偶然だろう。」
と、ヘルメットを外し車の行った方を見つめていた。
優もヘルメットを外すと
「はぁ~...ちくわぶ買っとくべきだったね。」
と、頭を抱えていた。