10話
優と彩優を見送ったあと、健人と綾香は一緒に帰っていた。
「私も優君の後ろ乗ってみたいなぁ~」
綾香はうらやましいというような顔をして言った。
健人は少し間をおき
「園崎さんが許さないだろうな。
特におまえはな」
と、苦笑いし言う。
「たしかに。
怒ったからこわいしね。」
綾香も苦笑いし言った。
「でも、まあ今の園崎さんは楽しそうだしいいんじゃないか?
乗せてって言っても。
前までは常に無表情だったし」
思い出すように健人は言った。
「無表情かぁ~。
今の園崎さんからしたら考えられないなぁ~」
綾香は笑いながら言う。
綾香が、優にベタベタすると不機嫌になったり怒ったりしている。
今の彩優からは考えられないのだろう。
「でも、中学生んときは優も常に無表情だったんだよ」
と、健人は手を頭の後ろで組みながら言った。
「それこそ考えられないよ。
優くんも..その...いじめられてたりしてたの?」
と、言いにくそうに綾香は言った。
健人は
「いんや、全然。」
と、短く答えた。
「じゃあなんで??」
と、綾香は首をかしげ聞いた。
「わかんね。
ただ、園崎さんが関係してるんだろうな。
なんか、言ったんじゃないか?」
健人もわからないと言う風に答えた。
「そっかぁ~。」
と、綾香は答えた。
そしていきなり
「園崎さん、束縛ひどそうだよね~」
はははと、笑いながら綾香は言った。
その目のハイライトが消えていた。
それに健人は気づかず
「たしかにそうだな!
優も大変なんだなぁ~」
と、笑って言った。
2人がこの話をしていたときどこかの少女はくしゃみをしていた。